信越化学の社長交代:一気に12歳若返る!!
信越化学の金川社長の交代が発表された。新聞、雑誌でも名経営者としてあまりにも
有名で、信越化学の株価にはこの社長がいるからこその株価だという意味で
「金川プレミアム」が上乗せされているとも言われているほどだ。
それほどの経営者なので、後継問題も常に指摘されてきたけど、結局は副社長の承認
という順当な引き継ぎとなった。
これで一気に社長も12歳若返って会社も新たなスタートだ・・と思ったら、新社長は72歳。
84歳から72歳への引き継ぎだ。
以前と比べると日本の社長も、大企業でも若い人がなるようになったと思うけど、特に
ヨーロッパのグローバル企業なんかだと40代の社長が珍しくないので、70代の新社長
は驚きだろう。
別に年齢は関係ないとはいえ、40代と70代だと体力、スピードでどうしても差があると思う。
さらに驚いたのは、金川社長の会長就任。まだまだ経営にかかわっていくというのだ。
日本は社長を辞めると会長に、次は相談役、その次に顧問、さらには最高顧問に・・・と
社長を退任してもずっと経営に関わるケースが多い。これでは新社長も思い切った手を
打てないだろうなあ。
そう思っていたら同じ日に、ブーズ&カンパニーからCEOの交代に関する調査の
レポートが発表されていた。これを見ても日本がちょっと欧米、アジア各国と違って特殊な仕組みであることがわかる。
調査は2009年1月時点の株式時価総額で世界上位2500社に対して行われている。
まずは社長になる際、社内から昇任する形で社長になった割合から。
日本:96% 北米80% 欧州73% アジア(日本除く)72%
日本はほとんど全てが社内からの登用だ。これは会社員の出世競争の
最後が社長、ということ。社長が「専門職」という認識があれば
外部から「プロ社長」の登用が海外のように増えるんだろう。
次に社長に就任した時の年齢について。
日本:66歳 北米、欧州、アジア:グラフしかないけど50歳位
これはだいぶ差がある。ちなみに世界の平均は53歳なので、日本はちょっと突出して
いる。
そうなると社長在任年数は逆の結果になるわけで、
日本:5.6年 北米:8年くらい 世界平均6.3年
高齢で社長になるので在任年数は当然短くなる。何となくイメージは日本は長期的な
視野での経営、北米は短期的視野での経営みたいな感じがあるけど、北米の社長の
方がじっくりと社長業に取り組めるようだ。
次に、社長就任時に、前社長が会長として留まる割合をみてみる。
日本:75% 北米:46% 欧州:22%
これも日本がちょっと異常値だ。60歳を超えてようやく社長にたどりついて、すぐに
辞めなければならないので、その穴埋めに会長に就任する、という感じだろうか。
それにしてもその後の相談役以降も含めると長すぎる。
逆にそのおかげで急には新しいことには取り組めないので長期的な視野での経営が
できているということか??
もう1つ面白いデータがあって、前社長が会長に留任している
ケースとそうでないケースで業績に差があるか、というデータだ。
ここで業績の指標としては各地域の株式インデックスと比較した「市場調整後株主
リターン」を使っている。まあその妥当性は別として、結果はこうだ。
会長留任CEO:1.8% そうでないCEO:3.1%
やはり自分を引き上げてくれた人が会長にいると、彼がやった施策を否定して改革する
なんてことは難しいんだろうなあ。
この結果をみても、日本の社長の一番の経営課題は、いかに後継者を育てて、
引き継いだ後はきっぱりと退場できるかということだと思う。
日本の会長のみなさん、あまり頑張らないように!!
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