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空港の外資規制

国土交通省が今の国会で通そうとした空港整備法改正案が紛糾している。日本の玄関である成田空港、羽田空港の運営会社の外国人株主保有比率を3分の1未満に制限するという内容だ。

きっかけは、羽田空港の管理会社である日本空港ビルディングの株式の20%を、オーストラリアのファンドであるマッコーリー・エアポーツが取得したことであり、国土交通省は大地震の緊急事態が発生したときなど、外資が入っていると迅速な対応が取れないとコメントしている。また成田空港の管理会社の社長も、「日本の表玄関を外資にコントロールされることは国民にとって問題である」と述べている。先日のダボス会議でも福田首相は「市場開放の努力を一層進める」と言ったばかりだが、日本は外資から隔離して鎖国でもしようというのだろうか??

1.外資がなぜダメなのか?

まず論争の1つとして、外資だとコントロールできなくて、日本のファンドだとコントロールできるのか?という点がある。同じカネでも、外国人だと何か困ることでもあるのだろうか?単なるナショナリズムではないだろうか?

今、日本の企業は実質的に外資系が過半数を持っている企業も多い。問題は株主は何人か、ではなく、どのようなポリシーの人が株主なのか?だと思う。

2.なぜ空港が問題なのか?

日本の表玄関ということで、空港を支配されることは何か象徴的なことなのだろうか。国家安全の象徴的できごとか?

まず外資の資本参加で国の安全保障や公的秩序維持に支障が出る場合は、国が外為法に基づき出資・買収の中止命令を出すことができる。それで十分対応可能だし、それでも心配ならば彼らの行動に制限を法的につければいいわけで、何も出資を制限しなければならない理由はない。

この法案に対する批判として、羽田・成田の運営会社には官僚が役員としえ天下りしており、外資が入ると天下りできなくなるからではないか、との声がある。これにどう反論するのか。読売新聞2月9日付け社説では、それは考えすぎで民営化が進めば天下りなどできないと書かれているが、あまり考えなくても推測できるだろう。

3.そもそも何を目的に民営化したのか?

今回のごたごたは上に書いたように外国人投資家に対する不安と安全保障上の必要性の2点から議論されているが、最大の疑問はこれ。そんなに国家にとって大切なものだったらなぜ民営化したのか?ということだ。

民営化とはサービスを民間に任せることであり、上場とは外国人投資家も含めて広く投資を募ることだ。それを進めておいてやっぱり心配だから後から国が制限をつける、というのは海外からみると全く理解不能だろう。

民間企業は外資ファンドを「買収防衛策」で排除し、国も空港への外資流入を排除する。ファイナンスの世界では既に日本は資本主義から抜け出し、鎖国の体制に入りつつあるのかもしれない。それも読売新聞に言わせれば「考えすぎ」なんだろうか?もう少し考えた方がいいと思うけど。

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