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2010年4月

王将の新人研修は自己啓発セミナーか?

相変わらず売上前年比アップを続けている餃子の王将。
マスコミの好意的な報道もパブリシティとして大いに貢献しているように思う。

先日の日テレでは120人の新入社員を対象にした新人研修が取り上げられていた。
会場につくと携帯電話などは没収され、外界とは遮断される。
まずは大声で挨拶させたり、
社訓を時間内に言えるかどうかのテストなど。
要するに今の自分は何もできない、ということのすりこみみたいな感じかな。
研修中はひたすら大声で怒鳴られる。納得できず切れそうになると
「これはお前のためなんだ」と
やさしく声をかける。缶詰め状態の研修会場でひたすらこれが繰り返される。

研修担当者が何度も繰り返していたのは、「お前は自分のためにやってるんだよな、
そうだよな」というセリフだった。恐怖の下での単純作業で、判断力が鈍っている状態で
こう言われると、そんな気がしてくるんだろうか。

研修の最後には大声で泣きながら今後の抱負を絶叫する。参加者全員で拍手喝采だ。
そして研修担当者は「70点、合格」と言って抱きしめる。
缶詰め→現状レベルの否定→基礎訓練→最後にほめる→達成感 と書くと普通の熱い研修だけど、
外界と遮断→劣等感・自己否定→恐怖感→単純作業→判断力の低下→新たな価値基準のすりこみ→無条件肯定
というふうにしか見えなかった。
洗脳とは違って夜もたっぷり睡眠をとらせている。(23時消灯!)一番近いイメージは
「自己啓発セミナー」だろうか。
VTR後、驚いたのは徳光さんの称賛コメント。いくらなんでも今回のVTRはちょっと引くだろうと思ったけどなあ。
コメンテーターのワタミの社長はさすがに「自分の会社ではこのような
研修はやりませんが・・・」とチクリと否定した。
ネガティブなコメントは禁止だったと思うので、精一杯の否定だったことだろう。

1.すべては自分でやりたくてやっているのか?
一番大きく感じる問題点はこれだろう。王将は店長にメニューの裁量権など大きく権限が任されていると強調しているが、
それはこのような研修ですりこまれた感情であり、本当の意味での判断力はゼロなのではないか。

2.すりこみの効果はいつまで持続するのか?
いったんすりこまれた服従精神はどれくらい持続するものだろうか?
ちなみに彼らはこれからチーフ、店長(平均6-7年後)を目指して、現場で熱い店長から怒鳴られ続けるんだろう。
王将の店長の研修はちょうど1年くらい前に同じ日テレの徳光さんの番組で取り上げられていたが、
基本的に同じ感じ。
研修担当から罵倒→店長としてまだ甘いと自己否定→単純訓練のくり返し→最後は合格→抱きしめられる
このサイクルだ。店長から先はFCとして独立の道か、エリアマネージャーなどの本部スタッフの道になる。
FCとして独立する際も比較的期間の長い研修がある。王将のサイトを見ると、他にもチーフ研修、指導力研修、
調理研修、接客研修、海外研修、フォローアップ研修など、「研修」が目白押しだ。
こうしてすりこみ効果を持続するのだろう。
そこから覚めた人間は退職するのだろうが、退職率のデータは見つからなかった。

3.これはどこまで仕掛けなのか?
こうなると、この会社ではどこまでの人が確信犯である「仕掛け人」なのか?
役員以上か、社長1人か??
そしてマスコミが取り上げるのは純粋に興味からか、何か他の力があるのか。
今回の取り上げ方や、同じ番組で繰り返し取り上げているのをみても、何かあるんだろう。
でも今回の報道はとても効果的とは思えないけどなあ。

4.会社とのかかわり方
王将の採用は、どこか負い目を持った人間を積極的に採用しているように思う。
この日の新人でも、就職活動で50-60社落ちて唯一の内定が王将という新人がいた。
会社は「助けてくれた」ので「恩を返さなければならない」と彼は言う。
自分は会社とは常に対等でいるつもりだし、明日辞めろと言われても困らないだけの
「覚悟」を持って仕事をしようと日々思っているんだけど、王将の社員は自分のために働いている
ようで、100%会社依存な感じがする。
ずっと王将で働いていく覚悟なんだろうから本人はそれでいいんだろうけど、
この日のTVを見た社員の家族はどう思ったんだろう。
お父さん、頑張ってるな!!って思ってもらえただろうか。


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1000円カットの危機

街でよく見かける1000円でカットできるQB ハウス。
一時はどこにでもできていたような気がするけど、デフレのこの時代にあまり新規出店が見られないような気がしていた。
と思ったら、新規出店に規制がかかっていたのだ。

QB ハウスができたのは意外にも最近のことで、第1号店は1996年11月の開店だ。
今では店舗数が395店(前年比+4%)、来店客数が年間1200万人(+6%)で、成長は鈍化しているもののまだ堅実に伸びている。海外ではシンガポールと香港に進出していて、44店舗がオープンしている。

さてこの業態のどこに規制がかかっているのか?
それは理容師法・美容師法で、店舗に温水を供給できる洗髪設備の設置を義務付ける動きがあり、すでに21の県で施行されているのだ。
これは既存設備には適用にならないので、今後は洗髪設備のないQBハウスのような業態は新規店舗を開店できない、というわけ。
なぜこのような動きがあるかというと、理容師75000人からなる「全国理容生活衛生同業組合連合会」(全理連)が、洗髪をしないせいでその後立ち寄った飲食店で髪の毛が落ちるといった苦情があった、という理由で法改正を訴えているということだ。

ではいったい何件そのような苦情があったのかはどこにも述べられていない。
群馬県で法改正の是非を議論しているときに消費者のアンケートが取られ、不衛生かという問いに対し「特に問題ない」+「快適ではないが不衛生とは思えない」をたすと60%以上にのぼったとのことだが、決議には反映されず結局群馬県でも規制が改定された。

洗髪をしないでバキュームで吸い取るQBハウスと、場末のさえない床屋のどちらが衛生的なのか、きちんと議論されたのだろうか?くしやはさみの衛生状態の方がポイントではないだろうか?

美容室は組合に入っていない店も多いみたいだけど、理容室はいまだにみんな同じ定休日だし、組合の力は強いんだろうか?
組合に入っていないと理容用品の代理店から仕入れられないとか、噂にはあるようだけどいまどきそんなことがあるんだろうか・・・。

ちなみに全国で美容室の件数は22万軒、理容室は14万軒ある。
自分は今は美容室派。いつのころからかなあ。
男性はアンケートによると20代と30代では美容室派と床屋派の比率に大きな差がある。
20代は美容室が主流。となると今後理容室の経営はますます厳しくなるだろう。
それに対抗し、美容室のようなカットを提案する動きもあるようだけど、自分たちの既得権益を新規アイデアの参入阻止で守ろうとするのは、タクシーとかよくあるケースかな。
理容師と美容師で法律を分けて、同じようなことをしているのに(違うのは顔そりくらい)、今だに別物にしているのは、保育園と幼稚園の構図に似ているような気がする。

若い男性向けに、おしゃれな理容室をチェーン展開すれば、結構なニーズはあると思うんだけどなあ。
この話を昨日自分の行っている美容室の店長にしたら、男性にはそこまでのニーズはなくて、チェーン展開をしようとしてもスポンサーは付かないと思う、と言われてしなったけど。

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