野村がリーマンの一部を買収
前回書いたリーマン破産以後、次はモルガンか、ゴールドマンか?と見られていた連鎖反応は、ひとまずFRBと連邦政府、それから各国財務省のすばやい対応でひとまずの決着がついた感じだ。
「すばやい」と書いたけど、今回の一連の問題は前からわかっていたことで、本当にぎりぎりまで手を打たなかったが、問題が噴出したら「すばやく」対応した、と言う意味だ。
リーマン、モルガンスタンレーは日本の資本も受け入れたが、最大の注目だったゴールドマンは、やはり日本の資本など入れさせずに乗り切った。やはりそこは米国としても譲れなかったのかな?
そして野村がアジア・パシフィックの一部買収に続いて、欧州・中東の株式と投資銀行部門を買収することが決まった。その買収金額は・・・なんと2ドル。
最終的に競り勝った要因は受け入れを約束した従業員の数で、2500人を確約した野村がバークレイズを抑えて勝ち取った。
1.人件費はいくらかかるのか?
日本のニュースではあまり詳しく書かれていないが、フィナンシャルタイムズによると、野村は、リーマンの優秀な社員に対して、来年の秋まで在籍してくれれば昨年と同額のボーナスをキャッシュで支払い、さらに2009年のボーナスも2008年並みを原資として確保する、と提案しているとのこと。今は転職先もないだろうし、これは条件として申し分ないのではないか。1年間待って、とりあえず最悪の状況が収まるまでは、実績を出さなくてもボーナスはもらえるんだし、「NOMURA」という日本のローカル企業でもいいか、という感じだろうか。
2.ところで優秀な人材は残っているのか?
問題はこちらだろう。銀行を買収するなら担保とか債権とか実質的なものがあるけど、証券会社は優れたスキームを生み出す人在が資産のほとんどだと思う。もうこのタイミングだと優秀な人は引き抜かれているだろうし、別に稼がなくても暮らせるだけの財産は持っているんだろうから1年くらいバカンスを取る人も多いんじゃないかな。
そもそもリーマンは、ゴールドマン、モルスタ、メリルと比べると、やはりその次というイメージがあるので、人材も平均的には落ちるだろうし。実際、野村の社員は「リーマン日本法人の社員は1人もいらない」と言っているというコメントも報道されている。
野村は2ドルで何を買ったのだろうか。名前?ブランド?まあそれは破産したから2ドルだろう。
ひょっとすると雇用の確保と手厚いボーナスという条件で、空っぽの大きな箱を買ってしまったのではないだろうか?
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