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2010年1月

JAL

JALがとうとう破綻した。
「とうとう」というのは、もうずいぶん前から事実上の債務超過だと言われ続けて、週刊誌にも告発記事なんかが書かれていたので、今さらなーという感じ。
日本ではマイルドな言葉を使って報道されているせいか、あまりショックはなくて今までの憧れというか妬みというか、そんな気持ちの裏返しの批評が多い感じがする。
海外のメディアでは、日本が経済的に大きな危機であることの象徴のような感じでけっこう大きく取り上げられていたけど、ハイチの大地震でかき消された感じだ。

もういろいろ批判の記事があるのでちょっと出遅れ感があるけど、まとめておきます。

疑問1: なぜ今になって破綻したのか?

まずそもそもの疑問はこれだ。よくリーマンショック以降ビジネス需要がとか、原油高で旅行客がとか言うけどANAはつぶれない。なぜJALだけなのか。
燃料効率が悪い大型機が多いとか、人件費が高いといったPLの問題はよく取り上げられていて面白くないので、バランスシートを見比べてみた。
まず1つ目は、単純に短期の借金だ。
2009年3月期の決算時、短期借入金+1年以内返済の長期借入金+1年以内償還の社債を合計すると、ANAが1577億円であるのに対し、JALは4715億円もある。営業利益で509億円の赤字なのに、多少政府が債務保証をしても回せないだろう。
2つ目には週刊誌でも報道されていたように、航空機購入にまつわるリベート計上のからくりがある。
例えば飛行機を1台購入するとする。そして値引きがあったときに、普通だったら値引き後の価格を購入額として計上する。費用は耐久期間で償却する。
しかし日本の航空会社は過去、購入金額の定価を購入額として資産計上し、値引き分を「機材関連報奨額」として営業外利益に一括計上する、という「グレー」な処理をしていた。まあ昔は商社や流通でもよく見られた手法とのことだけど、航空会社のリベートは金額のケタが違う。例えばJALは2003年3月期に420億円を計上しているが、この年の純利益は116億円なので、これがなかったら赤字だ。その後も2004年に292億円、2005年に483億円とどんどんこの「営業外利益」を計上している。目先の赤字は逃れてもバランスシートの資産はふくれあがってしまっている。これが足かせになったんだろう。
3つ目には、デリバティブの損失。JALとANAの株主資本はそれぞれ3840億円と4032億円でそれほど違いはない。しかし純資産合計となると1968億円と3258億円というように大きな差がでる。この差がJALの「繰延ヘッジ損益」にある2018億円のマイナスだ。これは2009年3月3日の日経新聞で日本企業が、原油価格が高騰し、その後下がってきたときに再上昇を予想してヘッジを組んだところ、予想に反してさらに原油価格が下落し、大きな損失を出したと報道されている。その中で2008年12月現在でJALは約2400億円の損失を出したとされている。しかし一方でANAは約1000億円だとされている。この差は何か?やはりデリバティブの失敗、ということができるだろう。
ということで、JALの破たんは公表資料からみても時間の問題だったわけで、政権交代が予想されていたことから自民党が先送りにした、というのが理由ではないだろうか。

疑問2: なぜJALを国が助けるのか?
1つ目の疑問はJALがなくなって乗客の誰が困るのかということだ。ナショナル・フラッグ・キャリアだからつぶせない、とよく言うけど、いったい誰が困るのだろうか?JALしか就航していない路線がたくさんある、というが、本当に乗客がいる路線は売却できるだろう。ANAは引き継がない、なんて言っているけどじゃあスカイマークでもいいじゃないか。外資系だっていいし。そう考えるとJALという会社がなくなって困る人は乗客ではないんだろうな。
2つ目には上にも書いたとおり、今回の破たんは経済状況ではなく経営のまずさが原因であり、責任は取ってもらうべきではないか、という点だ。やはりJALの問題点は「絶対つぶれない」と自分で思っている点にあると思う。現に今日も報道されていたけど、こんな騒動のさなかでも、1月15日はJALフランスの従業員を対象に新年会としてセーヌ川クルージングが会社の経費で行われていたとか、台湾では毎月恒例のゴルフコンペ(懇親会はJALが費用負担)の案内が今月も1月28日に開催する旨の案内が送られたとか、この状況でも全く緊迫感はない。社員総出で手書きのメッセージを配ってもそんなパフォーマンスにはだまされないだろうなあ。
3つ目には、競争の観点からもやりすぎではないか、という点。海外では、政府が助けた企業には事業上の制限がかけられることが多いと思うけど、JALにはあまりそういう話は聞こえない。ANAは、借金が棒引きにされて無借金になり、国から超低金利の資金を借りている企業とガチンコ勝負することになる。これではあまりにも不公平だ。

疑問3: そもそもJALを救うことは可能なのか?

もっというとこれだ。
1つ目には稲盛会長にJALを救えるのか、という点。京セラを大きく成長させた、という経営手腕が買われたというが、それはJALには通用しないだろう。彼のマネジメントの手法は一種のカルト的な手法であり、最初から自分の色に染めた組織では通用するだろうが、別の色にしかも強烈に染まっている組織を3年で変えるのは難しいだろう。現に過去にJALの再建にカネボウのトップも送り込まれたが、玉砕しているし。さらにはウィルコムでも失敗しているし。(そのウィルコムも国が救うというのはいくら民主党でも許されるのか??)
そうなると手法としてはカルロス・ゴーンと同様、今のうちにできるだけ損失は多めに出しておいて、最初の1年にファイナンス面でV字回復を見せて、「アメーバ経営で社員の意識が変わったおかげだ」ということにして2年くらいで生え抜きにトップを譲る、というのが予想されるストーリーだろうか。
さらに2つ目には民主党にJALを救えるのか、という点。言い方を変えるとJALにドラスティックな改革をさせられるのか、ということだ。
何といっても民主党の支持母体は労働組合。そう、JALは社内に8つもの労働組合を持ち、絶大な権力を持っている会社だ。
その労組の出しているこの新聞を読めば、こりゃー難しいなと思うだろう。
http://www.ne.jp/asahi/nikkou/rouso/yoku/wing_184.pdf

さて、どうなる?




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手帳計画2010

以前書いたことのある手帳の話、あーしようこーしよう考えるのは実はほとんど「趣味」と言ってもいいかもしれないくらいなので、ちょっと書いてみます。

 
最初の手帳は社会人になる直前。地方から東京の会社に就職するので、ちょっと自分に気合を入れるために
ファイロファックスのシステム手帳を買った。確か「Sherwood」という黒いバインダーだったかな。
何でシステム手帳にしたのかは全然覚えていないけど、何となくかっこいい、ただそれだけだったと思う。
 
それでいざ新入社員として配属されてみると、歴史ある日本企業なせいか、社員はみんな会社でもらう
薄い綴じ手帳を使っていて、若いのにシステム手帳を持っているとちょっと浮いた感じだった。
上司からは一度、「別にいいんだけど、どうして会社の手帳をわざわざ使わないの?」とチクリと言われたことがある。
それでも全然気にせず、ウィークリータイプのリフィルを3年くらい使っていた。
 
入社3年目の頃。仕事も同時並行でたくさん抱えるようになり、やりくりが大変だなーと思っていたときに、
当時の新宿紀伊国屋のアドホック館に並んでいた「フランクリンシステム」というリフィルを目にして、
これだ、と思ってファイロファックスのバインダーに挟んで使ってみた。
これがフランクリンとの出会いでそれ以降毎年使うことになる。
 
一番大切な価値観から書き出し、人生のゴールを書き、それに向けての行動計画を書き、月計画、日計画に
落としていくというのが基本で、当時は「7つの習慣」のコヴィ社と合併前だったので、7つの習慣に基づく
ウィークリーコンパス、というのはなかったっけ。売っているのも新宿紀伊国屋だけだったし。
 
自分はあまり人生のゴールなんて考えないので、価値観だけはいつも書いてみてはいたけどゴールについてのリフィルは使わなかった。メインは月間計画を立てるのと、毎朝その日のタスクを書きだして優先順位をつけることに使っていた。
あとは1日見開き2ページなのでガンガンメモをしたり、手帳に書きながら考え事をする習慣がついた。
 
その後毎年リフィルのデザインを変えたり、日本未発売のリフィルにしたり、バインダーを少しずつ高いものにしたりして10年以上使ってきた。その間にフランクリンもロフトやハンズで売るようになったり、最近はちょっと勢いがない感じだけどずいぶんと広まったなあ。
 
それで本題の「今年の手帳」。
最近の問題意識として、フランクリンはデイリーページとマンスリーページがメインで、「1週間」という区切りは後から追加になったウィークリーコンパスというしおりみたいなもの程度で、1週間という区切りはあまり意識されていない。
でも最近の仕事のスピード感からいっても、進捗の振り返りを月1回やるのでは遅すぎる感じがしてきた。
自分の場合は自分に鞭をうたないとだらだらしてしまうので、年に12回の鞭よりは52回の鞭が必要だろうと。
結局システムは何でもよくて、やるかやらないかの問題だけな気がして、じゃあもう少し厳しくしようかと。
その点ではフランクリンでウィークリーリフィルも同時並行で試したけど、どっちつかずで結局デイリーがメインだった。
 
それに加えて、さすがにもうフランクリンもマンネリ化してきて、常にフランクリンのフォーマットが頭の中に入っているくらいの感覚になっていて、ちょっと気分を変えてみたいなーと。
そこで、今年は思い切ってフランクリンはやめて、ちょっとあこがれだったスマイソンのウィークリーリフィルで週の計画をたてて、日々のタスクはファイロファックスの1日1ページリフィルを使って、今までのような感じで毎日タスクの優先順位をつける。
日々のメモはスマイソンのノートを挟んでそこに書き込む。
マンスリーのカレンダーはウィークリーとかぶるので使いたくないけど、もう長年使っていてカレンダーが頭の中にないと忙しさを把握できない体質なので、デルフォニクスというブランドのマンスリーカレンダーを入れる。
これが私の手帳2010となりました。
 
日々のメモ、タスク管理、思考はアナログの手帳でやり、昨年末から仕事のノートや資料はevernoteで
会社PC、私物PC、iPhoneの全てで見ることができるようにした。
この使い分けがなかなか快適。アナログ手帳はペンと紙を使うと思考が進むというか、まあ本当に気分の問題だけなんだろうけどまあアナログなりの良さがあって、デジタルのノートは後で検索も楽だし再利用も可能ですごく便利。
アナログメモとデジタルメモは、どっちがいいということではなくこうやって1人が使い分ける方向にいくんじゃないだろうか。
 
しかし、スマイソンはすごくいいです。ものすごーく高いけど。
何というか洗練されているというか無駄がないけどちょっとしゃれっ気はある感じ。
あの「ボンドストリート・ブルー」と呼ばれる淡いブルーのの紙を見るだけで何か書こうという気になる。
まあそんなことでその気になっていろいろ書くなら投資の価値はあるだろう。
 
ただし、半月にして早くも副作用が。
あまりに書き心地がいいのでメモは万年筆で書きたくなってしまい、Pelikan スーベレーンM405を買ってしまったこと。
(スケジュール欄は消せるように、パイロットのフリクション・ボールを使ってます)
今まで万年筆の深い世界に入るのを避けるために、会社では方眼ノートに書くときにLAMYのサファリという
プラスチックのお手軽万年筆を使い、手帳にはモンブランのボールペンを使っていたんだけど、とうとうぬかるみの世界に足を踏み入れてしまいました。
スマイソンのブルーの紙に、ブルーブラックの万年筆というのはしばらく続きそうです。
 
でも万年筆の世界は怖いなー。多分もう少し違う書き心地を求めて、また買っちゃうのかな。

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