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2009年8月

すすきの

夏休みは実家のある札幌に帰省をしていた。
ニュースでも丸井今井が破たんしたとか、西武札幌店が閉店するとか、景気の悪い話が聞こえてくるが、実際街を歩いてみるとなんとなく以前より人が少ないのと、閉店した物件がそのまま空きテナントになっているのが都心部でもやけに目がついた。これは相当景気が冷え込んでいるようだ。

今回の滞在中、ずいぶん久しぶりにすすきのに飲みに行った。
さんまとか、うにとかおいしかったのはおいしかったんだけど、歩いている人が少ない。街全体がガラーンとしているような感じかな。

そう思って調べてみると、日銀の札幌支店が、北海道金融経済レポート「すすきの歓楽街の変遷と最近の動向」というレポートを出していた。仕事とはいえ、まとめるのは楽しかっただろうなあ。。。

1.店
2008年と1989年を比較すると、すすきのエリアの飲食店数は14%減、旅館・ホテルは実に27%減となっている。
エリアをみると、すすきのの縁の部分からの飲食店の撤退が多く、そのエリアはかわりに大型駐車場になっているそうだ。実際、駐車場の数は30%も増えている。すすきのに駐車場を作っても、車ですすきのには来ないだろうなあ・・・
そういうわけで、歓楽街としてのエリア面積は減っている。
飲食店を細かく見ると、閉店数はあまり変化はない。これは割引チケットによる集客が盛んなのと、賃貸料が下がっていることによる。
確かに札幌に人は「お得」であることにすごく敏感だからなあ。
一方で昨年以降目立つのが、新規開店数の激減だ。特にスナック・クラブ系の開店が減っている。これらを合わせると、今のすすきのは利益を削ってぎりぎりの生存競争状態、ということだろう。

2.人
人が少ないという印象を書いたけど、データにもそれが表れている。すすきのの入り口、ラフィラ・・・といっても全然わかんないんだけど、ちょっと前のロビンソン、昔の「ヨークマツザカヤ」(そういえばすすきので待ち合わせと言えば「ヨーク地下」だったなあ・・・)の東側の平日1日当たりの通行人数は、2006年が調査地点中11位の16512人だったのが、2008年は15位の11877人に大きくダウンしている。
ちなみに2006年の1位はJR札幌駅西改札の75465人、2位は同じく東改札、3位は札幌中央ビル(北1西2)、4位大同生命ビル(北3西3)、5位西武西口。なんと大通公園から南側は上位に上がってきていない。
これが2008年になると、1位と2位は変わらないんだけど、3位から5位がちょっとびっくり。3位が狸小路3丁目、4位が狸小路4丁目、5位が狸小路2丁目だ。
ええええー!?!?なぜ今さら・・・と思って昼間に行ってみると、確かに人が多い。ただ、店は観光客向けの店が多く、道行く人も観光客が多い。歩いている人は多いけど、店に入っている様子はない。
まあ、せっかく札幌に来て、駅前の大丸には行かないよなあ。札幌市民は駅前へ、観光客は狸小路へ、というのがパターンのようだ。
あとはこの観光客をもう1歩南に向かわせて、すすきのに入らせればいいだろう。
じゃあどこに行けば良いのか?
今のすすきのの問題点はここにあるように思う。
もう少しエリアごとに特徴がはっきりすればいいだろう。何となくおじさんの街、というイメージを変えて、入口には若者や女性が行けるようなスポットを作ればいいと思う。

さて、レポートには1989年と比べて店舗数が4.2倍にも拡大したジャンルがあると報告されている。
地元としては恥ずかしいが、風俗店だそうだ。
これはいったいどういうことなんだろうか・・・。

今回の札幌滞在で感じたのは、景気が悪いのに人は結構明るかったこと。
口を揃えて言うには、「今は何をやっても悪い時期だから、何もしないでじっとしているんだ」。 うーん、それじゃいけないと思うけどなあ。もう景気が短期間に循環するような時代は過ぎたことに早く向き合わなければならないと思う。

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カブドットコム証券の企業文化

自分も使っているカブドットコム証券。斎藤社長はよく雑誌にも出てくる「成功した起業家」だ。
この会社で以前、社員がインサイダー問題を起こしている。しかも顧客が不正をしていないかを監視する業務にかかわっている社員だ。(といっても企業の開示情報を確認し、PTS市場で不正がないかをチェックするだけだけど)
この件に関しては「調査委員会」が5月に報告書をまとめて一件落着したと思っていたら、先日「特別調査委員会」がさらにレポートを作成し、報告している。この内容がすごいのだ。
5月の報告書は役員のレビューを受けたもので真実とはほど遠く、今回は社員にアンケートやインタビューを実施し、インサイダー取引をしてしまうような要因が会社側にもあった、という内容だ。この中で、斎藤社長のマネジメントの問題点をいくつか指摘している。

1.過度な情報共有
よく、社内の風通しを良くするために、オープンスペースが良い、という経営者がいる。元トリンプの吉越浩一郎氏もそうだ。カブドットコム証券もそうで、社長がワンフロアにずいぶんこだわったとのことだ。しかし証券会社はインサイダー情報が投資銀行部門にどんどん入ってくるので、社内でも機密を守らなければならない。チャイニーズ・ウォールもその例。
カブドットコムの場合は、社長がワンフロアにこだわったばかりに、コールセンターのやりとりを他部署の社員が聞くことができるという状況だった。
その結果、本来知る必要のない社員にも情報が提供された。よく組織の問題点をあげさせると「情報共有がされていない」と上げるケースが多いが、行き過ぎもまた問題ということだ。

2.メール依存文化
カブドットコムでは仕事のやりとりはすべてメールで行われる。一般社員で多い時には1日500通のメールを受信する。しかもそのほとんどは、宛先に社長が入っているそうだ。社長は所属長を超えて、しばしば直接担当者に指示を出すことも多いとのこと。
社長に直接メールでやり取りができる社風というとなんだかうらやましい気がするが、リアルの組織が全く無視されて、メールで社長と全社員がつながっているというのは組織上はやはり問題だろう。

3.社員への過剰な精神的コントロール
社長の気質としていらだつと手がつけられないそうで、「病院行くまでやれ」「死んでもらう」「いやならさっさとやめろ」と罵倒するのはよくあることだそうだ。しかもアフターファイブの社員同士の動きも把握したがるそうで、社員同士飲みに行っていることを知っていることをちらつかせるそうだ。何か失敗すると簡単に社内処分されることもあり、今回のアンケートに答えること自体に恐怖を覚えるというコメントもあった。

レポートでは、斎藤社長が美大出身だったことから、デザインや形式に偏重し、実質を軽視したことが指摘されていたり、社長の暴走を止める幹部がいなかったことが書かれている。

しかし会社の実態をここまで公式に明らかにしたものは今まで見たことがない。
雑誌の記事などではなく、当の会社が自ら発表している内容だ。
しかも過去の話ではなく、この組織は今なお存在しているのだ。
今頃社内はどうなっているんだろうか!?
誰々がネガティブなコメントをしたらしいとか、社長にチクる社員もいたりするんだろうなあ。

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