旅行・地域

すすきの

夏休みは実家のある札幌に帰省をしていた。
ニュースでも丸井今井が破たんしたとか、西武札幌店が閉店するとか、景気の悪い話が聞こえてくるが、実際街を歩いてみるとなんとなく以前より人が少ないのと、閉店した物件がそのまま空きテナントになっているのが都心部でもやけに目がついた。これは相当景気が冷え込んでいるようだ。

今回の滞在中、ずいぶん久しぶりにすすきのに飲みに行った。
さんまとか、うにとかおいしかったのはおいしかったんだけど、歩いている人が少ない。街全体がガラーンとしているような感じかな。

そう思って調べてみると、日銀の札幌支店が、北海道金融経済レポート「すすきの歓楽街の変遷と最近の動向」というレポートを出していた。仕事とはいえ、まとめるのは楽しかっただろうなあ。。。

1.店
2008年と1989年を比較すると、すすきのエリアの飲食店数は14%減、旅館・ホテルは実に27%減となっている。
エリアをみると、すすきのの縁の部分からの飲食店の撤退が多く、そのエリアはかわりに大型駐車場になっているそうだ。実際、駐車場の数は30%も増えている。すすきのに駐車場を作っても、車ですすきのには来ないだろうなあ・・・
そういうわけで、歓楽街としてのエリア面積は減っている。
飲食店を細かく見ると、閉店数はあまり変化はない。これは割引チケットによる集客が盛んなのと、賃貸料が下がっていることによる。
確かに札幌に人は「お得」であることにすごく敏感だからなあ。
一方で昨年以降目立つのが、新規開店数の激減だ。特にスナック・クラブ系の開店が減っている。これらを合わせると、今のすすきのは利益を削ってぎりぎりの生存競争状態、ということだろう。

2.人
人が少ないという印象を書いたけど、データにもそれが表れている。すすきのの入り口、ラフィラ・・・といっても全然わかんないんだけど、ちょっと前のロビンソン、昔の「ヨークマツザカヤ」(そういえばすすきので待ち合わせと言えば「ヨーク地下」だったなあ・・・)の東側の平日1日当たりの通行人数は、2006年が調査地点中11位の16512人だったのが、2008年は15位の11877人に大きくダウンしている。
ちなみに2006年の1位はJR札幌駅西改札の75465人、2位は同じく東改札、3位は札幌中央ビル(北1西2)、4位大同生命ビル(北3西3)、5位西武西口。なんと大通公園から南側は上位に上がってきていない。
これが2008年になると、1位と2位は変わらないんだけど、3位から5位がちょっとびっくり。3位が狸小路3丁目、4位が狸小路4丁目、5位が狸小路2丁目だ。
ええええー!?!?なぜ今さら・・・と思って昼間に行ってみると、確かに人が多い。ただ、店は観光客向けの店が多く、道行く人も観光客が多い。歩いている人は多いけど、店に入っている様子はない。
まあ、せっかく札幌に来て、駅前の大丸には行かないよなあ。札幌市民は駅前へ、観光客は狸小路へ、というのがパターンのようだ。
あとはこの観光客をもう1歩南に向かわせて、すすきのに入らせればいいだろう。
じゃあどこに行けば良いのか?
今のすすきのの問題点はここにあるように思う。
もう少しエリアごとに特徴がはっきりすればいいだろう。何となくおじさんの街、というイメージを変えて、入口には若者や女性が行けるようなスポットを作ればいいと思う。

さて、レポートには1989年と比べて店舗数が4.2倍にも拡大したジャンルがあると報告されている。
地元としては恥ずかしいが、風俗店だそうだ。
これはいったいどういうことなんだろうか・・・。

今回の札幌滞在で感じたのは、景気が悪いのに人は結構明るかったこと。
口を揃えて言うには、「今は何をやっても悪い時期だから、何もしないでじっとしているんだ」。 うーん、それじゃいけないと思うけどなあ。もう景気が短期間に循環するような時代は過ぎたことに早く向き合わなければならないと思う。

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韓国

先週、仕事で韓国に行ってきた。通算3回目、かれこれ8年ぶりになるだろうか。
最近ウオンの急落で騒がれているが、そんなに景気が悪い感じはしなかったなー。もっとも韓国の仕事先の人は、政治(大統領への不信感)も経済状況も良くない、とは言っていたけど。街中で以前と異なったのは、外車が増えたこと。日本車は相変わらず走っていないけど、ベンツ、BMW、ボルボなど、特にハイソなソウル南部のエリアを走っているとやたらと目に付いた。あとは前回目立ったネットカフェがあまり見当たらなかったこと。これはどうしてだろう?1度PCがつながらないので入ってみたが、まあ若者がゲームをしている程度だった。
相変わらずだったのは、皆韓国料理を食べていること。若い女の子どうしでも、会社帰りの飲み会でも、皆キムチをつついている。日本だと「雑食」なので考えられない光景だ。
前回は禁断の犬鍋を食べたのだが、今回は仕事相手に連れて行ってもらった店で、韓国では毎朝食べると言っていた味噌汁を飲んだら、これが何ともいえずおいしかったな。豆の味が濃くて、最初はくどいけどくせになる。当然辛い。たった2泊だけどキムチの味のしないものが食べたくなるのは、韓国に来るといつものことだ。

今回、朝は毎日コンビ二でおにぎりやサンドイッチを買って食べた。時間もなかったし、あまり普段朝はがっつり食べないので。
韓国のコンビニは、セブンイレブン、ファミリーマート、ミニストップ、現地資本のG25といったあたりが多い。日本のコンビ二と違うのは以下の点だ。
1.買い食いコーナー
店の中に買ったものを食べるためのコーナーがある。机があるだけだけど。GS25の店の前には椅子とテーブルが置いてあって、毎朝おじさん3人くらいで何か食べていた。
2.雑誌コーナー
フイルムでパックされていることもあり、立ち読みは不可能。そもそもあまり本は置いていない。
3.インスタントラーメン
これがやたらと充実していて種類も多い。何かどれも赤くて辛そうだけど。
4.アイス
アイスは本当に少ない。ハーゲンダッツくらいかな。韓国の人はアイスはあまり食べないんだろうか?街中にはサーティワンも、コールドストーンもあったけどなあ。
5.レジ
そして一番の違いは、レジで袋をくれないこと。いくつ買うものがあろうがくれない。言ったらくれるというシステムなのかな。

といったあたりで、外見やレイアウトは日本とほぼ同じなんだけど、細かいところは随分と違う感じがした。
あと気になったのは、以前は韓国の若い人というと、皆英語ができるという印象があったんだけど、今回は通じない人が多かったのが気になった。コンビ二で韓国語で話しかけられて、俺は日本人だ、韓国語はわからん、と言ったのに、その後もずーっと韓国語で話しかけられて苦笑した。若者の英語水準は他に店で話したりしても下がった感じがする。それでも日本よりはまだましだろうけど・・・

しかし韓国は、町並みや人などが日本と変わらないのに、表記がハングルばかりなので、目の前の建物が何の店なのかすらわからない。欧米の方がよっぽど見当がつくくらい。これは毎回本当にストレスだ。近くて遠い国、今回もそんな印象だ。

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試される大地? 北海道

実家が北海道なので、ただいま帰省の真最中。北海道に来るとペースが元来生まれ持ったものに戻るせいか、頭も体も弛緩する感じがする。いつも何かに追いかけられているような毎日(というより半分くらいは自分で自分を追い込んでいる気もするが)なので、年に数回の帰省は本当にいいリフレッシュになる。

じゃ、ずっと住んで暮らせばいいんじゃないか、という気がするが、そういう気にもなれないのが不思議だ。以前は都会の便利さ、刺激に慣れてしまったせいだ、と思っていたけど、どうもそれだけではないようだ。それは北海道に対する違和感といらだちのせいかもしれない。

北海道に戻ると、地方はどこでも同じかもしれないが、無駄なインフラへの公共投資が目に付く。実家の目の前に、昔から小さな小さな川が流れているのだが、25年くらい前に大規模な護岸工事をして、今ではコンクリートに覆われた幅広のスペースにちょろちょろと水が流れているだけだ。北海道にはこうしたコンクリート川がずいぶん増えた。大雨で氾濫することを防ぐ治水対策だろうが、そんな氾濫するような大雨は来るのかどうかもわからないし、仮にそうなったとしても北海道の家は雪対策で造りが頑丈だから、被害は最小限だろう。

また、実家の近くにはここ数年新しい大型道路がどんどんできている。混雑の緩和というが、札幌市内の混雑なんてたかがしれているじゃないか・・・。あとJRによる南北の分断を解消するため鉄道をまたいだ道路を作っているが、10分に1本くらいしか電車は通らない。あとすごいのは、やはり25年くらい前にJRによる分断を解消するために鉄道を高架化したのだが、それでも足りないらしく、今度はその上を通して道路を作ってしまった。そんな高い橋を造って、坂も急なのに財政削減でロードヒーティングもついていなかったりする。危ないったらありゃしない。

インフラだけではなく、北海道最大の産業である観光も問題は多い。北海道は食べ物がおいしいはずなのに、ホテルや旅館の食事は一昔前の宴会料理となんら変わりない。朝食はなんだかどこに行っても同じメニューのバイキング。とろとろのスクランブルエッグとかボイルされたソーセージとか。その理由は平日の昼間に温泉街に行くとすぐわかる。業務用の冷凍食品を積んだ保冷車が行きかっているので・・・。

これらの背景には、「北海道民気質」が深くかかわっているように思う。

1.内向きの文化

北海道の人はとにかく北海道が好きだ。皆北海道新聞を読んで、北海道ローカルのワイドショーを見る。大学は北大が一番だと思っている年配の人も多い(さすがに東大よりは下だとは思っているけど、首都圏の私大は比較対象外だと思っている)。さっき観光が最大の産業と書いたけど、最大のお客さんは道民だ。北海道の人は北海道旅行が大好きなのだ!それはそれでいいんだけど、競争意識は薄いし、何より向上心に欠けているように思う。社会人で勉強したり本を読んだりしている人って首都圏と比較にならないくらい少ないんじゃないだろうか。

2.物事を深く考えない

これは「おおらかさ」の裏返しかな。あまり物事を追求して考えないような気がする。例えば客足の少ない温泉街が、皆九州の黒川温泉の成功例に学ぼうということで、どこの宿泊施設でも日帰り風呂に入れる「湯めぐり手形」を出しているところがあるが、たいていうまくいっていない。そりゃそうだろう。北海道は寒いんだから、浴衣姿で外をうろうろはしたくない。それにひなびた施設をたくさん回っても、気がめいるだけだろうから。あと大通公園のイルミネーションなどは、観光客を増やそうということで以前より大幅に期間を延長している。しかし予算には限界があって、電飾はすかすかだ。だったら期間を半分にして電飾を2倍の量にした方が、インパクトも口コミの効果も高いと思うんだけどなあ。

3.受身の意識が強い

これの典型的な例が、道産品につけられているキャッチフレーズ「試される大地」だろう。これは本当に酷い。このフレーズは公募されて決められたものだが、審査委員は別のものを推していたのだが、北海道側でこちらを選ぶことにした(審査委員会に主席していた道職員の8割がこちらが良いと言った)ため、審査委員長の倉本總氏が激怒した、という話を内部の人から聞いたことがある。北海道に来る観光客、そして道産品を買う人は、北海道の景気が悪いとか経済的に苦境だとか、そんなことは全然関係なく、北海道に対してよいイメージを持っているから選んでいるんだと思う。だったら自分が苦しいのは隠してでも、その期待に応えていき、苦境からも脱出するのが筋だろう。それを「試される」というネガティブなフレーズをそのまま外部の人に出すのはいかがなものだろう。「うちのレストランは今が正念場です」と自ら宣伝で言うレストランに食べに行きたいと思うだろうか??このあたりに「自分の苦境を理解してもらって、助けてもらおう」という受身の姿勢が現れてしまっていると思う。

ということで、この「北海道民気質」はなかなか変わらないだろう。変わるとしたら外圧かな。例えば星野リゾートがトマムを皮切りに北海道の観光産業を根本から変えるとか。

今、自分で書いていて変だな、と思ったのが、普通「外圧」といえば海外資本だけど、それが「本州」だったこと。このあたりが北海道の抱える問題の深さの表れかもしれないなー。

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