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日本の痛み Japain (Economist誌)

英国雑誌Ecomomist の最新号で日本の特集が組まれている。表紙には「Japan」という文字に毛筆で「i」と書き込まれ、「Japain」と書かれていて、その下にはWhy you should be worried about the world's second-biggest economy と書かれている。

Economistといえば非常にストレートかつ論理的な文章が多くて面白い。去年だったか、「ベルギーは国としていらない(無政府状態だったので)」みたいな記事を堂々と載せていたし、日本についても鋭くて、安部政権誕生時(まだ人気のあった頃)に、「短期政権に終わるだろう」と指摘していた。

今回の記事の概要は次のような感じ。日本の政治を問題にしている。

1.日本のバブル崩壊は現在の米国にとって参考になるか?

・日本の不動産と株式のバブルは1990年に崩壊し、その不良債権はGDPの5分の1もの大きさだった。回復には12年もかかり、2005年にようやく金融不安と資産デフレは終結した。それでも現在日本のGDPは下がったままであり、機会損失は大きい。

・今の米国のバブル崩壊も、金融危機が実体経済を脅かしている点では共通しているが、相違点の方が多い。日本のバブル崩壊の方がはるかに規模が大きかったし、しかも日本は未だにその根底にある問題を解決しようとしていないのだ。

2.日本のバブル崩壊後の対応

・米国政府は今、金融政策と財政出動で積極的に危機に対応しようとしている。金融機関も積極的に損失を公表しようとしている。一方日本は市場に嘘をつき続け、政府もこれに加担した。

・本当に必要なのは資本市場の開放だ。外資規制を撤廃し、労働市場を開放して海外の投資家にとって魅力的な環境を作る必要がある。

・しかし日本企業の生産性は低く、投資効率は米国の半分。消費は縮小したままだ。こうした中、問題を先送りにしているのは日本の政治家であり、官僚システムである。日本の官僚は個人株主をバカ呼ばわりし、日本の古い企業を海外の投資家から守るための制度改正に必死だ。

3.日本の政治の現状

・自民党は小泉首相が進めた改革をあきらめ、むしろ逆行している。派閥、官僚、建設業者や農業団体の影響力が強くなっている。現在の低迷の責任は福田首相にある。白髪層が公共事業などの既得権の維持を要求しているが、彼はそれを抑えられない。

・一方民主党も状況は同じで、かつては改革派とみられていた小沢代表も今では古いタイプの自民党のボスのようだ。彼がもう1人の責任者である。彼の言動は民主党の改革勢力としてのイメージを台無しにしてしまった。ただし実質的な権限は鳩山氏に移っており、次の選挙までに民主党が体制を一新できるかが鍵である。

・さらに悪いことに、昨年民主党が参議院の多数を奪取した。憲法は参議院と衆議院が同時に違う政党に支配される事態を想定しておらず、野党は事実上あらゆる政府の方針を妨害することが可能になっている。

・実際、昨年9月に就任した福田首相は、最初の4ヶ月をインド洋で活動する1艘の給油艦に再度給油活動を認めさせる戦いに費やした。現在は4月から始まる来年度予算を通過させることと、3月19日に就任する日銀総裁指名で手一杯である。

4.今後の政治オプション

(1)再度自民と民主で大連立を組む。これだと日本は一党支配時代に逆戻りとなる。

(2)総選挙を行う。ここで唯一の希望は、超党派で結成した政治団体「せんたく」だ。彼らは地方分権化を望んでおり、選挙の際には使われない高速道路、渡れない橋を作るというような間違った政治家に惑わされたない人々に訴えようとしている。

次の総選挙でどこが勝っても、混沌状態は深まると言う人もいる。しかし国民には選択をする権利が与えられなければならない。たとえ選択の結果がさらなる混乱を招いたとしても、今のように何となく安定したまま没落していくよりも、問題が表面化した方がましだ。

→以上が記事の概要だ。

1.海外メディアでは、小泉改革を高く評価していることが多い。日本で彼は郵政民営化などで人気を集めたが、海外メディアのいうところの「改革」は別の点にある。それは関税引き下げであり、産業別優遇税制の廃止であり、外国企業への税制緩和であり・・・つまりは市場原理の導入だ。これは小泉首相というよりも竹中大臣が財政諮問会議の成果である。ただその竹中氏は、国内では「日本を外国に売り渡した」というように評価されているような気がする。同じ「小泉改革への高評価」といっても、国内では「郵政民営化などなんとなくいつも改革しようとしていた」姿勢への評価であり、一方海外では竹中氏に指示を出して市場開放に努めた、と言う意味での評価である。海外での小泉評にピンとこないのはそのギャップがあるせいだろう。

2.今の日本の現状を招いた要因として、もちろん政治の問題は大きいと思うが、それを伝えないマスコミの問題も日本では大きいと思う。あまり意識しないがこのブログでも何度も書いているけど。国内メディアよりも海外メディアの方が客観的に正確に現状をまとめていると思うが、多くの日本人はこうした情報から隔離されているのだ。Economistにはその点も指摘してほしかったが、同業者への遠慮だろうか??

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