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パワハラ

パワーハラスメント、略してパワハラ。2000年の日本のコンサル会社が作った造語だ。海外ではモラルハラスメントという言葉が通常使われ、パワハラはその一種とみなされる。

先月から今月にかけて、パワハラに関する訴訟の記事がちらほら目につく。1つのきっかけは10月に自殺による労災認定で、初めてパワハラが主因として認められたことだろうか。今まで長時間労働+パワハラのように要因の一部としてあげられたことはあったが、この判例は今後引き合いに出される重要な判決になるだろう。

ところでパワハラって何か?セクハラはけっこう説明できても、パワハラはきちんと説明できない人が多いかも。これはセクハラは公務員向けのガイドラインがあってそれを用いて説明がされるが、パワハラはまだ基準とされるものがなく、最初にあげたコンサルが今でも「オピニオンリーダー」だからかもしれない。

彼らによるとパワハラとは、「他者に対して社会的勢力を利用し、職務とは直接関係のない、あるいは適切な範囲を超えた嫌がらせの働きかけをし、それを繰り返すこと。そしてその行為を受けた側がそれを嫌がらせと感じたとき」だ。

ここにはポイントがある。「社会的勢力を利用」「適切な範囲を超えた嫌がらせ」「繰り返す」の3つだ。これはけっこう理解されていないんじゃないかな。

例えばパワハラ相談室、みたいなサイトがいくつもある。それを見ると、会社の同僚に無視されたとか、いじめにあった、みたいなそれはパワハラじゃないだろうというケースがたくさんある。むしろそっちの方が多いかな。ひどいのになると、「上司が自分の意見を取り入れてくれない」とか、具体的なものになると「スーパーで勤務しているが、上司から商品の見せ方を工夫できるだろう、POSを使って在庫を減らすなどもっと頭を使えと言われた」と普通の職場での指導までパワハラとしてあげられている。

セクハラに対しては会社も積極的に対策を打ち出しているし、損害賠償も数百万円とだいたい固まっているが、パワハラはまだまだこれから企業のリスクになってくるだろう。今はまだ、何がパワハラで何が「上司の熱心な指導」なのか、線引きがあいまいなので、まずこれを会社として従業員に明確に示すことが必要だと思う。

ちなみに以前の上司(取締役)は、自分がセクハラ発言、パワハラ発言をするのを気にしていたことがあり、1度レクチャーしたことがある。彼は自分ではセクハラではなく、パワハラを心配すべきだと思っていたようだが、こうアドバイスした。「自分でセクハラじゃない、と思った行為・発言はたいていセクハラで、逆にこれはパワハラだと思ったのはパワハラじゃない。○○さんの場合はこう考えておけば間違いありません」 たいていのおじさん社員はこんな感じじゃないでしょうか。

ちなみに、セクハラ=男性から女性、パワハラ=上司から部下と思いがちだがそんなこともない。例えば「お前はいつも声が小さい。もっと男らしくハキハキ話せ」というのはセクハラに該当する。(人事院の通達に例として書かれている) また、パソコンの苦手な上司を得意な若手社員が追い詰めるのはパワハラに該当する。(IT化は世の中の流れであり、これに強いことは社会的な勢力だ、ということか) うーん、やっぱり難しい・・・

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