スターバックス vs. マクドナルド
今朝会社に行く途中、マクドナルドの店員が交差点で、テーブルにコーヒーポットと紙コップを並べて、「振る舞いコーヒー」をしているところに出くわした。マクドナルドのコーヒーがおいしくなったので、ぜひどうぞ!というキャンペーンだ。
自分はスターバックスをよく利用する。朝、会社に行く前に本を読んだり、休みに子供を連れて行って一休みしたり。相変わらず混んでいる店が多いが、以前のように座るのに並ぶほどでもない。スターバックスは毎月の売上、客数、客単価の前年比をタイムリーに公表しているのだが、2007年は既存店の客数は前年比下がっている月が多い(だいたい96%からよい月で100%)。それでも売上高は100%を毎月クリアしているのは客単価がアップしているおかげだ。確かに以前に比べるとコーヒーだけでなく、一緒にドーナツやケーキを食べている人が目に付く。
そんなスターバックスも本家米国では深刻な経営不振だ。2007年第4四半期の決算も、ワールドワイドでは好調だが、米国の既存店売上は減少している。今年赤字店舗を100店閉鎖することも発表しているし、3月の株主総会では600人の人員削減を含むリストラ案を発表することになっている。
この原因がマクドナルドなのだ。日本から考えるとちょっとぴんと来ないけどなあ。
マックが各店舗に専用のコーヒーコーナーを設けて、本格的なマシーンを置き、専用スタッフがエスプレッソを入れる、または高級豆を使った「プレミアム・ロースト」というコーヒーを投入したところ、スタバに流れていた朝食客を取り戻したというのだ。
そうしたところに追い討ちをかけたのが、雑誌「Consumer Reports」の3月号。スタバ、マック、ダンキンドーナツ、バーガーキングの4店のコーヒーの飲み比べ特集記事があり、1番おいしいコーヒーは一番安いマクドナルドだ、と結論づけたのだ。これはNew York Postでも取り上げられて話題になり、スタバは先日17:30~21:00に全米の全店舗を閉め、おいしいコーヒーを入れるトレーニングを行ったほどだ。もっともこれは写真入りで詳細にウェブサイトでもレポートされているので、広告的色彩が強いけど。
ちなみにマックの評価は「ほどほどにカフェインも強い。微妙な味わいには欠けるが特に欠点もない」。対するスタバは「苦い、こげたような味」。ダンキンはちょっと落ちて、「薄い、水っぽい、なのにスタバより高い。不快ではないが魅力なし」。バーガーキングにいたっては「コーヒーのように見えるが、味はお湯のよう」・・・。
1.スタバとマックは競合なのか?
日本で考えると、どう考えても客層は重ならない。まして米国でのマックの位置づけは日本よりも相当低いと思う。マックは「食事」を売っていて、スタバは「自宅以外に過ごす第3の場所」を売っているという感じがするのだが、そんなスタバが客単価アップのために「食事」を売ることに力を入れると米国のように競合するようになるのだろうか?ということは、今朝マックがコーヒーに力を入れるのを見てピンと来なかったけど、日本でもスタバ vs. マックの競争が近い将来始まるのだろう。
2.やっぱりアメリカ人は濃いコーヒーが嫌いなのか?
そもそもスタバが広まった背景に、それまでなかった煎りの深いコーヒーが珍しかった、というのがあると思うが、やはり元来濃いコーヒーは嫌いだ、というだけのことなのだろうか。それとも店舗数が増えるに連れて品質が均一でなくなり、味が落ちていったということか?
ということで、マックの今後のコーヒー戦略、特に対スタバの打ち手は注目したいと思う。ところで日本にはそれ以外に「ドトール」という強敵がいる。これがなかなか独特の存在で、戦略も明確な会社だ。ドトールといえば、あまり行き慣れない年配の人がカウンターでで「ホットコーヒー」と注文すると、「サイズは普通でいいですか?」と聞かれ、「は、はい」と答えている場面に出くわしたことが何度もある。出てくるのはMサイズだ。ドトールのウェブサイトには「コーヒーを飲んでゆっくりしてもらうためには、Mサイズが適切だと考えるので薦めている」と書いてあるが、なかなか戦略的だ。
プライシングも独自路線。ドトールといえばSサイズのコーヒーが1杯180円。あ、来月から200円に値上げするらしいけど。いずれにしてもスタバ等に比べると安い、という印象がある。でも1mlあたりの値段で比較するとどうだろう。スタバが240mlで280円、タリーズは240mlで290円(タリーズはいつもスターバックスの値段よりちょっと高く、後から追随して値上げします)、そしてドトールが140mlで180円。1ml当りの値段はそれぞれ1.17円、1.21円、1.29円(しかも来月からは1.43円)となって、ドトールが一番高いのだ。面積あたりの座席数も圧倒的に多いし、収益性の面では徹底的に計算されているのだろうなあ。
対するスタバは、数年前のブームが去ってコストを見直したときに、それまではヒラ積みにしていた紙ナプキンをケースに入れて1枚ずつ力を入れて引っ張り出すようにして消費量を抑えた、という話を聞いたことがある。あまりそういう方向に行くと、せっかくのプレミア感が損なわれるので、ドトール(もしくは将来的にはマック)と同じ競争の土俵に乗らない方が良いと思うがどうだろう。
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コメント
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