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北京オリンピックの不思議10

先週は1週間の夏休み。普段はあまりTVを見ないんだけど、オリンピックは何となく気になって結構見てしまった。何だか今回のオリンピックは不思議というか、違和感を感じることが多い。10個あげてみよう。

1.TV中継で取り上げる競技が偏っている点
以前は、オリンピックでもなければ見られないような競技もTVでやっていたような気がする。水球とか、競歩とか。それが今回は非常に偏りが多い。日本の活躍が期待されている(というかTVが期待を作り上げている)競技しかTVでは流れていない。生放送の時間でなければ、その同じ競技の録画を流している。注意して画面の右上の「LIVE」の文字を確認しないと、いつの試合だかわからないほどだ。

2.日本での人気と結果とのギャップが大きい点
サッカーとバレーが特にそう。日本ではこれらの競技は広告代理店の「イベント」であり、サッカーであれば親善試合も含めて毎試合が「負けられない試合」。バレーは日本にとって都合のいい順番であたる。最初は微妙に勝てそうなチームで、盛り上げておいて、3試合目くらいに強いチームとあたる。その後弱いチームに確実に勝って、「お、強いのか?」と思っていたら後半ずるずる負けて世界の8位くらい。
でもオリンピックは日本だけがそういうわけにはいかない。やはりこれはスポーツであり、演出できないものなのだ。

3.ナショナリズムと根性論が突然台頭する点
オリンピックになると、突然「頑張れニッポン」になる。まるで国民の期待を一身に背負っているかのような選手もいる。マラソンの野口とか。でもどうせ終わったらすぐに忘れるんだから、真面目に受け取らなくても良いように思う。それでもメダルを取ると「日本のために頑張って取ったんですよね、すごいですね」みたいにインタビューをされてしまう。今日も男子レスリングの選手が、インタビュアーに「ニッポンのお家芸のメダルを守ったわけですよね?これは本当にすごいことですよ!」といわれて、「別に自分のためにやっただけで、それで結果が出たのはいいことです」と冷静に答えていた。
あと根性論。野球はプロの選手が揃って丸坊主だ。休養日に自主練習に出てきた選手を監督が褒めていた。プロなら休養の方が大切だと思うけどなあ。個人的には土下座と坊主はその気になれば簡単にできるポーズなので、全然信用していないけどなあ。

4.お金にまつわる話が出てこない点
オリンピックはスポーツの祭典だが、スポンサー契約で数十億稼ぎ、心理カウンセラーも含めた10人くらいの「チーム」を作っている選手もいれば、遠征費用も自腹で経済的に苦しい選手もいる。実績を出してスポンサーがついて、大きな期待を背負う選手が億単位の収入を得るのはいいんだけど、なんか同じスポーツ大会で競うのはどうかな、とも思う。TVはそうしたカネにまつわる話は一切取り上げない。
例えばあれだけ騒いだレーザーレーサーの件。見事にオリンピック中は無視だった。インタビューのときも顔をアップにして胸のマークがあまり映らないようにしているように見えた。北島選手は金メダルは立派だが、もし契約内容がミズノの排他的な独占使用権だったとしたら、明らかに社会人として契約違反だろう。排他的だからこその対価を得ているわけなので。あと例えば柔道の谷選手。選手団と一緒に北京入りすると、1人だけ別行動を取り、彼女のために用意された専用の道場で、6人の練習相手と最後の調整をしたそうだ。さすがトヨタだなあ。他には星野JAPAN。日本選手団で唯一選手村に宿泊してない。高級ホテルを占有し、顔を洗ったり歯を磨く水までも日本から持ち込んでいるとのこと。大会前には監督以下仲良しコーチ陣全員で、出場国を回って「情報収集」したとのこと。あまり采配には役に立っていないようだけど。

5.マスコミがすぐに「これで引退するのかどうか」を気にする点
これはどうしてだろう。「引退しない」というと「何でだ?」とバッシングするくらいの雰囲気がある。今回はベテラン勢の活躍が目立つからなおのこと目立つのかな。

6.「自分にとっては金メダルです」というコメントが目立つ点
これも何だ??銀メダルや銅メダルに終わった選手や、応援団がしきりにこのせりふを口にしている。銀は銀だし、銅は銅。金以外は負けているのは事実だ。でも銀だってすごいし銅だってすごい。出ていることだけでもすごい。そういった納得の仕方ではなく、「この銀メダルは自分にとっては金メダル」という納得のさせ方をするのは、ちょっと違うように思う。
あとは期待に沿えずに失敗に終わった選手を、報道が取り上げずにスルーするのも今回の特徴だ。以前は「税金の無駄遣い」くらい言われたのに。負けた人、失敗した人を批判するのが良いわけではないが、美化する必要もあえて無視する必要もないように思う。

7.中国はいったいいくらお金を使っているのか想像がつかない点
開会式も派手だったが、運営も徹底している。会場の応援席をよく見ると、応援指導をしている係員がいる。マイナー種目に対しては、当局が応援者を動員までしているとのこと。前日に「明日はこの競技に」と連絡がくるらしい。あとはマラソンを見ていてもまるでセットを走っているかのようにごみひとつ落ちていない絵が流れていた。有名な貧困地域であるフートンは高い塀が作られて、完全に目隠しされていた。これだけ国自体を「演出」しているオリンピックで、開会式の女の子が口パクで腹立たしいとか、そんなことは本当に小さなどうでもいい話だなあ。
ちなみに今回の北京オリンピックの予算は142億ドル。実際にかかっているお金は公表ベースで400億ドル。それ以外のものも含めると600億ドルとの声もある。シドニーで使ったお金が11億ドル、アテネが160億なので、今回のオリンピックの空前絶後さがわかると思う。さすが外貨準備高世界一の中国だ。

8.種目によって妙な時間に決勝がある点
前の話と関係があるが、これはTV放映権料の問題だ。今回のオリンピックの放映権料の8割は米国が支払っている。中心はNBC。NBCといえばGEの子会社であり、中国ビジネスを本格的に展開しているGEの意気込みがわかる。この元を取るためにも、人気競技はゴールデンタイムに取りたい。水泳の決勝が午前、陸上の決勝が深夜なのは、米国の東海外でいい時間だからだ。日本はNHKと民法がコンソーシアムを作って200億円の放映権料を支払っている。マラソン、体操などの決勝時間は日本の意向で決められたという報道があった。もっとも日本時間だと自然な時間だったけど。

9.不振競技で協会やコーチの責任が追及されない点
男子柔道は、明らかに「一本を取るニッポンの柔道」にこだわり、対策を先延ばしにしてきた協会の責任は大きいと思う。その意味でも、協会に歯向かう石井選手が金メダルを取ったのは痛快だった。一本を取れ、でもポイント制の試合で負けるな、というのでは何の戦略も戦術もない。男子サッカーでは、オーバーエイジの大久保の参加をチームが拒否したのは、協会がチームに事前に通知をしていなかったことにチームが激怒したためだ、とのこと。またこれをきっかけに監督とチームが分裂し、大会前に既に3戦全敗を予想した雑誌もあった。もっとも監督は全敗しても「悔いはない」みたいに言っていたけど。
女子マラソンだって、やはり大会直前にフォームをいじるのはリスクが大きいのではないか。これらの不振の背景には、60代、70代の人が幅を利かせている協会の古い体質、新しい変化に対応できない体質があるのではないだろうか。

10.何はさておき、オリンピックがらみで批判が聞こえてこない点
批判といえば開会式の演出くらいなものだ。あとは選手個人、協会、コーチ、全てに関して、批判することはタブーのようだ。まるで報道統制がされているように。もし何か批判的な報道をすると、その後の取材に影響するのだろう。
オリンピックが終わると、待ってましたとばかりに「実はこうだったから失敗して当然だった」みたいな暴露話が出てくるのだろう。

さてオリンピックも残りわずか。柔道、水泳、女子レスリングが終わって一気に盛り下がっている感もあるが、頑張れ!ニッポン!!(笑)

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