麻生首相の問題設定
新年も明けてはやくも3週間が過ぎてしまいました。
仕事がちょっと忙しくなったこともあり、実に1か月ぶりの更新になります。
またまじめに書きます。はい。
今CNNをつけるとずーっとオバマ。大統領が変わるというのはアメリカ人にとって全てが変わる(かもしれない)特別なイベントなんだろう。
一方、日本。麻生首相のインパクトもすっかり薄れてしまった。
オバマと麻生の一番の違いは「We」と「I」だろう。オバマの演説は、Weで始まる。我々はこうしなければならない、できる、のような感じ。一方の麻生首相は「私は」で始まる。首相になったときの演説も「わたくし麻生太郎は・・・・わたしは・・・」「解散権はわたしにあります・・・」のような感じ。この時点でもう視点が違うのが明らかになってしまっている。
そして意見がぶれるとかいろいろ言われるが、自分が感じる1番の違和感は、「問題設定のずれ」と言ったら良いだろうか。ポイントがずれたところを一生懸命議論している感じだ。
もっとも、麻生首相を突っ込むマスコミ、民主党の問題設定がずれているのが大きな原因かもしれないが、麻生首相もそれに乗ってはだめだろう。
1.ホテルのバーの問題
最近あまり言われなくなったが、毎日帰る前にバーに寄るが、庶民感覚とずれているとかいないとか。これに対してバーはセキュリティを考えると高くないと説明したり、若者と飲みに居酒屋に行ってみたりしているが、問題はそこではない。
首相は日本で一番の「公人」であって、オフはないと思う。酔っているときに一大事が起きたらどうするのだろうか?帰ってからこっそりリラックスするのはわからないからいいが、公人であるべき時間帯に正々堂々と飲みに行く、そのこと自体が問題だと思う。
2.公邸への引っ越しの問題
公邸への引っ越しの時期が遅れて、国会の忙しい期間になってしまったが、夫人と子供の同意が得られなかったことが原因とかで、そんなことも自分で決められないのか?という指摘があったが、これも問題は1番と一緒。夜に部下の家などから海外の要人に緊急の電話をかけることもあったようだが、これも24時間公人であるべき首相には許されないことだろう。国家機密が盗聴されたらどうするのだろうか。その辺のセキュリティ意識がないことこそが問題だ。
3.漢字を読み間違える問題
今日も民主党の議員が、難しい漢字をいくつかパネルに書いて読めるかどうか、みたいな質問をしたようだ。そこを突っ込むよりももっと国際情勢や金融問題に関する知識を問う方がいいだろう。何せ「ゴルゴ13で国際情勢を学んでいる」と公言する首相なのだから、底は浅いだろう。麻生首相も今日は「みぞうう」と一呼吸おいて発言し、議場がどよめいたとのことだが、そこがポイントじゃないのだが・・・。
4.交付金を受け取るかどうかの問題
議員が交付金を受けとるべきか、受け取らないべきかが話題になったが、国民は全く関心はないだろう。そもそも交付金はどうなんだ、という点の議論が十分でないからだ。
「国民はお金をもらえるなら何だって喜ぶはずだ」という前提条件がどうも違うようなんだけどなあ。
5.消費税を増税することを明記するかどうかの問題
最もわからないのがこれだ。消費税を増税するかどうかを「明記するか」を議論しているのだ。2011年の増税を、この「緊急経済対策」を打たなければならない今、なぜ一生懸命明記しようとするのかがわからない。役に立たない、と普段いわれるマクロ経済の教科書にだって、将来増税されることがわかっている状態での経済対策は全く意味を持たない(将来増税されるのに消費などするわけがない)ことは書かれているし、現に以前の地域振興券で同様の失敗をしているにもかかわらず、だ。
彼は誰のために「2011年の増税」を明記しようとしているのか??
あるとすると、2007年に経団連がまとめた「今後10年の長期ビジョン:希望の国、日本」いわゆる「御手洗ビジョン」だ。ここで2011年までに消費税を+2%増税することが提言されており、これを守ろうとしているくらいしか理由は思いつかない。
もっともこの御手洗ビジョンは、消費税を上げる一方で法人税を10%減税するよう提言しており、その他にも経営者に有利な提言ばかりの悪評高い提言だったんだけど、それを守ろうとするのに、まるで政治家生命をかけているようにも見えてしまう。
私の恩師は企業のケースをやるときに「設問」を出さなかった。彼曰く、問題は何かを自分なりに考えるという「問題設定」こそが大切だ、と。これがずれたものだと、その解決策もずれたものになってしまう。
麻生首相を見ていて思うのは、この「問題設定力」の欠如だ。
「首相になること」こそが問題だったから、もうそこで終わっているのかな??
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