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社長が2人?

今週一番驚いたニュース。新聞の見出しを読んで一瞬理解できなかった。

中古車売買のガリバーの新社長に息子で専務の兄(37)と弟(35)が就任。

あー、子供に社長を譲って、自分は会長に退くんだ・・・って社長が2人??

そう、会社の「トップ」は会社法上は「代表取締役」であり、「社長」というのはあくまで社内での呼称にすぎないので、別に2人いようが問題はないのだ。「代表取締役大将」でも「キャプテン」でもいいわけだ。

この兄弟は、H7年に同時に取締役に、H11年に同時に常務になったのだが、H13年に兄だけが専務になり、弟は5年遅れてH18年に専務昇進、そして今回は再び同時に社長だ。一時は兄が後継候補だったのが弟が巻き返して追いついた、ということだろうか。

であれば、社長はそのままで、2人の専務を副社長に、というのでは何がいけなかったのだろうか。ガリバーは「社長2人体制で会社を牽引することが、さらなる株主価値の向上につながる」と言っているが支離滅裂だ。肉体的パワーで引っ張るわけじゃないんだから、1人より2人の方が力が出る、というものでもないだろう。

社長の役割はいろいろあるが、社長にしかできない仕事は、「意思決定すること」だ。何をやるかを決めること。もっと難しいのは何をやらないかを決めること。もちろん正解は誰にもわからないし、判断のベースとなる情報、データも完全に揃うわけでもない。そんな中でも最後は1つに決めなければならない。2人のトップがいるとこの「意思決定」プロセスがとても複雑になる。

シナリオ1: 会長が引き続き意思決定する。

恐らくこれが実際だろう。意思決定はあくまで会長がやる。となると社長なんて名ばかりということになる。名ばかりならむしろ良いのだが、社長という肩書きを与えられると彼らもそれらしい振る舞いをするだろうし、社員はその対応に追われるんだろうなあ。

シナリオ2: 本当に社長が2人力を合わせて意思決定する。

一方会長の言うことが本当だったら何が起こるか。それは社内政治だ。それぞれの社長に十分根回しをして、どっちが勝ったとか誰がどっち派だとか、そういうことが始まるのは組織論上当然の結果だ。

創業社長の最大の仕事は「後継者を決めること」だ。ガリバーの社長は、その最大の仕事をできなかったといえる。ファミリー企業であれば問題はないが、ガリバーは上場企業である。投資家に十分な説明をすることが求められるだろうが、「2人の新社長は創業時からのメンバーであり・・・」としか説明していない。社歴が長いと経営能力が高いと考えているのだろうか??      

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