フラット型組織の功罪
先週の日経新聞に、ソニーがフラット化を進めた結果権限の集中化が進み、大きな権限を持つ管理職と権限を持たない管理職の2極分化が進みモチベーションが削がれた、という記事があり、どこの会社でも似たようなことがあるんだなーと考えさせられた。
考えてみるとJ.ウェルチも階層が多くてよいことは1つもなく、組織はフラット化を目指すべきと示唆し、どこの会社でも「それいけー」と階層の削減に向かってきた。でも、ソニーでも自分の勤める会社でもどうもフラット型組織の弊害が目立ってきているような気がする。
1.フラット型組織のメリット
何と言っても階層を気にせず自由に動けること。これは自分の会社でもいいところで、部長だから、ヒラ社員だから、ということは見られない。正しいことは正しい、ダメなことはダメ、それだけ。そして自ら動く人にはドシドシ情報が流れていく。総じてピラミッド型組織よりも情報の流れは良いかもしれない。一方、人事面から見ると、昇進させるために組織を作らなくて良い(マネジャーとだけ名刺に刷ればおしまい!)ので、優秀な人はどんどん管理職にして、総人件費を抑えられるという側面もある。
つまり、自ら情報収集し、組織の枠を超えて仕事を進める優秀な人にとっては働きやすい仕組みと言える。社長の目線から考えると、このような組織でアウトプットを高めるにはひたすら優秀な人を育てるか、外部から取れば良い、という発想になる。
2.デメリット
まず考えられるのは「出世」という日本古来のサラリーマンのモチベーションを提供しにくいこと。肩書きが上がっていくというのはやっぱり嬉しいものなんだろうか??そういえば友人の会社(電機メーカー)では、同じ部に部長代理、副部長、次長がいるとか。しかも社内の人間でもどの順番で偉いのかわからないらしい・・・(笑)
まあこの点は個人の考え方の問題で済まされるが、最大のデメリットはマネジメントが不在になることではないだろうか。個人が動く分、当然責任は個人が持たされる。そのプレッシャーを楽しめる優秀な社員はいいが、そうでない社員は責任を取ることを恐れて仕事をすることにビクビクしてしまっている。彼らの解決法は、自分の責任範囲の最小限だけ仕事をしてあとは他部署のせいにするか、ひたすら上司、組織の陰に隠れて「上を通してくれ」みたいに庇護を求めるか、である。こうなるとピラミッド型組織以上に「意思決定をしない組織」になってしまう。
こんな組織は、社長にしてみると、会社の中で信頼の置ける少数精鋭を重要ポイントに配置し、彼らとだけ話していればマネジメントできているような気になるんじゃないだろうか。つまり5000人の会社でも普段話をするのは30人くらい、みたいな。そうなるとまるで部長のように細かいところまで介入する「マイクロ・マネジメント」になっていき、会社の末端では一体社長は何を考えているのだろう?ということになってしまう。
3.どっちが正しいとことはないだろう
従って今フラット型でうまくいっていない組織は、もう少し管理体制を強化する必要があるんだろう。そんな矛盾に満ちたやり方をするなら、ピラミッド型組織を「ラフ」に運営する方が簡単じゃないだろうか??かつての日本企業が目指していたように・・・・
フラット組織でマネジメント強化?⇔階層型組織でラフなマネジメント?
どっちが正しいということはなくて、会社の規模、成長段階、社員の資質によって少しずつ替えていくのが正解なんでしょうね、きっと。ウェルチが階層は無駄と言ったって、規模も大きく、優秀な人間がどんどん入れ替わりする会社での話なのだから、何も「ウェルチ論」みたいに何でもありがたがることもないだろうに・・・・
そういえば、ソニーと自分の会社が状況が似ていると書いたけど、両社の共通点が1つあった。そういえば自分の会社の人事のヘッドはソニー出身だ・・・・じゃあだめじゃん・・・(涙)
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