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日本の新聞のビジネスモデル

米国の経済状況悪化とともに、たくさんの新聞が廃刊に追い込まれているそうだ。デンバー、シカゴ、シアトルと各地の主要紙が廃刊となり、あまりに多いので新聞の報道が追いつかない、という冗談が書かれているくらいだ。
歌川令三氏の「新聞のなくなる日」によると、米国の新聞社の収入の85%は広告収入が占めているとのこと。ニューヨークタイムズは95%にものぼる。新聞が売れなくても広告さえ取れていれば儲かる、ということはないだろうけど(新聞が売れなくては広告媒体としての価値はないし・・・)、新聞の売れ行きよりは広告量に依存していることは確かだ。
しかし、2005年をピークに新聞の広告収入は3分の1減少したようで、バークレイズキャピタルは今後1年間でさらに20%減少するとの予測を出している。それでは新聞の収支は合わないだろう。
彼らは新聞を売っているというよりは広告のスペースを売っている。なら別に新聞でなくてもウェブでもいいわけだ。問題はウェブのニュースにお金を払うかどうか、だなあ。となるとやはりニュースの質がポイントになるのかな。

さて日本の新聞。日経を見ていても今年は明らかに広告収入は落ちているような印象を受ける。日経グループの広告が多いし。幸福の科学の広告も目立つし・・・。
それでもダメージは米国ほどではないかもしれない。
というのは、日本の新聞の収入に広告収入が占める割合は36%にすぎないからだ。
メインは「新聞紙」の売上。もう少し正確に言うと、「読者への販売量ではなく、新聞販売店への販売量」が収入のメインだ。
最近某週刊誌がしつこく特集を組んでいるが、長年タブーとされていた「押し紙」がこれ。
全国の日刊紙の約20%が「押し紙」、つまり読者に届くことなく新聞販売店が買い取って毎日廃棄する新聞だ。別に自分達で食い合う分には関係ないけど、その押し紙を含めた「発行部数」が媒体力を表す指標になるので、そこは問題だろう。
新聞販売店の経営は当然苦しいので、自分達で昼間に新規獲得セールスに行くのと同時に、「拡張団」から新規契約を「買い取る」ということになる。しつこくセールスに来るちょっと怖そうな人たちがそれだ。
こう考えてみると日本の新聞のビジネスモデルは非常に危なっかしい事業だ。けど新聞にはもちろんそんなことは書かないし、日本の新聞社は放送事業もかかわっているので、当然テレビでも報じない。たまに押し紙の問題を週刊誌が取り上げる程度だ。

日本人の若い層は確実に新聞は読まなくなっているし、「新聞紙」を売る事業はどんどん厳しくなるだろう。「ニュース」を売る、もしくは「ニュースを載せる媒体」を売るモデルにいかに移行していくかが生き残りのカギだろう。

新聞といえば、日経の朝刊に業績予想やM&Aの詳しい記事が出て、東証のウェブサイトにその会社のプレスリリースとして「一部で報道されましたが、当社として発表した事実はありません」と掲載されて、その日の15時以降に正式発表するパターン。近年は以前にもまして増えているように思う。試しに朝9時頃、東証の適時開示情報閲覧サービスのページを見てみるといいです。早速その日の日経の記事がらみのリリースが載っているはず。これって明らかに会社が日経新聞に取材させていると思うんだけど、ルール上OKなんだろうか?いやーOKじゃないでしょう。そのうちどこかが取り上げるかな!?

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