日記・コラム・つぶやき

1000円カットの危機

街でよく見かける1000円でカットできるQB ハウス。
一時はどこにでもできていたような気がするけど、デフレのこの時代にあまり新規出店が見られないような気がしていた。
と思ったら、新規出店に規制がかかっていたのだ。

QB ハウスができたのは意外にも最近のことで、第1号店は1996年11月の開店だ。
今では店舗数が395店(前年比+4%)、来店客数が年間1200万人(+6%)で、成長は鈍化しているもののまだ堅実に伸びている。海外ではシンガポールと香港に進出していて、44店舗がオープンしている。

さてこの業態のどこに規制がかかっているのか?
それは理容師法・美容師法で、店舗に温水を供給できる洗髪設備の設置を義務付ける動きがあり、すでに21の県で施行されているのだ。
これは既存設備には適用にならないので、今後は洗髪設備のないQBハウスのような業態は新規店舗を開店できない、というわけ。
なぜこのような動きがあるかというと、理容師75000人からなる「全国理容生活衛生同業組合連合会」(全理連)が、洗髪をしないせいでその後立ち寄った飲食店で髪の毛が落ちるといった苦情があった、という理由で法改正を訴えているということだ。

ではいったい何件そのような苦情があったのかはどこにも述べられていない。
群馬県で法改正の是非を議論しているときに消費者のアンケートが取られ、不衛生かという問いに対し「特に問題ない」+「快適ではないが不衛生とは思えない」をたすと60%以上にのぼったとのことだが、決議には反映されず結局群馬県でも規制が改定された。

洗髪をしないでバキュームで吸い取るQBハウスと、場末のさえない床屋のどちらが衛生的なのか、きちんと議論されたのだろうか?くしやはさみの衛生状態の方がポイントではないだろうか?

美容室は組合に入っていない店も多いみたいだけど、理容室はいまだにみんな同じ定休日だし、組合の力は強いんだろうか?
組合に入っていないと理容用品の代理店から仕入れられないとか、噂にはあるようだけどいまどきそんなことがあるんだろうか・・・。

ちなみに全国で美容室の件数は22万軒、理容室は14万軒ある。
自分は今は美容室派。いつのころからかなあ。
男性はアンケートによると20代と30代では美容室派と床屋派の比率に大きな差がある。
20代は美容室が主流。となると今後理容室の経営はますます厳しくなるだろう。
それに対抗し、美容室のようなカットを提案する動きもあるようだけど、自分たちの既得権益を新規アイデアの参入阻止で守ろうとするのは、タクシーとかよくあるケースかな。
理容師と美容師で法律を分けて、同じようなことをしているのに(違うのは顔そりくらい)、今だに別物にしているのは、保育園と幼稚園の構図に似ているような気がする。

若い男性向けに、おしゃれな理容室をチェーン展開すれば、結構なニーズはあると思うんだけどなあ。
この話を昨日自分の行っている美容室の店長にしたら、男性にはそこまでのニーズはなくて、チェーン展開をしようとしてもスポンサーは付かないと思う、と言われてしなったけど。

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オリンピック: 上村愛子と浅田真央

2週間のバンクーバー・オリンピックがほぼ終了した。
全体を通してコンディションも悪いし、トラブルも多く、運営に関しては閉会式終了後にどっと不手際ぶりが報じされそうな感じだ。

日本選手の成績は、というとまあ事前の予想通りだろう。最後のスケート追い抜きも世界ランクは3位だったそうだし、だいたい今シーズンの力がそのまま出たというところだろう。

1.上村愛子はソチを目指すのか?
オリンピックの最初は上村選手でもちきりだった。どこのチャンネルも上村選手とお母さんの話ばかりだったなあ。結果もドラマチックで4位。この筋書きは、次はメダルだろうという無責任な期待もあるのかな。
上村選手の今回のオリンピックに向けての準備は適切だったと思う。エアよりもターン重視の採点傾向に適応し、得意のエアを捨ててターンを磨き、「チーム上村」で戦ってきた。今シーズンはW杯の成績も今一つだったので、今年のコンディションの持っていき方には問題はあったかもしれない。
ただ、オリンピックのモーグルを見るたびに思うのは、「自分の実力を100%発揮しよう」という姿勢では勝てないだろうということだ。皆自分の能力以上にガンガン突っ込んできている中で、実力+運でたまたまうまくいった者だけが上位3人に入れる、という印象だ。
いい例が里谷選手。W杯でぱっとしなくても、いつもオリンピックではつっこんできてメダルを取っていた。今回も見事なつっこみぶりだった。今回は無残な負け方で、しかも不自然なくらいマスコミも存在を抹殺していたけど・・・。でもあの姿勢でなければメダルには届かない。
上村選手の試合前の発言で気になったのは「後悔をしたくないので思いっきり行く」というコメントだ。全然関係ないけど、行動ファイナンスでいうと典型的な失敗パターンで、後悔したくないという心理は結局安全策を取ってしまうというパターンだ。やはり自分の100%以上には安全バーを外すことはできなかったんだろう。
多分そこに気がつかない限り、もう一度オリンピックに出ても結果は出ないんじゃないだろうか?オリンピックの一発勝負よりは、シーズンを通しての王者を決めるW杯の方が、実力を発揮できるだろう。ぜひ来シーズン、最後にもう一度W杯王者を取ってから引退してほしい。

2.浅田選手はソチで金メダルを取れるのか?
一方の浅田選手。上村選手とは対照的に、採点法の変化にも対応せず、トリプルアクセルにこだわりを見せる一方で、表現力をつけるということでロシアの一時代前のコーチについてしまった。もうここで戦略が矛盾している。
しかも普通はコーチのいる国に選手が行って指導を受けるのが一般的(キム選手がカナダに住んでいるように)なのに、浅田選手は日本から離れたくないとのことで実際にコーチの指導を受けたのは試合の合流時くらいだったとのこと。キム選手が「チーム・ヨナ」みたいな感じでまさにプロフェッショナル集団だったのに対し、浅田選手は自分ひとりで立ち向かったという感じがする。プロ対アマの勝負では話にならないだろう。
浅田選手のいつも口にする目標に、「ノーミスの演技をする」というのがある。これは以前であれば採点法にもぴったり合っていたのだろうが、今の採点はどうも完成度による加点がポイントのようだ。金選手のコーチは2週間に1度スケート連盟と採点法についてミーティングをし、点数の取れる演技を緻密に練り上げていたそうだ。
今回、フリーの演技が始まった後、ノーミスの演技をしても勝てないのではないかという現実と初めて向き合ったんじゃないだろうか??今まで、自分がたてた高いハードルをクリアすれば目標を実現することができてきたが、今回は仮にハードルをクリアしていたとしても金メダルは取れなかっただろう。その現実を認めて、プロフェッショナル集団を作り、彼らの意見を聞くことができるかどうかが、ソチで金メダルを取れるかどうかの第一歩だろう。
もちろん、人ができないことをやるのが目標ではなく、金メダルを取ることが目標だったら、の話だけど・・・。彼女の場合は今回まずそこがぶれていたんじゃないだろうか。
マスコミも、銀だけど感動をありがとう、次は絶対金メダル、と毎日言うばかりではなく、きちんと今回の反省と今後の進むべき方向を分析して報道してくれたら面白いのになあ。サッカーのようにスポンサーのしがらみがあるわけでもないだろうし。

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オリンピック選手に品格は求められるのか?

バンクーバーオリンピックが始まった。
前回と比べると日本選手の活躍の機会も多く、結構関心も高いのかな。
今回もマスコミはどんどんトピックスを作って報道をしている。上村選手とお母さんとか、もうそればっかりでもう少し競技自体とか、なぜ勝てなかったのかとか、そのあたりを報道してもらいたいけど、何か競技と離れたトピックスばかりだ。

そんな中でも一番ナンセンスだと思うのが、国母選手の問題。また若者への集団バッシングかよ・・・という感じ。マスコミの論点をまとめると次のような点だろうか。

1.国の代表としての自覚がない
やはりオリンピックはお国の代表なんだろうか?それとも個人の戦いなんだろうか?
だいたいは「国のためではなく自分のために戦っている」と言って、それを非難するパターンが多い。その根拠は税金で参加しているという点だ。
普段はナショナリズムなんてあまり感じないのに、オリンピックとかWBCとなると急に国民が一致団結することを強いられているような気がして変な感じだ。

2.オリンピックという自覚がない
マスコミとしてはやはりオリンピックは4年に1度なのでそれに向かって人生全てをかけてきて、たった一度の本番(数十秒で終わってしまう競技もあるし)で勝敗が決まるというところに価値を持たせたいんだろうか。国保選手は「オリンピックは数ある試合の1つ」というような発言をしていてずいぶん叩かれている。彼はプロ選手で賞金を稼いで生活しているわけで、本心からオリンピックを年間の試合の1つと思っているのかもしれないし、やはり勝ちたい試合なので強がっているだけかもしれない。

3.品格がない
そして一番ナンセンスだと思うのがこの批判。なんとなく朝青竜の問題を引きずっての批判なんだろうか。確かにインタビューで「チェッ」を繰り返していたのはちょっと幼稚すぎるけど、服装に関してはどうしてここまで議論されるんだろうか?
何か服装の乱れが精神の乱れだとか、ゆとり教育の弊害だとか、いろんな指摘があるけど、単にTPOの問題のように思う。レストランのドレスコードを理解していなかった、という程度じゃないんだろうか。
あと「勝ちさえすれば何でもありというのは正しいか、誤りか」みたいな議論もされているけど、別に国母選手は何でも好き勝手にやっているわけじゃないんじゃないかなあ。
少なくとも世界のトップレベルのアスリートなんだから、もっと敬意を持って扱ってあげてもいいのになあ。

これらに対してやらなければいけないのは次の点だろうか。

1.何が問題だったのかを明確にするべき
彼は何か問題なのか理解していないと思う。海外でもこの件はけっこう取り上げられているが、服装・髪型をいったい誰が気にするのか?という「世界の不思議ニュース」扱いだ。
ついでに日本人の多くが若者らしいと感じ、清潔感を持っている高校野球についても、坊主頭とか、入場行進とか、ぜひ海外メディアにはこの際紹介してほしい。(笑)
国母選手には、着崩した着こなしがどうとか、そういう点ではなく、パブリックとプライベートの区別ができなかったことが大きな問題だったことを、きちんと指導すべきだろう。

2.指導はその場その場でするべき
そもそものきっかけは「だらしない」姿で空港に降り立ったことから始まった。それが取り上げられて騒ぎになって、あわてて協会も対応した感じだ。でも飛行機を降りるところから報道陣のいるところまで一緒に歩いていたわけで、すぐにその場で直させる機会はあったと思う。協会はいったい何をしていたんだろうか。
話はそれるけど、先週の服装の乱れよりは開会式で明らかに協会役員と見える人ばかりが居眠りをしているのがアップで映ったことの方が、よほどだらしないと思うけど。

3.くだらない一時の盛り上がりでのバッシングはやめるべき
なんか国民全体がこの件に対して×だと思わなければおかしい、そんな雰囲気が数日前はあったと思う。バッシングするなら大会後でまとめてやればいいだろう。オリンピックは何より参加するアスリートのためのものなんだし。
この集団ヒステリーに乗せられて、学校応援を中止した東海大の判断はおかしいと思う。

ということで時々同じことが繰り返される、若者に対するバッシングだが、ぜひ日本選手にはメダルを連発してもらい、忘却の彼方に追いやるのが一番手っ取り早い対処法かな。



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Stay hungry, Stay foolish

ずいぶんと更新が滞りました。

9月末に某資格試験の1次試験があったもので、疎遠になってしまいました。
また再開します。
再開第1弾は来年のスローガンということで、スティーブ・ジョブスの有名なスピーチから。
外国人がプレゼンをするのを見ると、本当にうまいなーと感心させられることが多い。
自分が1番好きな「プレゼンター」はアップルのスティーブ・ジョブス。ジーンズに黒のタートルネック姿で
iPhoneについてプレゼンする姿は、本当にかっこいい。もちろん原稿など見ずに、簡潔にわかりやすく
ポイントを説明していく。簡単に話しているようで、プレゼンは緻密に練り上げられていて、ちょっと
した遊びのしかけも仕込んである。
例えばジーンズの前ポケットからipodを出し、「このポケットはipodを入れるためのものです」と言った
後に、「ところでその上にある小銭入れポケット?は、今まで何を入れるためのものなのかわからなかった
んだけど、この小さなポケットはこれを入れるためのものだったのです」と言いながら、小さくなった
ipod nanoを取り出して紹介する、というような。
その彼のスピーチで今なお語り継がれるのが、2005年6月12日にスタンフォード大学の卒業生を前にして
行ったスピーチだ。だいたいの内容は知っていたけど、改めて全部見てみた。
(Youtubeで字幕つきでたくさんアップされているので、まだの方はぜひどうぞ。ちなみに今年、このスピーチ
が日本の英語の教科書にも載ってます。)
さすがのジョブスもものすごく緊張した様子で、原稿用紙を読み上げるスタイルだったが、最後に卒業生に
贈る一言がものすごく印象的だった。
Stay hungry, Stay foolish.
腹へらせ、ばかになれ・・・でもまあ間違いではないだろうけど、これはいろいろ翻訳している人がいて、
Stay hungry = どん欲であれ
Stay foolish = 常識にとらわれるな、小利口になるな
そんな意味を込めての「ハングリーであれ、愚か者であれ」ということだろう。
自分も今年40歳になって、会社では「常に冷静に、正しいことを言い、実行する」という位置づけになってきた感じがする。
来年早々から担当の仕事に変化がありそうなので、ここでもう一度、20代の頃の初心に帰ったつもりで、
これを来年のスローガンにしてみようと思う。
Stay hungy, Stay foolish !

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デパート

レギュラーで本ブログを読んでいただいている皆さん、大変ご無沙汰をしてしまいました。
ただでさえ今年に入ってから5回しかアップしていなかったのに、間が開いてしまいました・・・
ちょっとまとめて勉強をしなければならないことがあり、先日の試験日まで当初想定した以上の時間を取られてしまったことが原因です。うーん、またコツコツ書いていきます。

さて表題。
4月25日(土)、東京でも人気の高い百貨店に行ってきた。自分の服、家族の服、ワイン・・・と久しぶりに「消費(浪費?)の喜び」を味わったんだけど、それにしてもデパートの様子がおかしい。
1.セール品が多い
やたらと「××%OFF」の表示が目につく。別にセールの時期でもないんだけど、全ての店にセールの表示がある感じ。普段割り引きなんてしないTUMIにも20%OFFの張り紙があった。ただ、聞いてみると「同時に2個買ったら、2個目を20%OFF」とのこと。張り紙にはそんなこと書いていなかったけど、大丈夫か、TUMI!?
2.人が少ない
とにかくすいている。ワインを買いに行った「デパ地下」はそうでもないけど、特に自分の服を買ったメンズのフロアは、休日の午後なのに店員の姿しか見当たらない。
3.買い物をしていない
そうはいっても子供用品売り場やレディースの売り場などにはまあぼちぼち人はいるんだけど、買い物袋を持っている人が少ない。

新聞でも百貨店売上高が減少していることは報じられていたが、まさにそれを体感した感じ。そういえばどれくらい減ったんだっけ?と思い、全国百貨店協会が発表している2009年3月度の全国百貨店売上高速報を見てみた。
全国の売上高総額の前年同月比は-13%。まあ経済状況が状況だけにそんなものだろうか。内訳をみると、まず衣料品が-17%。ユニクロの好調とは正反対で、やはり服は買い控えているんだろう。特に紳士服が-20%。子供服は-11%なのに、世の中のお父さんはつらいなあ・・・
一方で化粧品は-9%。お母さんは、そこだけは譲れない、ということだろう。
一番減少率が高かったのは、家具で-28%。確かに後回しにするかもしれない。逆に一番減少率が低かったのが食品で、中でも菓子。-2%だ。いろいろ削るけど、甘いものでも食べて生活を少しでも豊かに、ということだろうか。
3月の営業日数は前年より約1日少ない(東京都百貨店協会加盟店平均)ので、それだけでも3%くらいのマイナス要因ではある。ただ自分が行った4月末の状況は、客数も減り、単価も下落し、3月よりも厳しい状況にあるように思う。

そして4月30日(木)、御殿場のプレミアム・アウトレットに行く機会があった。
昨日テレビ東京で、プレミアムアウトレットを経営するチェルシー・ジャパンの社長が取り上げれられており、好調さが強調されていたけど、とてもそんな感じではなかった。
まあ平日といえば平日だけど、連休の人も多かったはず・・・なのに、駐車場まですいすいだった。今まで5回以上行っているだろうか、そんなことは初めてだ。場内も人が少ないなーという感覚。なのにレストランやフードコートは異常に込んでいる。そしてここでもやはり、買い物袋を持っている人が少ない。アウトレットと言えばいくつも袋を抱えた人がたくさんいるはずなのに・・・。こちらも厳しいんじゃないだろうか。

さらには今日、ららぽーとに行ってきた。雨が降っていたこともあり、完全屋内のこの施設は今まで見たことがないくらい混雑していた。
しかし、ここでも買い物袋を持っている人が不思議なくらい少ない。目立つのはユニクロの袋くらいなものだ。こちらもほとんどの店でセールの張り紙があったんだけど、効果はないんだろう。その前に寄ったIKEAも全く同じ。駐車場は混んでいるけど、家具を運んでいる人は見かけない。以前はみんなが持っていた有料のIKEA袋も見かけなかった。

近年、百貨店よりもアウトレットや巨大ショッピングモールの好調さが伝えられてきた。
老若男女が揃った家族で出かけて、それぞれの買い物ができて食事ができて・・・というかつての百貨店の役割を、今ではアウトレットやショッピングモールが担うようになってきているのだろう。ただ、今の経済状況のもとでは、これだけ低価格をうたっているアウトレットでも状況は厳しそうだ。そこに行くこと自体がレジャーとして成立しているということだろう。つまり皆で出かけて、ちょろーっと店を見て、本当に必要な消耗品だけ買って、フードコートで食事をして帰る。そのような状況下で、価格以外にどのような仕掛けで来場者にお金を使ってもらうのか?これはなかなかの難問だろう。

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格差社会と子供の貧困

日本は総中流社会だと思っている人はいまだに多いと思う。
しかし、データ上では世界の中でも格差が大きい国だ。
もう少し正確に言うと、低所得者の比率が高いということ。
所得が分布の中央値の半分に満たない人の比率は15%で、OECD30カ国の中ではメキシコ、トルコ、米国に次いで3番目。
ということは親の収入に頼る子供も、格差が大きいということになる。これが「子供の貧困」の問題だ。

国立社会保障・人口問題研究所の阿部さんが岩波新書「子供の貧困」や、日経新聞の経済教室で書いていたが、子供が置かれる経済環境は、学力や大人になってからの所得に大きく影響を与えているとのこと。
例えば子供の学力は親の学歴、所得が高いほど高くなっている。親の所得が低いほど、子供は学校が居心地が悪いと感じ、勉強に対する意欲は低い。
子供期の貧困経験が大人になってどのように影響するかは欧米で研究が進んでいて、特に0歳から6歳の乳幼児期の貧困は、成長してからの学歴、雇用、収入、犯罪率などに大きな影響を与えているそうだ。

相対的貧困率が高い一因として、若い時は給与が低く、40歳くらいから急上昇する、という賃金体系はあるだろう。合計すると平均は一緒でも、若い層は極端に所得が低いので。
それを差し引いても、政府の取り組みは不足している。

例えばイギリスは1999年にブレア前首相が2020年までに子供の貧困を僕滅すると宣言し、手当の拡充や税制面での優遇などの手が打たれている。
一方で日本はというと、子供の問題=少子化という感じだ。子供の貧困の問題がある以上、仮に数を増やしても社会は豊かにならないように思う。
1972年に発足した児童手当は、当初は養育費の半分をカバーする設計だったそうだが、今では何の足しにもならない額だ。
教育費も、先進諸国に比べるとかけられている額が低い。国からの給付も学校に対するものがメインで、子供に直接払われてはいない。
政府は子供の貧困対策として、広く薄くばらまくのではなく、問題を抱える低所得者層に手厚く金をかける必要があると思う。格差があること自体が問題なのではなく、低い層がたくさんいることが問題なはずだからだ。

1つ、阿部さんの調査で面白いものがある。「最低限の生活水準」とはどのレベルかという意識を、海外と日本で比較したものだ。
これによると、日本人が考える「最低限の生活水準」は欧米と比較すると非常に低いレベルとのこと。つまり生きるのに必要な食べ物や衣服があるのならば、それは貧困ではないという意識が強い。英国では84%の市民が「希望するすべての子供に与えられるべき」と答えた「おもちゃ」は、日本で与えられるべきと答えた市民はなんと12%。子ども用の本は英国が89%、日本が51%。
これはなかなか根が深い問題だ。海外と比較すると子供の貧困は問題なのだが、当の日本人は貧困だと思っていないのだ。むしろ子供にはぜいたくはさせべきでない、という意識の方が良しとされているように思う。

先日、日本の学生が中国や韓国の学生よりも勉強時間が短く、逆に勉強がきついと思っているとのデータが発表されていた。これらはゆとり教育の弊害とされていて、最近は逆に学校の勉強時間も増やす傾向にあるようだが、子供の貧困の問題が関連しているとすると学校のカリキュラムを厳しくしても学力はそれほど向上しないだろうし、大人になって貧困に苦しむことには変わりないのかもしれない。
阿部さんも述べているとおり、「子供の数を増やす」のではなく、「幸せな子供の数を増やす」ことをまずは目標にするべきだろう。

どうして子供の話題かというと、先週2人目の子供が生まれたから。
今までは夫婦+1という感覚だったのが、何となく「家族」という感じになり、こういう話題にも敏感になっているのかもしれないなあ・・・。

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首相に庶民性は必要か?

麻生首相が飲みに行くホテルのバーが高いとか、安いとか。
小沢代表はいつも行くのは安い居酒屋だとか。
テレビでは実際にそれらの店に行ってレポートをしたりなどしている。

日本国民は本当にそんなことに関心を持っているのだろうか?
そもそものきっかけは北海道新聞の記者が質問をしたことに端を発するが、この問題設定が間違っていたのだろう。
麻生首相は裕福な家庭に生まれ育ったのだから、お金の使い方が庶民と違って当たり前だし、国会で質問されて困ったようにカップラーメンの値段なんて知っているわけがない(ちなみに400円くらいか、と答えたけど)。
じゃあ総理大臣が毎日新橋の居酒屋で飲んでいたら安心なんだろうか??逆に心配でたまらないけどなあ・・・。

今日本の総理大臣は国内よりも海外に向けてパフォーマンスをすべきだと思う。まだ実体経済はそんなに悪くなくて、金融面だけに集中していればいいのだから。
麻生首相は、この前はスーパーの視察、この週末は地方に行って漁業関係者と意見交換をして駅前で遊説をしたようだが、そんなパフォーマンスをしている時間があったら、日本で金融サミットを主催して世界恐慌の回避のリード役をやった方が海外ではもちろん、国内でも評価が上がって選挙対策にもなるだろう。
申し訳ないが庶民の暮らしは自分にはよくわからない、しかし国を背負って国益のために海外と戦う、その方が受けると思うけどなあ。

海外ではいまだ「バブル後の日本の対応に学ぶべき点があるのではないか」という議論がされているのだから、体験談を話すだけでいい。日本の株式市場は、なんとなく欧州、米国の後に開いて、そちらの影響を多大に受けるというイメージがあるが、日付からいうと東京のマーケットが一番最初に開くというのは最大のアドバンテージだ。日本でまず方向をつくって、欧州、米国が続くという流れをつくればいいと思う。

しかし今の首相、財務大臣にはそのような意識はなさそうだ。金融対策を打ち出すのは昼頃とか、ひどいときは9時15分。遅くとも9時だろう、普通は・・・。
今の日本の株式市場は誰もが上がるのか下がるのかわかりやすいサインを探している状況なので、サインさえ出してあげればコントロールするのはそんなに難しくないはずだ。
自分でできないんだったら、米国のように有能な経済・金融のブレーンをつけて任せればいいと思う。

その点の良い見本になるのがオバマかもしれない。政策に詳しいわけでもないし、全部専門家に丸投げだけど、丸投げする分まだましだろう。余計なことはしないだろうから。危機の時のリーダーシップは彼のスタイルの方がいいと思う。

話はかわるが、意図がわからないのが話題の定額給付だ。つっこむべきは所得制限ではなくて、そもそもの目的だろう。前にやってみて、消費にはつながらずに預金に向かっただけで終わった施策が、今回は成功すると考える根拠は、誰も深く追求しない。なぜ減税ではだめなのか?お金でわたせば国民は使っちゃうだろうし、その上で消費税を上げるといえば反対しないだろう、と考えているとしたら相当国民は頭が悪いと思われているのかもしれない。そして実際に所得制限に対する文句が出て、消費税については議論にならないところを見ると、本当に国民は頭が悪いのかもしれない・・・

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北京オリンピックの不思議10

先週は1週間の夏休み。普段はあまりTVを見ないんだけど、オリンピックは何となく気になって結構見てしまった。何だか今回のオリンピックは不思議というか、違和感を感じることが多い。10個あげてみよう。

1.TV中継で取り上げる競技が偏っている点
以前は、オリンピックでもなければ見られないような競技もTVでやっていたような気がする。水球とか、競歩とか。それが今回は非常に偏りが多い。日本の活躍が期待されている(というかTVが期待を作り上げている)競技しかTVでは流れていない。生放送の時間でなければ、その同じ競技の録画を流している。注意して画面の右上の「LIVE」の文字を確認しないと、いつの試合だかわからないほどだ。

2.日本での人気と結果とのギャップが大きい点
サッカーとバレーが特にそう。日本ではこれらの競技は広告代理店の「イベント」であり、サッカーであれば親善試合も含めて毎試合が「負けられない試合」。バレーは日本にとって都合のいい順番であたる。最初は微妙に勝てそうなチームで、盛り上げておいて、3試合目くらいに強いチームとあたる。その後弱いチームに確実に勝って、「お、強いのか?」と思っていたら後半ずるずる負けて世界の8位くらい。
でもオリンピックは日本だけがそういうわけにはいかない。やはりこれはスポーツであり、演出できないものなのだ。

3.ナショナリズムと根性論が突然台頭する点
オリンピックになると、突然「頑張れニッポン」になる。まるで国民の期待を一身に背負っているかのような選手もいる。マラソンの野口とか。でもどうせ終わったらすぐに忘れるんだから、真面目に受け取らなくても良いように思う。それでもメダルを取ると「日本のために頑張って取ったんですよね、すごいですね」みたいにインタビューをされてしまう。今日も男子レスリングの選手が、インタビュアーに「ニッポンのお家芸のメダルを守ったわけですよね?これは本当にすごいことですよ!」といわれて、「別に自分のためにやっただけで、それで結果が出たのはいいことです」と冷静に答えていた。
あと根性論。野球はプロの選手が揃って丸坊主だ。休養日に自主練習に出てきた選手を監督が褒めていた。プロなら休養の方が大切だと思うけどなあ。個人的には土下座と坊主はその気になれば簡単にできるポーズなので、全然信用していないけどなあ。

4.お金にまつわる話が出てこない点
オリンピックはスポーツの祭典だが、スポンサー契約で数十億稼ぎ、心理カウンセラーも含めた10人くらいの「チーム」を作っている選手もいれば、遠征費用も自腹で経済的に苦しい選手もいる。実績を出してスポンサーがついて、大きな期待を背負う選手が億単位の収入を得るのはいいんだけど、なんか同じスポーツ大会で競うのはどうかな、とも思う。TVはそうしたカネにまつわる話は一切取り上げない。
例えばあれだけ騒いだレーザーレーサーの件。見事にオリンピック中は無視だった。インタビューのときも顔をアップにして胸のマークがあまり映らないようにしているように見えた。北島選手は金メダルは立派だが、もし契約内容がミズノの排他的な独占使用権だったとしたら、明らかに社会人として契約違反だろう。排他的だからこその対価を得ているわけなので。あと例えば柔道の谷選手。選手団と一緒に北京入りすると、1人だけ別行動を取り、彼女のために用意された専用の道場で、6人の練習相手と最後の調整をしたそうだ。さすがトヨタだなあ。他には星野JAPAN。日本選手団で唯一選手村に宿泊してない。高級ホテルを占有し、顔を洗ったり歯を磨く水までも日本から持ち込んでいるとのこと。大会前には監督以下仲良しコーチ陣全員で、出場国を回って「情報収集」したとのこと。あまり采配には役に立っていないようだけど。

5.マスコミがすぐに「これで引退するのかどうか」を気にする点
これはどうしてだろう。「引退しない」というと「何でだ?」とバッシングするくらいの雰囲気がある。今回はベテラン勢の活躍が目立つからなおのこと目立つのかな。

6.「自分にとっては金メダルです」というコメントが目立つ点
これも何だ??銀メダルや銅メダルに終わった選手や、応援団がしきりにこのせりふを口にしている。銀は銀だし、銅は銅。金以外は負けているのは事実だ。でも銀だってすごいし銅だってすごい。出ていることだけでもすごい。そういった納得の仕方ではなく、「この銀メダルは自分にとっては金メダル」という納得のさせ方をするのは、ちょっと違うように思う。
あとは期待に沿えずに失敗に終わった選手を、報道が取り上げずにスルーするのも今回の特徴だ。以前は「税金の無駄遣い」くらい言われたのに。負けた人、失敗した人を批判するのが良いわけではないが、美化する必要もあえて無視する必要もないように思う。

7.中国はいったいいくらお金を使っているのか想像がつかない点
開会式も派手だったが、運営も徹底している。会場の応援席をよく見ると、応援指導をしている係員がいる。マイナー種目に対しては、当局が応援者を動員までしているとのこと。前日に「明日はこの競技に」と連絡がくるらしい。あとはマラソンを見ていてもまるでセットを走っているかのようにごみひとつ落ちていない絵が流れていた。有名な貧困地域であるフートンは高い塀が作られて、完全に目隠しされていた。これだけ国自体を「演出」しているオリンピックで、開会式の女の子が口パクで腹立たしいとか、そんなことは本当に小さなどうでもいい話だなあ。
ちなみに今回の北京オリンピックの予算は142億ドル。実際にかかっているお金は公表ベースで400億ドル。それ以外のものも含めると600億ドルとの声もある。シドニーで使ったお金が11億ドル、アテネが160億なので、今回のオリンピックの空前絶後さがわかると思う。さすが外貨準備高世界一の中国だ。

8.種目によって妙な時間に決勝がある点
前の話と関係があるが、これはTV放映権料の問題だ。今回のオリンピックの放映権料の8割は米国が支払っている。中心はNBC。NBCといえばGEの子会社であり、中国ビジネスを本格的に展開しているGEの意気込みがわかる。この元を取るためにも、人気競技はゴールデンタイムに取りたい。水泳の決勝が午前、陸上の決勝が深夜なのは、米国の東海外でいい時間だからだ。日本はNHKと民法がコンソーシアムを作って200億円の放映権料を支払っている。マラソン、体操などの決勝時間は日本の意向で決められたという報道があった。もっとも日本時間だと自然な時間だったけど。

9.不振競技で協会やコーチの責任が追及されない点
男子柔道は、明らかに「一本を取るニッポンの柔道」にこだわり、対策を先延ばしにしてきた協会の責任は大きいと思う。その意味でも、協会に歯向かう石井選手が金メダルを取ったのは痛快だった。一本を取れ、でもポイント制の試合で負けるな、というのでは何の戦略も戦術もない。男子サッカーでは、オーバーエイジの大久保の参加をチームが拒否したのは、協会がチームに事前に通知をしていなかったことにチームが激怒したためだ、とのこと。またこれをきっかけに監督とチームが分裂し、大会前に既に3戦全敗を予想した雑誌もあった。もっとも監督は全敗しても「悔いはない」みたいに言っていたけど。
女子マラソンだって、やはり大会直前にフォームをいじるのはリスクが大きいのではないか。これらの不振の背景には、60代、70代の人が幅を利かせている協会の古い体質、新しい変化に対応できない体質があるのではないだろうか。

10.何はさておき、オリンピックがらみで批判が聞こえてこない点
批判といえば開会式の演出くらいなものだ。あとは選手個人、協会、コーチ、全てに関して、批判することはタブーのようだ。まるで報道統制がされているように。もし何か批判的な報道をすると、その後の取材に影響するのだろう。
オリンピックが終わると、待ってましたとばかりに「実はこうだったから失敗して当然だった」みたいな暴露話が出てくるのだろう。

さてオリンピックも残りわずか。柔道、水泳、女子レスリングが終わって一気に盛り下がっている感もあるが、頑張れ!ニッポン!!(笑)

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居酒屋タクシーというネーミング

ネーミングというの不思議なもので、名前ひとつで人の思考を左右することができるものだ。よくあるのは、会社が「本当はこう考えている」という意味を当て字で表現するもの。
例えば社員のことを「人材」ではなく「人財」という文字を使う会社がある。ちょっと一世代前の印象を受けるが、ネットで検索すると今でもけっこう使っているようだ。最近では人財とは逆に会社に損失をもたらす人を「人罪」、言われたことだけやってただいるだけの人を「人在」というそうで、ほとんどダジャレの世界だ。「転職」のことを、展望を持ったキャリア展開と言う意味で「展職」と呼ぶ人材(財?」エージェントもあったなあ。

一方で、社員ではなく顧客のことを言いかえるネーミングもある。例えば「顧客満足度」は失礼なので「お客様満足度」と呼ぶ会社がある。「患者さん」のことを「患者様」と呼ぶ病院、製薬会社がある。面白いのは「売り場」のことを「お買い場」と呼ぶデパートがある。これは伊勢丹だけど。
これらに共通するのは、意図とは逆に、何となく底が見えるというか、本当はそう考えていないけど、必要以上に良い格好をしようとしている印象を受けてしまう。まあ社員に対して意識を徹底させるわかりやすいツールということでは成功しているかもしれない。

さて、マスコミで「共通用語」として使われている言葉には、問題の本質をそらすようなネーミングのものが時々目につく。最近で一番気になる言葉は「居酒屋タクシー」だ。
1.居酒屋なら良いのか?
この問題は驚くべきことに「問題ないのではないか」というインタビューも流されている。ビール1本くらいサービスの一環だろう、と。日本は何て飲酒に関しては許容度の高い国民なんだろう、と驚いてしまうし、そこが狙いなのかもしれない。
ビールが良いか悪いか、というのが問題なのではなく、タクシー代金の水増しによる現金のキックバックや、チケットの買取りが常習化されている、というのが大きな問題だと思うが、「居酒屋タクシー」という呼び方が徹底されてからは、あまりこれらの「キャッシュバック」の問題は取り上げられなくなった。
2.タクシーを使うのが問題なのか?
あと国民の声として出るのが「サラリーマンは終電で疲れ果てて帰るのに官僚はタクシーか」というやっかみの声だ。早速タクシーは極力使わないようにという指示が出され、終電に走る官僚の姿がニュースで報道されたりした。
問題はタクシーに乗るか乗らないか、ではなく、深夜残業が常態化していないか、という点にある。以前官庁に出向していた職場の先輩から聞いたが、官庁は夕方からが仕事だそうだ。翌日の議員からの質問が出てくるのがその頃で、翌朝までに大臣の答弁と想定問答を作っておかなければならないので、国会期間中は毎日朝までの勤務となる。もっとも国会期間外でも、あと少しいればタクシー帰宅が認められる時間だ、ということでその時間まで待っていたりしたそうだ。大臣答弁のためにそこまでするのは「大臣に恥をかかせないように」という意識だそうだが、今どき一般企業で、上司のプレゼンで恥をかかせないように組織総出で夜通し準備する会社があるだろうか??
それだけならまだしも、議員からの質問まで作っていたりする。それは議員秘書の仕事ではないのか?そうした仕事をするために公費で秘書費用を支払っているのではないか?
つまり「居酒屋タクシー」と呼ばれている問題には、ひとつはタクシーチケットを使った横領の問題があるということ。そしてもうひとつ、大きな問題として公務員の無駄な労働時間にまで税金が使われているということがある。そうした問題が「居酒屋タクシー」というネーミングで、どこかほのぼのとした感じを与えているとしたら、マスコミに対する統制の成果だろう。
もうひとつ、教育委員会の汚職がちょっと前話題になっていたが(もう忘れかけられているけど・・・)、そこに「合否の事前通知」という妙な言葉が統一して使われていた。まるで携帯電話の代金を引き落とす前に通知する、みたいなノリの言葉だ。
でもよく考えてみると、これはものすごい「不正」であり、このような不正があるということは合否の判定に関しても不正があると考えるのが普通だろう。でも「事前通知を行っていた地方自治体の数がたくさんあった」という程度の扱いで終わっている。これもネーミングの妙といえるだろう。

表面的なネーミングに惑わされずに、本当の問題は何か?を考えるようにしなければ、テレビを見てそのまま受け取っていると、思考の枠組までコントロールされそうだ。

ところで、話はかわるがTBS「世界ウルルン滞在記」が打ち切りになるそうだ。この番組のネーミングのうち、「世界○○滞在記」という名前を作ったのは、実は私なのです。テレビ業界とは全く縁はないんだけど、番組開始当時にこの番組の企画を担当していた友人から番組名について相談されて、いろいろ考えて2,3個提案した中にありました。「ウルルン」は違うけど。当時のテレビ界では、「なるほど・ザ・ワールド」を超えるネーミングはなかなか出せずに皆が頭を悩ませている、と言ってたっけ。ちなみにその友人は当時の会社をすぐに辞めてしまったので、アイデア元が私だということを誰も証明してくれる人がいません・・・(涙)

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公務員は安定なのか?

ここのところ、大阪府の職員と橋下知事とのやりとりがよく取り上げられている。別に橋下知事を支持するわけではないが、大阪府の職員のコメントも一般常識から考えるとちょっと外れていて、まあどっちもどっちという感じかな。
例えば、大阪府職員は4時間あたり15分の「有給休憩」を与えられている。民間平均よりも勤務時間が45分長いということもあるようだが、こうした実質上の「タバコ休憩」を廃止する動きがある。それはそうだろう、というかそんな休憩がある方が驚きだ。それに対する職員の反対意見がさらに驚きで、「休憩が廃止されると昼休みを除いてずっと気を張り詰めて仕事を続けなければならず、気分転換をするのもはばかられる雰囲気になる。タバコを吸いながらの意見交換も重要な情報収集だ・・・」みたいな意見があった。
意見交換は仕事に関する話ならどうどうと勤務時間にすればいいだろうし、そもそもこの人は今まで1日何時間くらい「気を張って」仕事をしてきたのか、ぜひ聞いてみたいものだ。
あと、賃金一律カットに対する団体交渉でのコメント。「私が何か悪いことをしたとでも言うのですか?」
うーん、これが公務員の仕事に対する意識を端的に表しているのだと思う。「悪いことをしていなければ問題はない」と言いたいのだろうか。自分達1人1人が問題提起をせず、結果的に組織全体が傾いてしまったことに対し、心の中で「自分には関係ない」と思うならまだしも、カメラの前で本気でこういう発言をしてしまっているのだ。
彼らの意識の根底には、「公務員は安定している」という考えがあるのだろう。だからこそ公務員になったんだし、周囲には「公務員は安定していていいわね」などと言われるし。
しかしかつて安定していると思われていた伝統的大企業が、株主からの監視が強まるにつれ、ガバナンスが強まり、早期退職や解雇などのリストラを既に行う世の中だ。これまでやはりガバナンスの全く効かなかった公務員に対し、納税者による監視が強まり、その圧力に加え革新的な知事(企業で言うと社長)が送り込まれてリストラに取り組む。構図は同じであり、もはや公務員は安定とはいえないんじゃないだろうか。
そうはいっても「公務員は解雇できない」のかな、と思っていたら、法律上はそうではないらしい。

国家公務員法第78条(本人の意に反する降任及び免職の場合)
職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
第1号  勤務実績がよくない場合
第2号  心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
第3号  その他その官職に必要な適格性を欠く場合
第4号  官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

そう、勤務実績にかかわらず「予算の減少により過員を生じた場合」は「本人の意に反して」解雇することは可能なのである。
ただ、ここがおかしいのだが、実効上は1969年の国家公務員の人数を抑える総定員法制定の条件に「公務員の出血整理や本人の意に反する配置転換は行わない」というのがあり、これが今なお守られているとのことだ。法律に明らかに反する「慣習」であり、法律がある以上は運用上歪められることなく徹底されなければならないのではないか。
それがなぜできないのか?

答えは簡単。徹底するのは公務員本人だからだ。やはり株式会社で、取締役が自分たちを取り締まるわけがないのと同じだ。公務員の合理化は、ガバナンスの仕組みをきちんと作らないと、単なる短期的な賃金カットだけでは絶対に成功しないだろう。

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