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2007年11月

サブプライムローン

欧米大手金融機関の、サブプライムローン関連の損失が2007年内で7兆円を超える見通しとの記事があった。

「サブプライム」とはプライム(優良顧客)層以外という意味で、ここで言うサブプライムローンとは、米国で所得水準がそれ程高くない人たちに貸し付けられた住宅ローンのことだ。もちろん金利は通常の住宅ローンよりも高い。

1. なぜそんなローンが組めるのか?
米国は住宅価格がずっと上昇してきた。おかしな話だが、住宅価格が上がるということは住宅ローンの担保の価値(つまり借金して買った自宅の売値)も上がるということで、借金者は担保能力が上がることになる。それを前提にして、貸し手は多少信用力に劣る人達にもローンを組ませてきた。例えば最初の数年は低金利、あるいは金利分の返済だけでいいという形で。まあいざとなれば自宅を売れば、差額でローンを返済し、利益も出たくらいなので、貸し手も借り手も問題はなかったのだろう。むしろこのような状況なので、住宅ローンで家を買い、値上がりしたところでそれを担保にして生活資金を借りる、という人もいたくらいだ。

2. 何を騒いでいるのか?
日本の消費者金融と同じで、米国の金融機関はどんどん低所得者層に貸し込んだ。またヘッジファンドはそれを証券化して、ハイリスク・ハイリターンの商品として世界中の金融機関に売り込んだわけだ。
日本で地価上昇を前提としたバブル経済がはじけたように、2006年に米国の住宅価格上昇にブレーキがかかった。
とたんにローン支払いの延滞者が急増して、サブプライムローン自体が焦げ付き、同時にそれを組み込んだサブプライムローン証券も焦げ付いた、と。さらに証券化して売り出したヘッジファンドは、損失を最小化するために持っている株式を売りに出して、米国の株式市場全体にも影響が波及し、それが日本の株式市場にも影響している。そういう状況だろうか。

3. 何が問題なのか?
この問題はまた「マネーゲーム」とか「錬金術」とかいう心情的な批判を浴びているが、金融商品としてはハイリスク・ハイリターンの証券であり、特に問題はないと思う。問題はそのリスクを低く見誤った点にある。この仕組みで経済は潤うが、別にお金が降ってくるわけではないので、誰かがそのお金を負担していたのだ。その誰かとはこの仕組みでリスクを負担する人全員、つまりローンの借り手と貸し手、証券化したヘッジファンド、証券を買った世界中の金融機関などだ。つまりたくさんの登場人物で作り上げたバブルであり、その分影響は根深いものがあるんだと思う。

4. 日本経済への影響は?
日銀は日本経済への直接的影響は小さいとコメントしている。ただし、これは日本の株式市場への「波及効果」の部分だけに対するコメントであり、日本の金融機関がどれくらいこの証券を自社商品に組み込んでいるかは今ひとつはっきりしない。想像だけど結構な金額を買っているんじゃないだろうか。だとすると、今後決算期ごとに損失額が膨らみ、日本の金融機関への「直接的影響」はむしろ今予測されているよりも大きくなるんじゃないだろうか。そう考えると、日本経済への「直接的影響」はまだまだこれから明るみになるだろう。株式市場への影響を考えて多分小出しにされるだろうけど。

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10月10日は晴れの特異日

今日、来年の手帳(海外版)に日本の祝日シールを貼っていて思い出したので書いておきます。

10月10日は、毎年晴れが多い「特異日」だ、という話。このため東京オリンピックの開会式に選ばれて「体育の日」になった、という話。これ、全くの思い込みだった・・・

周囲の人に聞いてみると皆そう思っていたので、自分だけではないようだ。

過去30年を調べてみると、雨が降らなかった回数は10月9日が17回、10日が19回、11日が14回なので、別に10日が突出しているわけではない。また東京オリンピック以前のデータだと、昭和34年の気象学ハンドブックで、10月で晴れる確率が高いのは10月14日、となっている。なので、10日は特異日でも何でもなかったのだ。

ちなみに晴れの特異日というのは他に何日かあって、1月16日、3月14日、6月1日、11月3日などだそうだ。なぜ特異日が発生するか、については諸説あるらしいが単純に「群発生」、つまりサンプル数がたくさんあれば平均になるが(サイコロの目の確率は6分の1)、そこまで数がそろう前だとたまたま結果に偏りがある、という説が一番もっともらしいように思う。

あと「センター試験、成人式の日は雪」という説もあるが、これは単にニュースになったのが印象に残っているだけで、別にその日が多いというわけではないそうだ。人間の脳なんていいかげんなものだ。

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お笑い社会保険庁

ここのところ、防衛省の不祥事のニュースの陰に隠れているが、年金問題のその後はどうなったのだろう。あれほどみんな怒っていたのに、もう気が済んだのかなあ。

確かに防衛省の問題は米国までたどって明らかにすれば、ロッキード事件並みの大事件なんだろうが、どうも額賀大臣が宴会に出たのを忘れたとかしらばっくれているとか、そんなことばかりが聞こえてくる。何より恐ろしいのは、この人物が現職の財務大臣ということだ。今後金利の問題、米国のサブプライムローンの日本に対する影響の問題、など難問を解決しなければならない財務大臣が、10ヶ月くらい前の宴会に出たかどうか、日時、場所、参加者、座った席まで示されているのに思い出せない、と真顔で言うのは、いかがなものだろう・・・。

さて話は戻って年金問題。どさくさにまぎれて、以前約束した「全例責任を持って支払う」との前言を翻した。一部わからないものはわからない、とのことだ。そりゃそうだろうけど。

この社会保険庁は、これら一連の不祥事を反省し、解体されて「日本年金機構」となる。その新たな組織に向けての改革案をまとめることになっているのだが、先週その中間報告があった。そこには衝撃の内容が・・・

「年功序列による賃金アップをやめ、能力、実績に応じた昇給制度に改革する」

おおおー、改革のメインがこれだけか!?!?20年前の民間企業か!?!?しかも今回の報告ではコンプライアンス強化対策も求められていたとのことだが一切触れられていない!!しかも、この中間報告は「有識者会議」にあげられて議論されるとのこと。何を議論するんだ!?!?

久々にニュースを見て衝撃を受けました。

今までいくら年金として集めて、いくら支払って、残りはどのように運用していたのか、一度整理してうみを出した方がいいんじゃないだろうか。あと貯金は美徳と教育して集めた郵便貯金と。

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ミシュラン

今日発売のミシュラン東京版。先日の3つ星8店の発表以後急激に露出が増えていつのまにか皆が知っている話題になった。ヨーロッパでは20カ国以上のガイドが出ていて、ニューヨークが2005年。アジアではもちろん東京が初のガイドだ。

これだけ急激に認知度が高まったのはどうしてだろうか。

1)純粋にレストランを評価した本が少ない: 日本でレストランのガイドといえばよい評価を書いた本がほとんどである。つまり広告料を取って作成された「ガイド」であり、評価を試みた本は少ない。中には「東京いい店うまい店」みたいな本があるが、いまひとつ腰が引けているというか、別にその本を見なくても知られている有名店ばかりだ。ザガットはその点で掘り出しものの店がたくさん載っているが、あまり広まっていないなあ。

2)やはり日本人は権威に弱い: 海外ではミシュランの星がついた、もしくは星が減ったで経営が大きく左右される。それほどの存在のガイドなので、やはり日本では絶対的な「評価」として受け止められるのだろう。

3)たまたまニュースが少なかった: これが大きいかもしれない。サブプライムローン問題の影響で円高、株安・・・政治の不安定・・・大きなニュースはたくさんあるけど、マスコミ的にタレントのスキャンダルとかそうしたネタが少ないので、ミシュランが大きくTVでも取り上げられたというのはあるだろう。

レストラン業界に、1つの「評価基準」ができるのはいいことだと思う。また日本を訪れる外国人にとっては良いガイドになるだろうし、何より純粋に読み物として面白いんだろう・・・と思って買ってみたら、そんなに面白くなかった・・・あまりその店の何がすばらしいかが伝わってこない。文章も凡庸というかそつがないというか。まあ夜に1万円以下の店はほとんど入っていないので、一番の用途は接待向けのリストとして使われるようになるのかな。それでもこの本は品切れの店が出ているようだし、ちょっと変な感じだ。

1)これは外国人の目から見たガイドにすぎない。例えて言うと、日本の会社がパリにあるレストランのガイドを作ったということ。そのガイドを見て、フランス人がフレンチの評価を参考にするとは思えない。インタビューや雑誌の記事に「フランス人に日本食の味がわかるのか」といったコメントがあったが、「外国人にとっての評価」なので日本人は別にその点を心配する必要はないんじゃないかな。

2)とはいえ、われわれ日本人はTV、本に書かれていることは疑いなく信用するし、権威があるメディアだとなおさらだ。今後始まるのは「ミシュランで評価の高い店に行ったが実際はこうだった」という批判の報道、記事だろう。料理の評価というのは人によって重きをおくポイントがぜんぜん違うし、好みの差が大きい。なのであくまで「1つの指標」にすぎないことを忘れない方が良いと思う。

3)今回1つ星が117もついた。日本人がフランスで星1つを取るのは大変なことだと今まで言われてきたが、その評価は何となく色あせるかもしれない。本場は別だ、ということで収まればいいけど。

4)そして怖いのが、今までそっと存在した本当に良い店が荒れてしまうこと。個人的にはこれが心配。実際、それほどの有名店ではなかった店で自分が食べて感動を覚えたほどの店が今回表に出てしまった・・・・会社でももう話題になっていたし、もう予約取れないな。

ニューヨークではミシュランはあまり根付いていないという話を聞いたが(NYの新聞のガイドの方が参考になる、という評判で。そりゃそうだ)、日本にミシュランは根付くのか。

ところでなぜタイヤメーカーがレストランガイドなんだろう??「ミシュランガイド」は「ギネスブック」と同じくらい本業と関係ないところで会社名が浸透している。これはもともとミシュランが、タイヤの販促のためにドライブガイドを作って出したのが始まりで、今でもミシュランガイドは「グルメガイド」ではなく「旅行ガイド」だ。今は知らないけど以前は、ミシュランで星をつける店は南仏のパリから離れた場所が多いので、みんなに長距離ドライブをさせてタイヤをすり減らさせるのがミシュランの戦略だ、と言われていた。まあ東京のガイドを作ってもミシュランタイヤの売上は増えないだろうけど。

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パワハラ

パワーハラスメント、略してパワハラ。2000年の日本のコンサル会社が作った造語だ。海外ではモラルハラスメントという言葉が通常使われ、パワハラはその一種とみなされる。

先月から今月にかけて、パワハラに関する訴訟の記事がちらほら目につく。1つのきっかけは10月に自殺による労災認定で、初めてパワハラが主因として認められたことだろうか。今まで長時間労働+パワハラのように要因の一部としてあげられたことはあったが、この判例は今後引き合いに出される重要な判決になるだろう。

ところでパワハラって何か?セクハラはけっこう説明できても、パワハラはきちんと説明できない人が多いかも。これはセクハラは公務員向けのガイドラインがあってそれを用いて説明がされるが、パワハラはまだ基準とされるものがなく、最初にあげたコンサルが今でも「オピニオンリーダー」だからかもしれない。

彼らによるとパワハラとは、「他者に対して社会的勢力を利用し、職務とは直接関係のない、あるいは適切な範囲を超えた嫌がらせの働きかけをし、それを繰り返すこと。そしてその行為を受けた側がそれを嫌がらせと感じたとき」だ。

ここにはポイントがある。「社会的勢力を利用」「適切な範囲を超えた嫌がらせ」「繰り返す」の3つだ。これはけっこう理解されていないんじゃないかな。

例えばパワハラ相談室、みたいなサイトがいくつもある。それを見ると、会社の同僚に無視されたとか、いじめにあった、みたいなそれはパワハラじゃないだろうというケースがたくさんある。むしろそっちの方が多いかな。ひどいのになると、「上司が自分の意見を取り入れてくれない」とか、具体的なものになると「スーパーで勤務しているが、上司から商品の見せ方を工夫できるだろう、POSを使って在庫を減らすなどもっと頭を使えと言われた」と普通の職場での指導までパワハラとしてあげられている。

セクハラに対しては会社も積極的に対策を打ち出しているし、損害賠償も数百万円とだいたい固まっているが、パワハラはまだまだこれから企業のリスクになってくるだろう。今はまだ、何がパワハラで何が「上司の熱心な指導」なのか、線引きがあいまいなので、まずこれを会社として従業員に明確に示すことが必要だと思う。

ちなみに以前の上司(取締役)は、自分がセクハラ発言、パワハラ発言をするのを気にしていたことがあり、1度レクチャーしたことがある。彼は自分ではセクハラではなく、パワハラを心配すべきだと思っていたようだが、こうアドバイスした。「自分でセクハラじゃない、と思った行為・発言はたいていセクハラで、逆にこれはパワハラだと思ったのはパワハラじゃない。○○さんの場合はこう考えておけば間違いありません」 たいていのおじさん社員はこんな感じじゃないでしょうか。

ちなみに、セクハラ=男性から女性、パワハラ=上司から部下と思いがちだがそんなこともない。例えば「お前はいつも声が小さい。もっと男らしくハキハキ話せ」というのはセクハラに該当する。(人事院の通達に例として書かれている) また、パソコンの苦手な上司を得意な若手社員が追い詰めるのはパワハラに該当する。(IT化は世の中の流れであり、これに強いことは社会的な勢力だ、ということか) うーん、やっぱり難しい・・・

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ヤクザマネー

先日のNHKスペシャル。暴力団の金が金融市場に流れ込んでいるという内容の話だ。特に目新しい話ではなかったが、NHKが正面から日本の証券市場のタブーの話に切り込んだという点では大変に画期的な番組だったと思う。なぜこれだけの当事者が取材に応じたのか?なぜ今?この番組は誰に対して何を警告する番組だったのか??

番組で触れられていた内容はこんな感じ。

1.暴力団は株式投資で資金を運用している→ 12台のモニターを見ながらデイトレをしている様子が出た。元IT企業でネット取引のシステムを作った若者が高額な報酬で雇われている。

2.元証券マンなどの人間が金融ブローカーとして暴力団と金融市場の橋渡しをしている。いわゆる「共生者」。

3.資金が集まらない投資ファンドにいつの間にか暴力団の資金が流れ込んで、そこを経由して多くの企業に投資されている。

4.特に投資の対象になっているのが緊急で運転資金の欲しいベンチャー。彼らの株式を握り、白紙の委任状を持ち実質経営権を支配している。(社長を送り込んでその会社の金を暴力団に出したという例が出た」

5.エンディング→問題は金が大事だという拝金主義。「金に色はない」とはいえ、暴力団の資金を使って金儲けをするのは良いのか?

うーん、最初はNHKもやるなーと思ってみていたけど、最後はいつもの「拝金主義」か・・・・

金儲けが良いとか悪いとかは個人の感じ方であり、儲けること自体はちっとも悪くない。グレーが黒っぽく見えるのか白っぽく見えるのかの議論はきりがなく、「黒でない」で終わりじゃないのかな?

それよりもグレー部分があることがよっぽど問題だと思う。

番組中の最初、上に書いた1の部分で、企業から内部の人間にしか知りえない重要情報はビシバシ入ってくると暴力団幹部は言っていた。そのときナレーションは「それはインサイダー取引に当たるのかと尋ねると、彼は否定も肯定もしなかった」。

それ、インサイダー取引ですから!!ヤクザマネーというタイトルの番組だから外れるのかもしれないが、一番議論すべきはその部分じゃないだろうか。

日本の株式市場では、不自然な値動きをする株はゴロゴロあり、まさに「インサイダー天国」なのは皆知っていることでしょう。日本は一般的にルールは厳しく決めてあるけど運用をゆるくして「グレー」として存在を放置することが非常に多い。消費者金融で話題になった「グレーゾーン金利」なんて言葉の意味がわからないし、日本にはギャンブルはないとしながらパチンコが一大産業だったりする。

反対に欧米は法律に対する考え方の違いで、あまりルールは細かくないがルールに少しでも違反したものはクロ。

NHKにはライブドア事件のときに東京地検特捜部も途中であきらめた、日本の株式市場のインサイダー問題を一度取り上げて欲しいなー、と思っていたので、この番組の冒頭の展開は「おーっ!!」と期待を持たせたが、さらっと流してしまった。

今度はそこをぜひ突っ込んだ番組を作って欲しい。けどそこはヤクザマネーよりももっと深くて巨大な資金の流れがあるだろうから、国家の存亡をゆるがす番組になっちゃうか。でも株式市場をクリアなものにしたければ、避けて通れない道だ。

今日通勤電車の中で、隣の会社員は携帯でゲーム、反対側はニンテンドーDSでゲーム。目の前に座っている会社員はスポーツ新聞の一面「川島なおみ結婚」の記事に食い入るように見入っていた。もう国家は存亡の危機ではなく、既に滅亡しているのかもしれない。

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私の発言に嘘は1つもない

最近物議をかもしている鳩山発言。いや、物議はそれほどかもしていない。これを他の大臣が発言すると即辞任問題になると思うんだけど、そこは鳩山家のなせる技なのか、発言の割りに物議にならない、といったところだろうか。

彼の言い分はこうだ。最近自分は日本の治安に関していろいろ発言をしている。「私の友人の友人にアルカイダの人間がいる」、「テロリストが日本をうろうろしている」などだ。こうした発言でマスコミが騒いでいるが、何をのん気なことを言っているのか?「私の発言に嘘は1つもない」 これがタイトルに書いた彼の発言だ。

たぶん彼は正しいんだろう。「友人」ならともかく、「友人の友人」まで広げれば相当な範囲までが知り合いということになるし。あとテロリストが日本をうろうろしている、というのも本当のことだろう。

治安に関しては日本国内ではあまり報道されているのを聞いたことがない。むしろ海外の新聞、雑誌を読んでいる方が日本の実態を報じていたりするくらいだ。例えば地下鉄サリン事件。日本では数日間犯人に関する報道はなかったが、米国出張中の同僚が電話で「オウムがやったんだって?」と言ったのにびっくりした記憶がある。事件直後から米国内ではそう報道されているぞ、とのことだった。

治安に関しては、例えば2005年のフィナンシャル・タイムズで、フランスの対テロ捜査責任者が「アジア、特に日本が標的になっている」と報じて、これに対して民主党の岡田代表が「日本でテロが起こるかどうかの問題ではなく、いつ起こるかが問題だ」と述べている。今年だって、2月にABCが「日本でアルカイダと関係の深いパキスタン人武装組織によるネットワーク化が進んでいる」と報じていた。でも日本国内でそれほどニュースになった記憶はない。

ちょっと長くなったが、言いたいのは鳩山さんはたぶん本当のことを言っているんだろう、ということだ。でも、だから何なんだ???

まず、本当のことを言えばそれでいいのか、ということ。本当のことは全て言わなければならないわけではなく、それを公に発言するからにはどんな意図があるんだ、ということ。ただ単に「みんな知らないだろうけど自分は知っている」というだけの発言であればちょっと無邪気すぎる。

次にわからない人に言っても仕方がないだろう、ということ。日本人は確かに平和ボケしている。正しい情報が入らないのだから仕方ない。であればなおのこと、そんな人相手に本当のことを言うだけでは何のメッセージも伝わらないだろう。「私の発言に嘘は1つもない」発言をしたのは、地元九州の選挙区で、地方道路財源確保を目指す決起集会での席上である。さっぱり意図がわからない。弁明したかったのかな。なってないけど。

そして最後に彼は現職の法務大臣だということ。その発言で国民を左右できる立場なのに、嘘を言っていないから良いだろうでは危険じゃないか、ということ。職務上知りえる内容もあるだろうに、今回の一連の発言は、国家秘密の漏洩という危険も感じさせる。

でもこのニュースもあまり報じられずにさらーっと流されるんだろう。鳩山家はそれほど力があるということか。

報道といえば最近少しずつ報道が再開された朝青龍問題。もっぱらいつ帰国して謝罪会見がどうの、という報道だ。ただ、自分の記憶が確かであれば、彼は謹慎中に病気療養ということで帰国を許されたはずが、細木数子の番組に出演して問題になったんじゃなかったっけ??その日の報道のトーンはこれはもう致命傷で相撲界から追放に・・・という感じだったはずだけど、翌日からタブーのように報道されなくなっていつのまにかなかったことになっている。誰かつっこまないのかな!?!?細木数子、相撲協会はそれほど力があるということか。

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勉強術

11月になったというのに、今年は「手帳術」系の本をあまり見かけない。昨年の今頃は手帳に夢を書けばきっと叶う!系の本がたくさん出てたと思うけど、2007年やってみて、やっぱり手帳に書くだけでは夢は叶わない、ということだろうか。

それに変わって、最近本屋の平積みコーナーで目立つのは、「勉強術」と名のつく本である。レバレッジ勉強法、年収10倍アップ勉強法、などなど。

1冊だけは買って読んで、あとは本屋でぱらぱらめくってみたが、だいたいこんな感じかな。

・何を勉強する?→人と差がつく分野。英語、会計、ITなど。

・何のために勉強する?→仕事を速くこなす=早く帰る、または収入増(3倍、10倍など)

・どうやって継続する?→根性ではなく、仕組みを作って習慣化する。

しかし、何で今になって勉強術本が売れるんだろうか。ちょっと考えてみた。

1.スキルアップへの焦り: 今までなんとなく会社にぶらさがってきたが、突然成果主義と言われて気ばかりあせっている。

2.若手へのコンプレックス: 最近の若手社員は英語、会計、IT(あ、上であげた3つだ)にやたらと詳しい。彼らに冷たく笑われないためにも勉強したい。

3.インプットならできそうだという共感: 勉強は自分の中で完結する行動なので、まあ夢を実現という漠然としたものよりは続きそうな気がする。

さて、手帳術のようにトーンダウンすることなく、勉強術ブームは続くのだろうか?そこにはいくつかの壁があるように思う。

1.そもそも本当に実行するのか?: 「勉強術を勉強する」ことは確かに必要だと思う。しかしダイエットと同様、やり方・意義は頭で理解できても合理的に行動することができないのが人間である。言ってしまえばいかにうまくやるかよりも、とにかく習慣にすることの方がはるかにハードルが高い。

2.勉強する習慣がついたところで、本当に優れた勉強法を見つけられるか?: 自分のスタイルに合った、適切な本に出合えるかどうか?適切な本を見抜くには知識がなければならないし、そのためには良い本が・・・・鶏が先か卵が先かの問題だ。勉強するのに本を選ぶにしても、難しいこと(または原理原則)を簡単に説明した本・教材にはなかなか出会えないもんだ。その逆、つまり簡単なことを難しく説明した本はハードカバーでたくさんあるし、簡単なことを簡単に説明した本は新書に山ほどある。例えばさおだけ本とか。会計の簡単なことだけ書いてあるので一瞬わかりやすい気がするが、会計の難しいところに触れていないだけじゃないかな。

3.勉強する習慣がついて、よい本に出会って身になったところで、さてどうアウトプットするのか?: 仕事に直結することを勉強するのならこの点は心配ないが、論理的思考力などを勉強したとして、どのように結果に結びつけるのか。本当に労働時間を短縮できるのか?収入をアップさせられるのか?

今本屋に並んでいる勉強術は、1であげた、いかに習慣づけるかがほとんどだ。けどその先に2と3にあげた高い壁があるが、これを本で説明するのは難しいし、したところで本屋に並べても今ひとつ購買欲をそそらないだろう。

うーん、勉強術もブームで終わりそうだ。来年の今頃は何の本が並んでいるのかなあ。

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パワーポイント症候群

自分は3年半前に日系企業から外資系企業に転職した。カルチャーショックはそれほどなかったが、1つ驚いたことが資料が全てパワーポイントで作られていることだった。

つまり、プレゼン資料だけではなく、投資のプロポーザル、売上レポート、人事システム、ありとあらゆるものがパワーポイントで作られているのだ。今日の日経新聞で、アマゾンのジャスパー・チャン社長が、アマゾンでは会議資料はパワーポイントを使わず、ワードで2-3枚作って事前配布する、と書いてあるのを見て、なるほど同感だった。というのも、どうもパワーポイントを使って資料を作る、もっと言うとパワーポイントを作る流れで仕事を考えるのに慣れてくると、どうもいろいろ弊害があるような気がしているからだ。

プレゼンではなく、基本的なビジネス資料をパワーポイントで作ることのメリットは次のようなものがある。

1.1度スライドを作ってしまえば様々なプレゼンで使いまわしがきく

2.スライドごとに作業を分割して、何人かで並行して仕事を進められる

3.箇条書きにすることでポイントが明確になる

スライド作りのうまい人はこれらのメリットを十分に生かしている。一方でだらだらとまとまりのないスライドを作る人もいる。というか圧倒的にそっちの方が多いような気がする。

そういう人は上のメリットが全てデメリットになっている。つまり、

1.1度作ったスライドをあちこちで使いまわすので、再利用する時にはピントがずれている

2.何人かで作ったスライドを合体するので、統一性がない。また隅々まで気が配られていない

3.安易に箇条書きにするのでポイントが不明確=ロジカルでない

中でも3番はパワーポイントへの依存が引き起こす大問題だと思う。

パワーポイントで改行するとどんどん項目ができる。3回改行して何か書くと、コンサルタントの好きな「ポイントを3つあげると・・・」風に見えてしまう。でもその3つで漏れがないわけでもなければ、ダブっていたりもする。思考が浅いせいだ。また、紙芝居のように新しいページを作るが、展開に起承転結もなく、ただパラパラと作ってしまう。

つまり、パワーポイントというのは、作る過程で全体の論理構成を考えることはとっても難しいんだと思う。空白のスライドをパラパラ並べてストーリーを作るのは、本当は難しいんだろう。自分はよく上司の社長に、スライドを作る前にまずワードで「ストーリーライン」を作らされた。その展開を練りに練ってしまえば、スライドはそれにあわせて作れば良いだけだ、と。何か二度手間で面倒だが、アマゾンの社長の持つ問題意識もたぶん同じことなんだろう。

ワードで書くのではなく、エクセルでキーワードを入れ替え入れ替えしながらストーリーを考えるのも便利。自分の場合はこっちの方が多いかな。

パワーポイントで全ての資料を作っている会社の皆さん、無駄なスライドをたくさん作ってません?資料のロジックが雑になってません?それってひょっとして「パワーポイント症候群」かも。

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決算発表

最近日経新聞には中間決算発表の記事が並んでいる。先週のある日の投資・財務欄は見開き1面決算関連の記事だった。何となく右のページが好調、左のページが不調の会社に分かれているような気がしたが気のせいか。

何となく全体を眺めていると、全体的に好調なんだなーとか、減益の会社ばかりでどこも不調なんだなーとかわかるものだが、今年は好・不調入り混じっていて今ひとつわからない。

ここで1つ気になったのが、見出しで扱われているP/Lの利益指標がバラバラな点だ。例えば10月31日付けの18面。多くの会社の決算発表の記事が出ているが、「純利益」、「最終利益」、「経常利益」、「税引き前利益」、「営業利益」・・・・それぞれ「前年増」とか「大幅増」と書いてある。つまりそれぞれの企業が自分の会社で今年プラスになっている指標を出しているということだ。その中でもこの日は「経常利益」が多い。これは日本独特の項目で、「毎年恒常的に生み出せる利益」のことだが、それほど意味があるのだろうか?家計でいえば毎月恒常的にかかる収入・支出のことだが、毎月必ず「イレギュラー」な出費はあるんだし。企業の基礎体力を見るなら営業利益を見ればいいでしょう。この「経常利益」という発想は、特別利益・特別損失があるけどそれは今回だけなので、それがなかったとすると・・・・という言い訳がましい指標のように思う。

決算発表のときに指標を選ぶのは日本企業だけではない。海外の企業も減収・減益なのに「もし昨年の為替レートだったとしたら」という計算をして「今年は増収・増益!(CER基準)」なんて平気で書いている。CERはある会社の呼び方でConstant Exchange Rate、つまり為替レートを一定とした場合、という意味。同様にAdjusted Profitなどと名づける会社もある。グローバル企業は為替リスクも含めて「業績」だと思うんだけど。

ということで、日本は四半期決算も定着し、以前よりは透明になったと思うが、まだまだフェアでないように思う。

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NOVA

NOVAがとうとう会社更生手続きの申し立てを行った。当初予測されていた「破産」ではなく、再生の見込みがあるということで、スポンサー探しをしているようだ。

L&Gのニュースのときも、まず出てきたのは社長がぜいたくをしているといったことだったが、NOVAもやはり社長のぜいたくぶりがまずTVで報道された。しかし本当に日本人は嫉妬深いというか何というか。お金を儲けた人に対するやっかみはすごいものがある。でもNOVAは社長がぜいたくな社長室を作ったりしたから潰れたのか??

NOVAの決算書を見ると、資産は550億円。このうち365億円は固定資産。つまり駅前の一等地に教室を持つための敷金、保証金だ。教育産業は設備が必要であり、固定資産が大きくなるのは仕方ないにしてもこれだけの負担は大きい。一方これだけの資産をどうやって集めたのか。有利子負債で111億円。あれ、意外にそれほどでもない。むしろ大きいのは前受金の225億円である。決算書には「繰延駅前留学サービス収入」と書かれている。うーん、シャレか本気かわからないなあ・・・これは授業料を一括でディスカウントして売り、生徒がまじめに通おうがポイントが塩漬けになろうが、契約した時点でその45%を「システム登録料」という名目で売上計上してしまうのだ。これは返せといわれたら返さなければならないお金なので、財務基盤はやはり脆弱だったのだ。

NOVAのビジネスは、まずポイントをできるだけたくさんまとめ買いしてもらい、三日坊主で終わって何となくいつまでもポイントを持っていてもらう。(そういえば解約時の換金率が契約時と違うといってもめているという記事を読んだが、それはNOVAが正しいのではないか。まとめ買いをすると無駄にしてしまうというリスクと引き換えにディスカウントしてもらったんだから、取り消すときはペナルティがあって当然だと思うけど。)これが理想の生徒さん。つまり英会話レッスンを売るというよりは、「英会話ができるようになるかもしれない」という夢を売るビジネスということができる。

同じような業種は他にもいくらでもある。フィットネスクラブ、エステ、などなど。ただし、英会話は「勉強」なので、途中で挫折しても何となく自分のせいだという後ろめたさがあるだろうから、ポイントを解約する割合は他よりも小さいかもしれない。

ところで受講生へのポイント解約は今のところ凍結されていてできない。仮に解禁されたとしても、NOVAが集めた前受金は設備投資に既に使われているので、現金としては40億円くらいしか残っていない。残念ながらスポンサーが現れて救われない限りは、今残っているポイントの換金は不可能だろう。夢はお金には変えられない、ってことか。

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