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試される大地? 北海道

実家が北海道なので、ただいま帰省の真最中。北海道に来るとペースが元来生まれ持ったものに戻るせいか、頭も体も弛緩する感じがする。いつも何かに追いかけられているような毎日(というより半分くらいは自分で自分を追い込んでいる気もするが)なので、年に数回の帰省は本当にいいリフレッシュになる。

じゃ、ずっと住んで暮らせばいいんじゃないか、という気がするが、そういう気にもなれないのが不思議だ。以前は都会の便利さ、刺激に慣れてしまったせいだ、と思っていたけど、どうもそれだけではないようだ。それは北海道に対する違和感といらだちのせいかもしれない。

北海道に戻ると、地方はどこでも同じかもしれないが、無駄なインフラへの公共投資が目に付く。実家の目の前に、昔から小さな小さな川が流れているのだが、25年くらい前に大規模な護岸工事をして、今ではコンクリートに覆われた幅広のスペースにちょろちょろと水が流れているだけだ。北海道にはこうしたコンクリート川がずいぶん増えた。大雨で氾濫することを防ぐ治水対策だろうが、そんな氾濫するような大雨は来るのかどうかもわからないし、仮にそうなったとしても北海道の家は雪対策で造りが頑丈だから、被害は最小限だろう。

また、実家の近くにはここ数年新しい大型道路がどんどんできている。混雑の緩和というが、札幌市内の混雑なんてたかがしれているじゃないか・・・。あとJRによる南北の分断を解消するため鉄道をまたいだ道路を作っているが、10分に1本くらいしか電車は通らない。あとすごいのは、やはり25年くらい前にJRによる分断を解消するために鉄道を高架化したのだが、それでも足りないらしく、今度はその上を通して道路を作ってしまった。そんな高い橋を造って、坂も急なのに財政削減でロードヒーティングもついていなかったりする。危ないったらありゃしない。

インフラだけではなく、北海道最大の産業である観光も問題は多い。北海道は食べ物がおいしいはずなのに、ホテルや旅館の食事は一昔前の宴会料理となんら変わりない。朝食はなんだかどこに行っても同じメニューのバイキング。とろとろのスクランブルエッグとかボイルされたソーセージとか。その理由は平日の昼間に温泉街に行くとすぐわかる。業務用の冷凍食品を積んだ保冷車が行きかっているので・・・。

これらの背景には、「北海道民気質」が深くかかわっているように思う。

1.内向きの文化

北海道の人はとにかく北海道が好きだ。皆北海道新聞を読んで、北海道ローカルのワイドショーを見る。大学は北大が一番だと思っている年配の人も多い(さすがに東大よりは下だとは思っているけど、首都圏の私大は比較対象外だと思っている)。さっき観光が最大の産業と書いたけど、最大のお客さんは道民だ。北海道の人は北海道旅行が大好きなのだ!それはそれでいいんだけど、競争意識は薄いし、何より向上心に欠けているように思う。社会人で勉強したり本を読んだりしている人って首都圏と比較にならないくらい少ないんじゃないだろうか。

2.物事を深く考えない

これは「おおらかさ」の裏返しかな。あまり物事を追求して考えないような気がする。例えば客足の少ない温泉街が、皆九州の黒川温泉の成功例に学ぼうということで、どこの宿泊施設でも日帰り風呂に入れる「湯めぐり手形」を出しているところがあるが、たいていうまくいっていない。そりゃそうだろう。北海道は寒いんだから、浴衣姿で外をうろうろはしたくない。それにひなびた施設をたくさん回っても、気がめいるだけだろうから。あと大通公園のイルミネーションなどは、観光客を増やそうということで以前より大幅に期間を延長している。しかし予算には限界があって、電飾はすかすかだ。だったら期間を半分にして電飾を2倍の量にした方が、インパクトも口コミの効果も高いと思うんだけどなあ。

3.受身の意識が強い

これの典型的な例が、道産品につけられているキャッチフレーズ「試される大地」だろう。これは本当に酷い。このフレーズは公募されて決められたものだが、審査委員は別のものを推していたのだが、北海道側でこちらを選ぶことにした(審査委員会に主席していた道職員の8割がこちらが良いと言った)ため、審査委員長の倉本總氏が激怒した、という話を内部の人から聞いたことがある。北海道に来る観光客、そして道産品を買う人は、北海道の景気が悪いとか経済的に苦境だとか、そんなことは全然関係なく、北海道に対してよいイメージを持っているから選んでいるんだと思う。だったら自分が苦しいのは隠してでも、その期待に応えていき、苦境からも脱出するのが筋だろう。それを「試される」というネガティブなフレーズをそのまま外部の人に出すのはいかがなものだろう。「うちのレストランは今が正念場です」と自ら宣伝で言うレストランに食べに行きたいと思うだろうか??このあたりに「自分の苦境を理解してもらって、助けてもらおう」という受身の姿勢が現れてしまっていると思う。

ということで、この「北海道民気質」はなかなか変わらないだろう。変わるとしたら外圧かな。例えば星野リゾートがトマムを皮切りに北海道の観光産業を根本から変えるとか。

今、自分で書いていて変だな、と思ったのが、普通「外圧」といえば海外資本だけど、それが「本州」だったこと。このあたりが北海道の抱える問題の深さの表れかもしれないなー。

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コメント

お久しぶりです。

北海道に土着を決めた人間として、
この記事、興味深く読ませていただきました。
「世界の中での → 日本の意識」と
「日本の中での → 北海道の意識」は
通ずるものが、あるかもしれませんね。

そういえば、お礼を言うのが遅れましたが、
masaさんに教えていただいた、
「最前線のリーダーシップ」、面白かったです。
ありがとうございました。

投稿: ikadoku | 2008年1月 9日 (水) 11時38分

>>ikadokuさん
コメントありがとうございました。
そうか、ikadokuさんは北海道の読書人ですね!!貴重な存在だと思います。(笑)
実は私も土着のつもりでUターンをしたのですが、半年で東京に舞い戻ってきた過去があります。私はまだまだ稼がなければならないので、そうしたあせりが故郷に対するイライラ感を生むのかもしれません。
本、読んでいただけてよかったです。ikadokuさんのブログ、いつも参考にさせていただいてます。

投稿: masa | 2008年1月10日 (木) 00時24分

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