日本経済は他のどの先進国よりも急速に縮小している
今日の麻生首相の演説の中に、「日本は他国と比較して金融危機による傷みは小さいので、バブルを乗り切った実績のある日本が、現在の経済危機を乗り切れないわけがない」という趣旨の発言をしていた。まあ今日が2008年10月だったらその通りかもしれない。がその後11月、12月、1月に日本に何が起きているのか、首相は知らないのかもしれない。
以前にも書いたことがあるが、日本のことを一番鋭く、正確に分析しているメディアは、英国のEconomist誌だと思う。1月24日号の記事「Early in, Early out」の見出しが、今日のブログのタイトルだ。つまり「金融危機の嵐に直撃されなかった日本経済が、今ほかの先進国よりも急速に縮小している」という内容だ。内容はこんな感じ。
11月の輸出は前月比27%ダウン、12月にはさらに悪化して35%ダウン。イメージは対米輸出の悪化だけど、対米は36.9%。一方で対中国も35.5%であるので、対米に限った話ではない。12月には景気の先行指標とされる工作機械受注率が前年比で何と72%ダウンしている。
2002年から長く続いた「成長」を支えた輸出が、自動車と消費者向けハイテク製品に偏っていたこともあり、この2領域の大きなダウンが輸出を直撃している。
そして予想外なのが、日本国民の心理的打撃の強さ。つまり消費者の需要が急速に冷え込んでいる。自動車の国内販売は前年比20%ダウンし、百貨店売上も10%ダウンしている。
もう1つ逆に予想外なのが、日本企業の柔軟性。今までの不況時には決して手をつけなかった余剰人員、生産能力の調整に非常に迅速に手をつけている。その意味での「柔軟性」だ。
戦後の日本が輸出に頼って成長してきた、その成長モデルはこれで崩壊したといえるが、今の日本経済にとって最大の問題は政治の機能不全だろう。
2兆円という相対的に小さな景気刺激策(交付金のこと)の是非について、与野党間、あげくのはてには与党内で議論をしているが、JPモルガンのアナリストいわく今の需要減に対抗する刺激策には4倍の規模の対策が必要だとしている。しかもこの2兆円の大部分は、使われることもなく消費者のポケットに入って終わりである。
政府が大胆な経済対策をうてない背景の1つには、バブル以降に積み重なった債務がある。でも金利は低いので利払いは少ないし、国債のほとんどは日本人が持っているのだから、債務のリスクは小さい。リスクは小さいのだから思い切った景気刺激策を打てるはずなのだが、今の日本の政治はそれを決定できない。
つまり日本以外の国が、必死になって日本のバブル後の経験を避けている時に、日本が粗末な政治のせいで重い足取りで他国の後ろをのろのろついていっているということだ。
とまあ、こんな内容だ。こんな日本を本気で何とかしようという人が政治に乗り込んでいくしか、日本を救う手はないように思う。以前のEconomist誌は、その役割を果たしうるのは「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)だ、と述べていたが、そういえば今頃北川さんはどこで何をしているのだろうか・・・。マスコミに取り上げられないと存在も忘れられてしまうので、ぜひ派手に活動してほしい。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント