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オリンピック: 上村愛子と浅田真央

2週間のバンクーバー・オリンピックがほぼ終了した。
全体を通してコンディションも悪いし、トラブルも多く、運営に関しては閉会式終了後にどっと不手際ぶりが報じされそうな感じだ。

日本選手の成績は、というとまあ事前の予想通りだろう。最後のスケート追い抜きも世界ランクは3位だったそうだし、だいたい今シーズンの力がそのまま出たというところだろう。

1.上村愛子はソチを目指すのか?
オリンピックの最初は上村選手でもちきりだった。どこのチャンネルも上村選手とお母さんの話ばかりだったなあ。結果もドラマチックで4位。この筋書きは、次はメダルだろうという無責任な期待もあるのかな。
上村選手の今回のオリンピックに向けての準備は適切だったと思う。エアよりもターン重視の採点傾向に適応し、得意のエアを捨ててターンを磨き、「チーム上村」で戦ってきた。今シーズンはW杯の成績も今一つだったので、今年のコンディションの持っていき方には問題はあったかもしれない。
ただ、オリンピックのモーグルを見るたびに思うのは、「自分の実力を100%発揮しよう」という姿勢では勝てないだろうということだ。皆自分の能力以上にガンガン突っ込んできている中で、実力+運でたまたまうまくいった者だけが上位3人に入れる、という印象だ。
いい例が里谷選手。W杯でぱっとしなくても、いつもオリンピックではつっこんできてメダルを取っていた。今回も見事なつっこみぶりだった。今回は無残な負け方で、しかも不自然なくらいマスコミも存在を抹殺していたけど・・・。でもあの姿勢でなければメダルには届かない。
上村選手の試合前の発言で気になったのは「後悔をしたくないので思いっきり行く」というコメントだ。全然関係ないけど、行動ファイナンスでいうと典型的な失敗パターンで、後悔したくないという心理は結局安全策を取ってしまうというパターンだ。やはり自分の100%以上には安全バーを外すことはできなかったんだろう。
多分そこに気がつかない限り、もう一度オリンピックに出ても結果は出ないんじゃないだろうか?オリンピックの一発勝負よりは、シーズンを通しての王者を決めるW杯の方が、実力を発揮できるだろう。ぜひ来シーズン、最後にもう一度W杯王者を取ってから引退してほしい。

2.浅田選手はソチで金メダルを取れるのか?
一方の浅田選手。上村選手とは対照的に、採点法の変化にも対応せず、トリプルアクセルにこだわりを見せる一方で、表現力をつけるということでロシアの一時代前のコーチについてしまった。もうここで戦略が矛盾している。
しかも普通はコーチのいる国に選手が行って指導を受けるのが一般的(キム選手がカナダに住んでいるように)なのに、浅田選手は日本から離れたくないとのことで実際にコーチの指導を受けたのは試合の合流時くらいだったとのこと。キム選手が「チーム・ヨナ」みたいな感じでまさにプロフェッショナル集団だったのに対し、浅田選手は自分ひとりで立ち向かったという感じがする。プロ対アマの勝負では話にならないだろう。
浅田選手のいつも口にする目標に、「ノーミスの演技をする」というのがある。これは以前であれば採点法にもぴったり合っていたのだろうが、今の採点はどうも完成度による加点がポイントのようだ。金選手のコーチは2週間に1度スケート連盟と採点法についてミーティングをし、点数の取れる演技を緻密に練り上げていたそうだ。
今回、フリーの演技が始まった後、ノーミスの演技をしても勝てないのではないかという現実と初めて向き合ったんじゃないだろうか??今まで、自分がたてた高いハードルをクリアすれば目標を実現することができてきたが、今回は仮にハードルをクリアしていたとしても金メダルは取れなかっただろう。その現実を認めて、プロフェッショナル集団を作り、彼らの意見を聞くことができるかどうかが、ソチで金メダルを取れるかどうかの第一歩だろう。
もちろん、人ができないことをやるのが目標ではなく、金メダルを取ることが目標だったら、の話だけど・・・。彼女の場合は今回まずそこがぶれていたんじゃないだろうか。
マスコミも、銀だけど感動をありがとう、次は絶対金メダル、と毎日言うばかりではなく、きちんと今回の反省と今後の進むべき方向を分析して報道してくれたら面白いのになあ。サッカーのようにスポンサーのしがらみがあるわけでもないだろうし。

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