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2007年10月

手帳術の季節がやってきた

先週の日経アソシエが決定版「手帳活用術」というタイトルで特集を組んだ。昨年の同じ号も全く同じタイトル。そう、今年も手帳術の季節がやってきた。手帳好きとしては本屋をのぞく度に買ってしまう。自分なりの手帳の使い方もだいたい確立しているし、どの本を読んでも別に目新しいことは書いていないんだけどなあ。

ここ数年、手帳売り場が賑わっている。昔は会社員は皆自分の会社の手帳を使っていたが、最近は経費節減で顧客向けに限定するようになったことも一因だろう。また、今日のニュースにもあったが万年筆の売り上げも伸びているとのこと。PCがますます進化し、携帯でWEBを見るのも当たり前になる一方で、PDAはほぼ消滅し、アナログな手帳が復活している。デジタルならなんでもいい、というわけではなく、使いやすいものだけが生き残っている、というところだろうか。

手帳のメリットは、まず一覧性。なんとなくぱらぱらとめくって過去のメモを確認したり、ふとしたことを思い出したり、といったことはデジタルにはできないだろう。そして機動性。開いて書けばいいので当然のこと。そして最近言われるのは、手書きのメリット、つまり手で書くと記憶に残るとか、魂がこもっている感じがするというやつだ。最近よくある「夢実現系」の手帳はこれだ。「目標、夢を手書きで書くことが、夢実現の第一歩だ」みたいな。  あとは趣味性の高さだろうか。システム手帳はいろいろな材質のバインダーがあり、リフィルも様々なものが市販されている。それを書くペンにいたっては何万円もする代物まである。(実際私もモンブランの○万円のペンを愛用・・・)男心をくすぐるアイテムがたくさん。 

一方デジタルのメリットはまず携帯性。メモリに入る限り何十年分のメモでも常に携帯できる。次に検索性。キーワードを入れればすぐに検索できる。手帳だとそうはいかない。最後に加工の容易さだろうか。テキストで保存しておけばいつでもワードに貼り付けたりして活用するのが簡単だ。

私の場合は、社会人になったときからシステム手帳を使っている。新人の春、上司に「別にいいんだけど、何で会社の手帳を使わないのか?」と問い詰められたものだ。最近ではよく見かけるようになったフランクリンシステムを使い始めて12年ほどになる。だいたい手帳の使い方ももう固まっているが、最近のテーマは手帳とPCのリンクだ。まずはPC→手帳。これは必要なデータ、資料を紙に出力して手帳に貼り付けるという感じで昔からやっている。問題はこの逆で手帳→PCの発展だ。手帳に書き留めたことで残しておきたいものはPCに入れて検索可能にしておく、ということができれば良いと思うが、どうも面倒だ。これからやってみようと思っているのは、よく手帳を開いて方眼のページに図解しながら物事を考えるのだが、これをPCでできないかということ。これができると日をまたがっても前に考えた記録から思考をスタートできる。試しにMind managerというマインドマップのソフトをPCに入れてみたので試してみるつもり。

基本的にはこれからも手帳派だと思うが、PCを手帳並みに持ち歩いて並行して使うことで、PCの持つ能力をもっと活用できないかな??

その第一歩ということでモバイルに適したLet's noteを買ってしまった。いやー、手帳だけでなくデジタルものも趣味性が高くて男心をくすぐるということか。

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会社は誰のものか?

会社は誰のものか?日本では何年かに一度必ず議論になるテーマだ。M&Aが話題になると買収側は「会社は株主のものなので、企業価値を最大にすることこそ企業の使命だ」と言う。それに対して「いや、社員のものだ」「いやステークホルダーはたくさんいるじゃないか」という議論になり、あげくの果てに「誰のものでもなくみんなのものだ」となる。

この問題が議論の対象になるのは日本くらいなものらしい。海外では「誰のものか?株主のもの。以上」で終りだ。経済学的に言って、会社は株主の所有物である。おしまい。

じゃあ精神論的にはどうかというとそりゃー思い入れのある人はいっぱいいるわけで、誰のものだっていいじゃない、という話じゃないのかな。でも、M&Aの話の文脈の中でこの問いが出てきたときは、経済学的にみた所有者が誰か、で終りであって、別にこういう考え方がアメリカ的とか、ハゲタカだ、とかそういう議論自体がナンセンスだと思う。

例えば東京の不動産の話をしているときに、「東京タワーは誰のものか?」という問いが出たら答えは何でしょう?

あれは別に都の持ち物でもなく、TV局でもなく、所有者は「日本電波塔株式会社」なのです。それに対して「いや、あれは日本の高度成長のシンボルだから国民皆のものだ」とかいや、世界に誇る東京の名所だから東京都民皆のものだ、とか、ましてや「いや関係者皆の物だ」なんて議論すること自体に意味がない。「会社は誰のものか」という議論もこれと同じようなものだと思う。

話はかわって、「ワタミ」の渡邉社長。最近手帳は売るわ、介護、学校ビジネスに手を出すは、教育再生会議の「有識者」メンバーになっているわで、いったいいつ会社の仕事をしているんだろう、と不思議でならない。その彼が最近雑誌でこう言っていた。

「社員から人気があるか、お客様、株主から支持されているかどうかは気にしない。自分がやりたいことを明確にし、それに従う。これくらい自信がないとやりたいことはできない。株主には、もし自分の考えが間違っていたら社長を降ろしてくれ、と言っている。自分が会社に一番貢献している自信、自覚がある。」そのコメントのそばには誇らしげに安部前首相と一緒に写っている写真が何枚か。

これを見ている社員はともかく、株主はどう思っているんだろう、と。渡邉さん、ワタミはあなたのものじゃなくて株主のものだろう、と。そこでワタミの株主構成を見てみたら、筆頭株主が小さな損保代理業の会社「アレーテー」25.9%、2位が渡邉氏本人で5.3%、3位がサントリー4.8%となっている。アレーテーはもともと渡邉社長が株をそっくり譲渡して筆頭株主になっているので、ちょっときな臭いがいずれにしても株の半数近くは渡邉氏のコントロール下にあることがわかった。ワタミはほとんど渡邉社長の会社だ、ということだ。なーんだ、だったら彼の発言はもっともだ。とはいえ、2006年夏以降、居酒屋業界は既存店前年割れが続いており、ワタミも一時の業績悪化から回復はしたがまだまだ好調とは言えない。肩書きを増やすのも楽しそうだけど、もう少し真面目に本業の仕事をした方がいいんじゃないだろうか・・・・・

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亀田一家の次の一手

亀田一家の一騒ぎも、大毅が直接詫びたとか、興毅と父が電話で詫びたとか、なんかつまらない形で終息しようとしている。

こういう結果になることはわかっていた筈なのに、勝てるわけがないことは明白だったはずなのに、負けると「約束通り切腹しないのか?」とインタビューするなんて、日本のメディアの知能指数はマイナスなんじゃないだろうか??? そもそも亀田一家はどのようなストーリーで大穀の世界戦をマッチメークしたのかを考えてみる。

(1)本気で勝つ気であるケース ①相手を買収してKOか判定勝ち:まずこれを試みただろう。自分の予想はこれだった。 ②審判を買収して判定勝ち:興毅の一戦であれだけたたかれたので難易度高 ③反則でも何でもとにかく相手を流血させてレフェリーストップ勝ち (2)勝つつもりはないケース ①ヒールとしての評判を取り総合格闘技か米国リングへ:このつもりなら試合後のしおらしい態度は納得できない ②もうスポンサーもついて引っ込みがつかなくなってしまったのでやけくそ

おそらく亀田一家のもくろみは(1)の③、反則でレフェリーストップ勝ちだったのだろう。これは大変リスクの高い作戦で、仮に相手がギブアップしなければ大差の判定負けになってしまう。

ここで考えたいのは、亀田一家のボクシングはスポーツではなく、大きな金の動く「スポーツビジネス」であることだ。パチンコの京楽、ローソン、ナイキ、明治製菓、サントリー、カカクコム等かつて亀田家をサポートしていた大手スポンサーは皆逃げてしまっているので、今カードとして持ってしまっているのはどこかの広告代理店とTBSだろう。彼らはいったいどういうストーリーを描いていたのかがわからない。ありえるのは、今回はどんな負けっぷりでもいいから視聴率は取って、次に亀田家が一丸となって血のにじむようなトレーニングを積み、興毅がリベンジする、という形だろうか。まあ視聴者の反発が強ければ、精神的にまいったフリをしていればそのうち同情論が出てくるだろうし・・・・・。

最近、スポーツはTVを通じて「エンタテインメントビジネス」に仕立て上げられている。あれだけあおって惨敗だった世界陸上。結果は朝に出ていたのに夜に期待をあおって録画中継をしていた世界柔道(残念ながら現代はインターネットで結果は即時にわかる)。いつも女子から始まり、弱いチームに勝って「今回は最強チーム」と思わせながらブラジル、キューバとあたる5戦目くらいから徐々にフェードアウトしていくバレーボール。どう冷静に戦力分析してもグループリーグ敗退は濃厚だったのに、ジーコが監督なんだから前回ベスト16以上は当然といった雰囲気だったサッカーワールドカップ・・・・。広告代理店もからんで日本のTVはまるで自分達がストーリーを書けるような錯覚を持ってしまっているのではないだろうか。残念ながらスポーツは最後に明確な「結果」が出てしまうのである。

さて亀田家の今後の打ち手に注目だ。マスコミ的には亀田家バブルでもうけ、バブル崩壊でまたもうけることができた、おいしーいコンテンツなので、きちんとストーリーを書いてあげてね、TBSさん!! 

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コカコーラ ゼロの心理学

真っ黒なラベルのコカコーラゼロ。今夏に日本でも発売された「20-30代の男性向け」のコーラだ。ここ数年、コカコーラは日本でもレモン味のコーラ、ローカロリーの「C2」、透明なコーラ・・・・などなど次々と新製品を導入してはいつのまにか消えている。

今さらカロリーゼロって、ダイエットコークとどう違うのか?米国では数年前に、従来の甘味料アスパルテームよりも味が自然で保存期間も長い(ダイエットコーラはノーマルのコーラよりも保存期間が短いらしい)スクラロースという甘味料を使ったコーラを出していたがそれとも違うらしい。

知らなかったけど、従来のダイエットコーラは今春「ゼロカロリーコーラ」としてリニューアルされていた。ターゲットはカロリーの気になる女性。ラベルは銀。でもってコカコーラゼロは同じアスパルテームを使っているけど炭酸がきつく、男性向けでラベルは黒。これってノンカロリーコーラ市場を食い合って終りじゃないだろうか??レクサスがクラウンを食っている(想像)ように!

この2つの製品が同時に市場に投入された背景にはコカコーラ社の「CBL」(コンシューマー・ビバレッジ・ランドスケープ」と呼ばれるセグメンテーション手法がある。普通飲料でターゲットを設定するときは、年代、性別、といった人口統計学的な切り口でセグメンテーションするが、彼らは飲料を飲むときの動機や欲求といった心理学的属性の切り口でターゲティングを行う。前ににTVで見たときは、コカコーラゼロは「上昇志向の強い、仕事に熱心な男性」がターゲットだと言っていた。なので英国で実績があるようにこの2つのコーラは両立する(カニバリしない)と。

で発売から3ヶ月くらいたったのですが、どうでしょうか?普段から気にして自動販売機を見ているけど、前は銀と黒と両方見られたのがめっきり黒しか置いていないように見えるのは気のせいだろうか?そもそも「カロリーを気にするけどコーラが飲みたい女性」がどれだけいるのか疑問だけど・・・

自動販売機といえば、日本のコカコーラの強みは自動販売機を押さえていること。これはペプシがサントリーと提携しようがシェアがひっくり返らなかった要因かもしれない。ただ近年はコンビニでの販売量が増えていて、今年は自動販売機以外のルートの販売量が半分を超えたとのこと。これはコカコーラには死活問題だろう。自動販売機は定価販売だし利益率高いからね。今後も自動販売機の赤・黒・銀コーラの比率に注目してみよう。

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コンビニの将来

大手コンビニの8月中間期決算が出揃った。この中で好決算がローソン、ファミリーマート。調子が悪いのがセブンイレブンとサークルKサンクス。売上は増収の中、利益で明暗を分けた。4社全てに共通するのは、客数は増加しているものの、客単価が減少している。わかりやすく言うと、ペットボトルのお茶だけ買って、以前だったらついでに買ってくれたお惣菜、雑誌類(利益率が高い)を買ってくれなくなった、ということらしい。

そんな中、好決算だったローソンとファミマに共通するのは、新しい業態が成功を収めた点。例えば生成食品を充実させた店舗、女性にターゲットを絞った店舗などなど。

セブンイレブンはこの良くない決算を分析し、「品揃えが消費者のニーズを捉えてない」と結論づけているけど、本当にそうか??コンビニで雑誌を買わなくなったのは買いたい雑誌が最近コンビニにないからか??確かにローソンはレンジで簡単に調理できる冷凍惣菜の開発に力を入れているけど、それに対抗してよりおいしい惣菜を作るべきなのかな??

対策1:業態の更なる変化

従来のコンビ二は、とにかく人が行くところの機能をどんどん取り込んできた。宅配便、銀行、チケットぴあ、ドラッグストア・・・・・・あと人が集まるといえば本屋?スーパー?喫茶店? これらはスペースの問題でダメ。つまり人が集まるけどスペースが不要なものはもうほとんど残っていないように思う。となると今後は逆に方向性を何かに絞っていく必要があるんじゃないかなあ。百貨店が品揃えだけでは勝てないように、コンビ二も「飲食」に絞る、独身者に絞る、女性に絞る、というようにすこし業態を変化させる必要があると思う。

しかーし!!ここで大きな壁になるのは、コンビニはフランチャイズ制ということ。つまりセブイレブン・ジャパンの客は我々ではなく店のオーナー。拡大期は本部にとってリスクを減らせる良いシステムだったが、あまリニュースとして取り上げられないものの本部と加盟店のトラブルはここ数年増えている。例えば加盟店と仕入先の契約は加盟店の責任で結ぶが、代金の決済は本部が一括してやっているので本当の利益がわからないとか、弁当の廃棄損まで原価に組み入れるので本部が持っているロイヤルティの対象になるとか。 こんな状態で本部の意向通り加盟店の業態の転換などそう簡単にはできないだろう。従って今後はフランチャイズ店を閉めて直営店を増加し、本部のコントロール下で様々な新規業態の実験をしていくことになるだろう・

対策2:海外進出の加速か

あとはどの業界でもそうだが海外にこの仕組みをどんどん輸出するのが考えられる手だ。実際どの大手コンビにも近年アジアを中心に店舗数を拡大している。今後も北米、アジア以外にどんどん進出していくことが予想される。                                しかーし!!ここで大きな壁になるのは、店名か??ファミリーマート=家族で経営している市場? ローソン=法律上の息子? 半分冗談だけど外国人が持つ語感はけっこう大切だ。「モスバーガー」と聞くとたいていの外国人は「moth burger=蛾バーガー」をイメージするようだし。

あ、フランチャイズ制といえば・・・・自分が注目するのはヤクルト。あれもある意味フランチャイズみたいなもの。ヤクルト本社の客はヤクルトレディ。彼女達に買い取り制で売りつけて、あとはひとつよろしく、と。 それで今でも堅調に業績を伸ばしているんだからすごいシステムだと思う。彼女達がリヤカーでミニコンビニみたいなのを引いてオフィス街を回ったらものすごく売ってくるんだろうか・・・・

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L&G

今週めっきりニュースにならなくなったL&Gの1件について。

今のところマスコミの取り上げ方は「これはだまされる方が悪いだろう・・・」というトーン。

確かにこの仕組みはだまされる方もいかがなものか、と思う。簡単な絵に描いてみれば、キャッシュ・インは会員(会長いわく「特定多数の株主社員」)からの入金だけなので、彼らが何らかの形で運用して年利36%以上の利ざやを稼いでいない限りは、リターンは新規の会員からの入金か、既存会員からの追加入金しかないわけで。つまり世界が円天を採用しても、新規の入金が滞ったらリターンはありえない。実に単純なネズミ講。

マスコミの次の展開としてはだました人がいかに悪いか、そしてそれに加担していた有名人がいかに悪いか、に焦点が当てられるのだろう。それにしては今週の週刊誌でも扱いが小さい。

日本人は信頼していたものに裏切られると集団ヒステリのようによってたかって集中攻撃をするが(TVのヤラセ、政治家の不正など)、今回の事件はあまりにもレベルが低く、別に視聴者は「だまされる人なんているんだ」と冷ややかに見ているのだろうか。

この件から思うことは

1.日本人はリスクに鈍感:パチンコが巨大産業な国だし、期待リターンが恐ろしく低い宝くじを何のためらいもなく買う民族だけど、こういう詐欺に外国人は引っかかるのだろうか?

2.日本人は投資に関する知識がない:小さいときから「貯金」が良いことだと教えられてきたけど、インフレになったら額面の価格は変わらなくても価値は下がる、ということは考えないのだろうか?基本的な「お金」の知識がないので、この話に引っかかる人がいるのでは?

3.マスコミが取り上げないとすぐに忘れてしまう:この件も既に忘却の彼方へ・・・まあ詐欺罪での立件にはかなりの時間がかかるでしょうけど、それにしてはピタリと(朝日新聞以外は)報道がトーンダウンしているのは、やはり何らかの規制がかかっているんだろうか?やはり警察がついているのか?もっと大きなバックがいるのか??

4.この件は不特定多数からの出資を募った点が問題視されているが、宗教法人でこれと似たような活動をしている法人はいくらでもあるのではないか?彼らがセーフでL&Gがアウトなのは何かおかしくないか?

といったところだろうか。ちなみに私のごく親しい知人がこの件では「加担者」としてヤリ玉にあがっているもので・・・ちょっと考えてみました。

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フラット型組織の功罪

先週の日経新聞に、ソニーがフラット化を進めた結果権限の集中化が進み、大きな権限を持つ管理職と権限を持たない管理職の2極分化が進みモチベーションが削がれた、という記事があり、どこの会社でも似たようなことがあるんだなーと考えさせられた。

考えてみるとJ.ウェルチも階層が多くてよいことは1つもなく、組織はフラット化を目指すべきと示唆し、どこの会社でも「それいけー」と階層の削減に向かってきた。でも、ソニーでも自分の勤める会社でもどうもフラット型組織の弊害が目立ってきているような気がする。

1.フラット型組織のメリット

何と言っても階層を気にせず自由に動けること。これは自分の会社でもいいところで、部長だから、ヒラ社員だから、ということは見られない。正しいことは正しい、ダメなことはダメ、それだけ。そして自ら動く人にはドシドシ情報が流れていく。総じてピラミッド型組織よりも情報の流れは良いかもしれない。一方、人事面から見ると、昇進させるために組織を作らなくて良い(マネジャーとだけ名刺に刷ればおしまい!)ので、優秀な人はどんどん管理職にして、総人件費を抑えられるという側面もある。

つまり、自ら情報収集し、組織の枠を超えて仕事を進める優秀な人にとっては働きやすい仕組みと言える。社長の目線から考えると、このような組織でアウトプットを高めるにはひたすら優秀な人を育てるか、外部から取れば良い、という発想になる。

2.デメリット

まず考えられるのは「出世」という日本古来のサラリーマンのモチベーションを提供しにくいこと。肩書きが上がっていくというのはやっぱり嬉しいものなんだろうか??そういえば友人の会社(電機メーカー)では、同じ部に部長代理、副部長、次長がいるとか。しかも社内の人間でもどの順番で偉いのかわからないらしい・・・(笑)

まあこの点は個人の考え方の問題で済まされるが、最大のデメリットはマネジメントが不在になることではないだろうか。個人が動く分、当然責任は個人が持たされる。そのプレッシャーを楽しめる優秀な社員はいいが、そうでない社員は責任を取ることを恐れて仕事をすることにビクビクしてしまっている。彼らの解決法は、自分の責任範囲の最小限だけ仕事をしてあとは他部署のせいにするか、ひたすら上司、組織の陰に隠れて「上を通してくれ」みたいに庇護を求めるか、である。こうなるとピラミッド型組織以上に「意思決定をしない組織」になってしまう。

こんな組織は、社長にしてみると、会社の中で信頼の置ける少数精鋭を重要ポイントに配置し、彼らとだけ話していればマネジメントできているような気になるんじゃないだろうか。つまり5000人の会社でも普段話をするのは30人くらい、みたいな。そうなるとまるで部長のように細かいところまで介入する「マイクロ・マネジメント」になっていき、会社の末端では一体社長は何を考えているのだろう?ということになってしまう。

3.どっちが正しいとことはないだろう

従って今フラット型でうまくいっていない組織は、もう少し管理体制を強化する必要があるんだろう。そんな矛盾に満ちたやり方をするなら、ピラミッド型組織を「ラフ」に運営する方が簡単じゃないだろうか??かつての日本企業が目指していたように・・・・

フラット組織でマネジメント強化?⇔階層型組織でラフなマネジメント?

どっちが正しいということはなくて、会社の規模、成長段階、社員の資質によって少しずつ替えていくのが正解なんでしょうね、きっと。ウェルチが階層は無駄と言ったって、規模も大きく、優秀な人間がどんどん入れ替わりする会社での話なのだから、何も「ウェルチ論」みたいに何でもありがたがることもないだろうに・・・・

そういえば、ソニーと自分の会社が状況が似ていると書いたけど、両社の共通点が1つあった。そういえば自分の会社の人事のヘッドはソニー出身だ・・・・じゃあだめじゃん・・・(涙)

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IHI問題は何が問題か

IHIが先週目がテンになるような業績修正を発表していることはあちこちで取り上げられているとおり。

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IHI(旧石川島播磨重工業)は28日、08年3月期の業績予想の大幅下方修正を発表した。営業利益は400億円の黒字予想から170億円の営業赤字に転落。工事の欠陥や遅れが相次いで発覚し、多額の損失が出る見込みで、営業赤字は最大450億円まで膨らむ恐れがあるという。3月末まで社長だった伊藤源嗣会長は、就任半年あまりで引責辞任する。
 記者会見した釜和明社長によると、利益計画を点検するなかで損失が発覚した。9月中間決算の業績予想も下方修正し、営業赤字は過去最悪の670億円。不動産や保有株式を売却し、通期の当期黒字は確保する方針。 (asahi.com)

赤字はエネルギー・プラント事業なので、多額の投資→長期の回収と収益が見えにくい事業なことは確かだろう。でも「利益の予想が外れた」ではすまなそうな、そんな気がしてなりません。

1.今年初めに公募・第三者割当増資で600億円を調達済み・・・

むむむ、このために決算を作ったと疑われても仕方がないぞ。しかもこの増資でこの後3月までにがっつり株価を上げてるし。株価バブルか??

2.そして8月中旬以降不可解な下げが・・・・

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なぜ?なぜ?日経平均が右上がりなこの期間、どんどん株価は下がっている。下値を拾う動きが一時あったけど。日本の株式市場はインサイダーが儲かるように出来ているといつも思うが、いつか徹底的に調べるべきじゃないだろうか。(チャートはクリックすると拡大できます)

3.こんな話がさらっと流されるようでは日本の株式市場の信用問題に・・・・

まず会計監査の信頼性の問題。今日もどこかの会社で2005年の決算で在庫の過剰計上なんていう古典的な粉飾決算が記事になっていたが、日本の監査システムはもはや海外市場から見ると何のガバナンスも働いていないように見えるでしょうな。あとインサイダー取引に関しては、ライブドア問題のときに、一瞬ですが当局が切り込むかのような報道がありましたが、うやむやのうちに聞こえなくなったよね。この2つの問題をしっかり追及しないと、いつか取り返しのつかないことになるんじゃないだろうか。

そしてIHIの話はさらっと流されているようで、新聞のメインは「相撲協会、時津風親方を事情聴取へ」。って何が問題かを見間違っているんじゃない?これは暴行の上の殺人の可能性がある話で、単純にしごきと死因に因果関係があるか、この暴行は犯罪か否かを問うべきであって、相撲協会の体質がどうだとか、しごきと愛のムチの境界はどこにあるとか、北の湖親方より文部大臣の方がお辞儀が深いとか、マスコミの「問題設定」が議論をちょっと変な方向に向かわせているように思う。例えば学校でリンチがあって生徒が死んだとして、「学校がリンチした生徒を事情聴取へ(しかも数ヶ月たってから)」ってニュースが流れたらずいぶん間抜けな話だよなー。

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新聞とスポンサー

10月1日付日経新聞に、日経広告研究所による2006年度の有力企業の広告費ランキングが載っている。

順位(前年)  企業名   広告宣伝費(億円) 伸び率

1(1)    トヨタ自動車        1,054                  2.3

2(2)    松下電器産業     831                  4.8

3(3)    ホンダ           816                  8.5

4(5)    ソフトバンクモバイル 627                18.2

5(4)    花王           560                -0.9

6(-)          イトーヨーカ堂      506                 -

7(6)    日産自動車       481                1.7

8(13)   KDDI          450                 39.8

9(14)   シャープ        421                 41.5

10(9)   サントリー       378                  9.4

2006年は携帯電話のナンバー・ポータビリティ導入があり、携帯電話会社の大幅な伸びが目立っている。NTTドコモは見当たないけど・・・この露出の差が勝負の分かれ目だったのかも。逆に一昨年であれば上位を占めたであろう消費者金融が見当たらないのは一連のスキャンダルによるCM自粛の影響でしょうかね。

しかし自動車業界はものすごい広告宣伝費だな・・・確かに最近テレビを見ていると決算期のせいかトヨタの車のCMばっかりやっているような気がする。松下電器は例の「古いストーブを探しています!」の企業イメージアップとしか思えないリコールCMも入っているのでしょう。どうも本気で探しているようには思えないでしょう、あの計算され尽くした固定画面のCMは。

このリストを見ていてふっと思ったんだけど、どの企業もいわゆる「優良企業」のような気がしません?ビジネス誌でも優れた経営としてよく記事になる会社ばかりだし、新聞でもあまりネガティブなことは書かれていないような気が・・・・

まあ今の日本にスポンサーの悪いことを書くマスコミがどこにいるでしょうかね??例えばトヨタでいうと、ここ数年でリコールが数倍の規模になっている、とか、開発現場には下請け企業からの「応援部隊」が多数送り込まれているとか。生産台数世界一と言っているが「実質販売台数」はどうなんだ、とか。レクサスは本当は何台売れているんだろうとか。クラウン買っていた人がレクサスを買っているだけじゃないのか、とか。そういえば北米トヨタの社長秘書が200億円以上の賠償を請求したセクハラ問題は最初記事になった後どうなったんだろう(ちなみに米国ではトヨタ不買運動になったようだが)とか。もっと言うと谷亮子(トヨタ所属)はそんなに国民全員が応援しているのか、本当にママでも金を取って欲しいと皆思っているのか・・・とかとか。

この記事を読んでいると、日経新聞が「このお客様の悪いことは書けませんので!」と宣言しているような気がしてきます。これらの会社の記事を読むときはバイアスがかかっているものと思って構えて読んだ方が良さそうだ。

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