ミシュラン
今日発売のミシュラン東京版。先日の3つ星8店の発表以後急激に露出が増えていつのまにか皆が知っている話題になった。ヨーロッパでは20カ国以上のガイドが出ていて、ニューヨークが2005年。アジアではもちろん東京が初のガイドだ。
これだけ急激に認知度が高まったのはどうしてだろうか。
1)純粋にレストランを評価した本が少ない: 日本でレストランのガイドといえばよい評価を書いた本がほとんどである。つまり広告料を取って作成された「ガイド」であり、評価を試みた本は少ない。中には「東京いい店うまい店」みたいな本があるが、いまひとつ腰が引けているというか、別にその本を見なくても知られている有名店ばかりだ。ザガットはその点で掘り出しものの店がたくさん載っているが、あまり広まっていないなあ。
2)やはり日本人は権威に弱い: 海外ではミシュランの星がついた、もしくは星が減ったで経営が大きく左右される。それほどの存在のガイドなので、やはり日本では絶対的な「評価」として受け止められるのだろう。
3)たまたまニュースが少なかった: これが大きいかもしれない。サブプライムローン問題の影響で円高、株安・・・政治の不安定・・・大きなニュースはたくさんあるけど、マスコミ的にタレントのスキャンダルとかそうしたネタが少ないので、ミシュランが大きくTVでも取り上げられたというのはあるだろう。
レストラン業界に、1つの「評価基準」ができるのはいいことだと思う。また日本を訪れる外国人にとっては良いガイドになるだろうし、何より純粋に読み物として面白いんだろう・・・と思って買ってみたら、そんなに面白くなかった・・・あまりその店の何がすばらしいかが伝わってこない。文章も凡庸というかそつがないというか。まあ夜に1万円以下の店はほとんど入っていないので、一番の用途は接待向けのリストとして使われるようになるのかな。それでもこの本は品切れの店が出ているようだし、ちょっと変な感じだ。
1)これは外国人の目から見たガイドにすぎない。例えて言うと、日本の会社がパリにあるレストランのガイドを作ったということ。そのガイドを見て、フランス人がフレンチの評価を参考にするとは思えない。インタビューや雑誌の記事に「フランス人に日本食の味がわかるのか」といったコメントがあったが、「外国人にとっての評価」なので日本人は別にその点を心配する必要はないんじゃないかな。
2)とはいえ、われわれ日本人はTV、本に書かれていることは疑いなく信用するし、権威があるメディアだとなおさらだ。今後始まるのは「ミシュランで評価の高い店に行ったが実際はこうだった」という批判の報道、記事だろう。料理の評価というのは人によって重きをおくポイントがぜんぜん違うし、好みの差が大きい。なのであくまで「1つの指標」にすぎないことを忘れない方が良いと思う。
3)今回1つ星が117もついた。日本人がフランスで星1つを取るのは大変なことだと今まで言われてきたが、その評価は何となく色あせるかもしれない。本場は別だ、ということで収まればいいけど。
4)そして怖いのが、今までそっと存在した本当に良い店が荒れてしまうこと。個人的にはこれが心配。実際、それほどの有名店ではなかった店で自分が食べて感動を覚えたほどの店が今回表に出てしまった・・・・会社でももう話題になっていたし、もう予約取れないな。
ニューヨークではミシュランはあまり根付いていないという話を聞いたが(NYの新聞のガイドの方が参考になる、という評判で。そりゃそうだ)、日本にミシュランは根付くのか。
ところでなぜタイヤメーカーがレストランガイドなんだろう??「ミシュランガイド」は「ギネスブック」と同じくらい本業と関係ないところで会社名が浸透している。これはもともとミシュランが、タイヤの販促のためにドライブガイドを作って出したのが始まりで、今でもミシュランガイドは「グルメガイド」ではなく「旅行ガイド」だ。今は知らないけど以前は、ミシュランで星をつける店は南仏のパリから離れた場所が多いので、みんなに長距離ドライブをさせてタイヤをすり減らさせるのがミシュランの戦略だ、と言われていた。まあ東京のガイドを作ってもミシュランタイヤの売上は増えないだろうけど。
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