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2008年11月

マスコミに対するトヨタの報復

このニュースも最初に報じられてからさっぱり後が続かないなあ。
トヨタの奥田相談役が、12日に開かれた「公正労働行政のあり方に関する懇談会」で述べたコメントなんだけど、ニュースとしてはかなりのインパクトがあると思うんだけど・・・
TVによる年金問題の報道に対する彼の批判。
「あれだけ厚生労働省がたたかれるのはちょっと異常な話。正直言って私はマスコミに対して報復でもやろうかと。スポンサー引くとか。」

これはすごい発言だ。
1.広告宣伝費の力
何といってもスポンサーであることのパワーを自らの口で語ってしまっている。これはトヨタのトップとして失態だろう。

2.なぜ年金問題?
それはそうと、なぜその怒りの矛先が年金問題なのか。何かトヨタに問題でもあるのか?それとも単に奥田相談役の政治欲というか、政治を動かしているのは財界トップの自分だという自負の表れか、何なんだろう。
話はずれるが、ここのところの政府批判や不景気報道に対して、消費者の財布のヒモがしまるので広告主の業績にも影響があるということで、そうした報道を控えるようにと指示が出たTV局もあるという話だ。それに対する怒りならまだわかる。

3.ところで相談役が企業の広告宣伝費の決定権限を持っているのか?
1でトップと書いたが、奥田氏はもう相談役だ。相談されたらアドバイスする、という役職名じゃないのかな(笑)?トヨタの今年の広告宣伝費は、昨年の1083億円から3割程度削減されることがもう発表されている。この奥田氏の失言問題があまりマスコミで取り上げられないということは、まだまだトヨタにとって奥田氏はかつてのまま、「天皇」なんだろう。

トヨタというと以前にも何度か書いたが(なぜかこの話題を書くたびに文章が消えてしまったりするが・・・愛知県からのアクセスも増えるし・・・笑)、マスコミはあまりネガティブな記事を書けない企業だ。これは報道が広告料でなりたっているビジネスである以上、当然のことであるし、限界であると思う。
しかしそのパワーを本人がメディアの前でちらつかせてはいけないし、「トヨタはすばらしい」と思っている一般の人々にも疑問を抱かせることになるのではないだろうか。

若者の車離れが急速に進んでいる、という話もあまり報道されてこなかったが、今日のニュースの中にそれが出ていた。2009年の国内販売計画は150万台を割り、28年ぶりの低水準になるというニュースがそれで、原因として景気の悪化と若者の車離れがあげられていた。今までトヨタというと「世界最大の生産台数まであとわずか」という形で好調さが強調されてきたが、このニュースでは「今年の10月までの販売台数は5%ダウンの127万台で、このままいくと4年連続で前年割れにおわる」となっている。なんだ、国内は不振だったんだ、と改めて気がついた。

今日書きたかったことの2点目は「メディア・リテラシー」。数多い情報の中から正しい情報、有用な情報を自分で取捨選択できる能力のことだ。日本人は圧倒的にこれが弱いと思う。自分も含めてだけど。海外では学校の授業として取り上げられている国もあるのに。
2006年に読売新聞が行った調査では、新聞を大いに信頼できる+大体信頼できるとこたえた人の割合が、50歳代でなんと92%。一番低い20歳代で83%もいるそうだ。
TVよりも新聞を読もう、というくらいだから、日本人のメディアリテラシー教育はかなり難しいだろうなあ。

最後にもう1つ今日のニュースで気になる記事が。昨日放送されたサザエさん40周年スペシャル番組の視聴率が20.9%を記録し、ここのところ10%台後半と低迷していたが長寿番組の貫禄をみせつけた、という記事だ。んー、株価の底はまだ先かな。(意味がわからない方は10月30日のエントリーをご参考に。)

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首相に庶民性は必要か?

麻生首相が飲みに行くホテルのバーが高いとか、安いとか。
小沢代表はいつも行くのは安い居酒屋だとか。
テレビでは実際にそれらの店に行ってレポートをしたりなどしている。

日本国民は本当にそんなことに関心を持っているのだろうか?
そもそものきっかけは北海道新聞の記者が質問をしたことに端を発するが、この問題設定が間違っていたのだろう。
麻生首相は裕福な家庭に生まれ育ったのだから、お金の使い方が庶民と違って当たり前だし、国会で質問されて困ったようにカップラーメンの値段なんて知っているわけがない(ちなみに400円くらいか、と答えたけど)。
じゃあ総理大臣が毎日新橋の居酒屋で飲んでいたら安心なんだろうか??逆に心配でたまらないけどなあ・・・。

今日本の総理大臣は国内よりも海外に向けてパフォーマンスをすべきだと思う。まだ実体経済はそんなに悪くなくて、金融面だけに集中していればいいのだから。
麻生首相は、この前はスーパーの視察、この週末は地方に行って漁業関係者と意見交換をして駅前で遊説をしたようだが、そんなパフォーマンスをしている時間があったら、日本で金融サミットを主催して世界恐慌の回避のリード役をやった方が海外ではもちろん、国内でも評価が上がって選挙対策にもなるだろう。
申し訳ないが庶民の暮らしは自分にはよくわからない、しかし国を背負って国益のために海外と戦う、その方が受けると思うけどなあ。

海外ではいまだ「バブル後の日本の対応に学ぶべき点があるのではないか」という議論がされているのだから、体験談を話すだけでいい。日本の株式市場は、なんとなく欧州、米国の後に開いて、そちらの影響を多大に受けるというイメージがあるが、日付からいうと東京のマーケットが一番最初に開くというのは最大のアドバンテージだ。日本でまず方向をつくって、欧州、米国が続くという流れをつくればいいと思う。

しかし今の首相、財務大臣にはそのような意識はなさそうだ。金融対策を打ち出すのは昼頃とか、ひどいときは9時15分。遅くとも9時だろう、普通は・・・。
今の日本の株式市場は誰もが上がるのか下がるのかわかりやすいサインを探している状況なので、サインさえ出してあげればコントロールするのはそんなに難しくないはずだ。
自分でできないんだったら、米国のように有能な経済・金融のブレーンをつけて任せればいいと思う。

その点の良い見本になるのがオバマかもしれない。政策に詳しいわけでもないし、全部専門家に丸投げだけど、丸投げする分まだましだろう。余計なことはしないだろうから。危機の時のリーダーシップは彼のスタイルの方がいいと思う。

話はかわるが、意図がわからないのが話題の定額給付だ。つっこむべきは所得制限ではなくて、そもそもの目的だろう。前にやってみて、消費にはつながらずに預金に向かっただけで終わった施策が、今回は成功すると考える根拠は、誰も深く追求しない。なぜ減税ではだめなのか?お金でわたせば国民は使っちゃうだろうし、その上で消費税を上げるといえば反対しないだろう、と考えているとしたら相当国民は頭が悪いと思われているのかもしれない。そして実際に所得制限に対する文句が出て、消費税については議論にならないところを見ると、本当に国民は頭が悪いのかもしれない・・・

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