パワーポイント症候群
自分は3年半前に日系企業から外資系企業に転職した。カルチャーショックはそれほどなかったが、1つ驚いたことが資料が全てパワーポイントで作られていることだった。
つまり、プレゼン資料だけではなく、投資のプロポーザル、売上レポート、人事システム、ありとあらゆるものがパワーポイントで作られているのだ。今日の日経新聞で、アマゾンのジャスパー・チャン社長が、アマゾンでは会議資料はパワーポイントを使わず、ワードで2-3枚作って事前配布する、と書いてあるのを見て、なるほど同感だった。というのも、どうもパワーポイントを使って資料を作る、もっと言うとパワーポイントを作る流れで仕事を考えるのに慣れてくると、どうもいろいろ弊害があるような気がしているからだ。
プレゼンではなく、基本的なビジネス資料をパワーポイントで作ることのメリットは次のようなものがある。
1.1度スライドを作ってしまえば様々なプレゼンで使いまわしがきく
2.スライドごとに作業を分割して、何人かで並行して仕事を進められる
3.箇条書きにすることでポイントが明確になる
スライド作りのうまい人はこれらのメリットを十分に生かしている。一方でだらだらとまとまりのないスライドを作る人もいる。というか圧倒的にそっちの方が多いような気がする。
そういう人は上のメリットが全てデメリットになっている。つまり、
1.1度作ったスライドをあちこちで使いまわすので、再利用する時にはピントがずれている
2.何人かで作ったスライドを合体するので、統一性がない。また隅々まで気が配られていない
3.安易に箇条書きにするのでポイントが不明確=ロジカルでない
中でも3番はパワーポイントへの依存が引き起こす大問題だと思う。
パワーポイントで改行するとどんどん項目ができる。3回改行して何か書くと、コンサルタントの好きな「ポイントを3つあげると・・・」風に見えてしまう。でもその3つで漏れがないわけでもなければ、ダブっていたりもする。思考が浅いせいだ。また、紙芝居のように新しいページを作るが、展開に起承転結もなく、ただパラパラと作ってしまう。
つまり、パワーポイントというのは、作る過程で全体の論理構成を考えることはとっても難しいんだと思う。空白のスライドをパラパラ並べてストーリーを作るのは、本当は難しいんだろう。自分はよく上司の社長に、スライドを作る前にまずワードで「ストーリーライン」を作らされた。その展開を練りに練ってしまえば、スライドはそれにあわせて作れば良いだけだ、と。何か二度手間で面倒だが、アマゾンの社長の持つ問題意識もたぶん同じことなんだろう。
ワードで書くのではなく、エクセルでキーワードを入れ替え入れ替えしながらストーリーを考えるのも便利。自分の場合はこっちの方が多いかな。
パワーポイントで全ての資料を作っている会社の皆さん、無駄なスライドをたくさん作ってません?資料のロジックが雑になってません?それってひょっとして「パワーポイント症候群」かも。
| 固定リンク
「外資系」カテゴリの記事
- パワーポイント症候群(2007.11.06)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント