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カブドットコム証券の企業文化

自分も使っているカブドットコム証券。斎藤社長はよく雑誌にも出てくる「成功した起業家」だ。
この会社で以前、社員がインサイダー問題を起こしている。しかも顧客が不正をしていないかを監視する業務にかかわっている社員だ。(といっても企業の開示情報を確認し、PTS市場で不正がないかをチェックするだけだけど)
この件に関しては「調査委員会」が5月に報告書をまとめて一件落着したと思っていたら、先日「特別調査委員会」がさらにレポートを作成し、報告している。この内容がすごいのだ。
5月の報告書は役員のレビューを受けたもので真実とはほど遠く、今回は社員にアンケートやインタビューを実施し、インサイダー取引をしてしまうような要因が会社側にもあった、という内容だ。この中で、斎藤社長のマネジメントの問題点をいくつか指摘している。

1.過度な情報共有
よく、社内の風通しを良くするために、オープンスペースが良い、という経営者がいる。元トリンプの吉越浩一郎氏もそうだ。カブドットコム証券もそうで、社長がワンフロアにずいぶんこだわったとのことだ。しかし証券会社はインサイダー情報が投資銀行部門にどんどん入ってくるので、社内でも機密を守らなければならない。チャイニーズ・ウォールもその例。
カブドットコムの場合は、社長がワンフロアにこだわったばかりに、コールセンターのやりとりを他部署の社員が聞くことができるという状況だった。
その結果、本来知る必要のない社員にも情報が提供された。よく組織の問題点をあげさせると「情報共有がされていない」と上げるケースが多いが、行き過ぎもまた問題ということだ。

2.メール依存文化
カブドットコムでは仕事のやりとりはすべてメールで行われる。一般社員で多い時には1日500通のメールを受信する。しかもそのほとんどは、宛先に社長が入っているそうだ。社長は所属長を超えて、しばしば直接担当者に指示を出すことも多いとのこと。
社長に直接メールでやり取りができる社風というとなんだかうらやましい気がするが、リアルの組織が全く無視されて、メールで社長と全社員がつながっているというのは組織上はやはり問題だろう。

3.社員への過剰な精神的コントロール
社長の気質としていらだつと手がつけられないそうで、「病院行くまでやれ」「死んでもらう」「いやならさっさとやめろ」と罵倒するのはよくあることだそうだ。しかもアフターファイブの社員同士の動きも把握したがるそうで、社員同士飲みに行っていることを知っていることをちらつかせるそうだ。何か失敗すると簡単に社内処分されることもあり、今回のアンケートに答えること自体に恐怖を覚えるというコメントもあった。

レポートでは、斎藤社長が美大出身だったことから、デザインや形式に偏重し、実質を軽視したことが指摘されていたり、社長の暴走を止める幹部がいなかったことが書かれている。

しかし会社の実態をここまで公式に明らかにしたものは今まで見たことがない。
雑誌の記事などではなく、当の会社が自ら発表している内容だ。
しかも過去の話ではなく、この組織は今なお存在しているのだ。
今頃社内はどうなっているんだろうか!?
誰々がネガティブなコメントをしたらしいとか、社長にチクる社員もいたりするんだろうなあ。

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受信: 2009年8月18日 (火) 14時12分

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